第147話
夕食を終えて少し時間をおいてから、約束していた『食後のデザート』を出してもらったさくら。
「さあ!今度は『ゲーム』するの〜!今日は徹夜で遊ぶんだ〜」と笑顔で『宣言』したさくらに、ハンドくんが『お布団の準備が出来ました』と書かれたホワイトボードを見せる。
それを見て「いいの!?」と目を輝かせたさくら。
『だからリビングでゴハンを食べてもらったのです』
『食事してる横ではお布団を敷けないですからね』
『『ダッちゃん』はもうお布団の中ですよ』
『ダッちゃん』はさくらが寝るときの必須アイテム『抱きまくらのダッちゃん』だ。
さくらが水族館で一目惚れして即購入した『スナメリ』らしい。
ポンッと音がして、さくらが寝間着に『早着替え』した。
さっきまでとは違い、珍しく『寝る気マンマン』のようだ。
しかし『まだ寝るには早いです』とハンドくんに元の服へ『早着替え』させられて不貞腐れる。
「さくら~。ゴハンを食べてすぐに寝ると具合が悪くなるぞ」
ヨルクは『胃もたれ』や『胸やけ』のことを言っているのだろう。
「それはヨルクが毎食腹一杯まで食べているからだ」と誰もが思ったが、さくらは「気持ち悪くなるの?」と心配しだす。
そんなさくらの頭を撫でながら「もう少し起きていようかね」と言うドリトスに「起きてたら気持ち悪くならない?」と聞く。
『『この世界の空気』に身体を慣らしていないと『また』苦しくなりますよ』
「やーだー」
ハンドくんに言われたさくらが泣きそうな表情で無意識に上胸・・・気管支のあたりへ両手を持っていき握りしめる。
その仕草で誰もが『胸が苦しくなるのだ』と理解した。
さくらを挟むように座っているドリトスとセルヴァンは、『呼吸困難を起こして苦しむさくら』を思い出して辛そうな表情でさくらを見る。
向かい側に座るヨルクとヒナリはその様子から、以前聞いた『呼吸困難で苦しむさくら』の状態が自分たちの想像以上に酷かったのだと改めて知った。
この最上階全体の空気はこの世界の空気を『清浄化』させている。
そんな空気でも、身体を慣らしていないとすぐにこの世界の『瘴気が混じった空気』に対応が出来なくなって苦しむことになる。
そうハンドくんに説明されてヒナリは慌てだす。
しかし、ハンドくんに『此方で最低1日3時間過ごせば大丈夫』と言われて安心する。
「さくら。ごはんを食べる時は此方に戻って食べましょうね」
「『夜はコッチに戻って寝る』ってのも良いかもな」
ヒナリとヨルクはなんとかして『さくらが苦しまないで楽しく過ごせる方法』を話し合う。
さくらも「こっちで寝るときにまた『獣化』してくれる?」とセルヴァンに『お伺い』を立てている。
もちろん大切なさくらの『小さなお願い』をセルヴァンが断るハズがなかった。




