第145話
ポウッと暗闇の中でさくらの身体から柔らかい光があふれ出す。
その光が周囲に広がり闇を払った。
腕の中のさくらはどうやら落ち着いたのだろう。
震えもなくなり、安心したように微笑みを浮かべて眠っていた。
さくらを壁側に置かれているソファーベッドに寝かせたセルヴァンは、ヨルクとヒナリに近付く。
セルヴァンの『行動の理由』に気付いたヨルクが逃げ出そうとしたが、それより早くハンドくんが結界を張ったため逃げられなくなった。
「さて。・・・どういう事か聞こうか」
「ま、待てって!誤解だ誤解!」
「さくらが誤解するようなことを言う方が悪い!」
セルヴァンのゲンコツを脳天に受けたヨルクは直後にハンドくんたちのハリセン集中攻撃を受けた。
「なんでオレなんだよ!言ったのヒナリじゃんかー!」
「ちょっとヨルク!」
黙っててよ!と慌てたヒナリだったが、セルヴァンのゲンコツからは逃れられなかった。
そしてセルヴァンはヨルクの「独り占めしやがって」という言葉に対しての『制裁』も忘れなかった。
2人は正座でセルヴァンとハンドくんから説教を受けた。
時々、セルヴァンの『鉄拳』とハンドくんの『ハリセン攻撃』を受けながら。
特にハンドくんの『次はありません。さくらのいる場所で『さくらバカ』と言って悲しませたら、二度とさくらに会わせませんよ』という『説教』はよく効いたようだ。
さくらがいない所で『さくらバカ』と言っていれば、さくらの前でもクセで言ってしまう可能性はある。
2人はその後も影で言ってしまい、ハリセンやゲンコツをもらい続けることになる。
誰もさくらが悲しむ姿を見たくはないのだ。
「でもさー。『親バカ』もあるなら『さくらバカ』だってあってよくねーか?」
ヨルクはその言葉と共にハンドくんたちからハリセン攻撃でフルボッコにされた。
「だから!何でヒナリはハリセン受けないんだよー!」
『『さくらバカ』という言葉を最初に言い出したのはヨルクですから』
「『自分の言動には責任を持て』という事じゃ」
「・・・・・・ヨルクきらい」
どうやら、ヨルクが叫んだ時には結界が解除されていたようだ。
目覚めていたさくらはドリトスに膝だっこされて涙を浮かべていた。
セルヴァンのゲンコツより、ハンドくんのハリセンより、涙を浮かべたさくらの『ヨルクきらい』が一番『効いた』ヨルクだった。




