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第143話




じゃあついでに。

『なぜ事故は起きた』の?


「港地区の工場(コンビナート)から漏れだしたガスが風に乗って広がり、離れた場所にある製鉄所の『火』に引火した。夜だったから広範囲に広がったガス漏れに気付かれなかった」


「じゃあ『本来の時刻』で事故が起きていたら?」


「もっと大惨事だ。被害者は『万』を超えていた」


「事故は終業時間間近か帰宅ラッシュ直撃ってことか」


私の言葉に創造神は頷く。


事故が起きたという港地区は所謂(いわゆる)『工場・工業地帯』だ。

そこで働いている人だけでも数千人はいる。

そして事故の起きた範囲だけでも、数多くの工場や住宅、保育園から大学まで複数の教育施設まである。

ショッピングセンターもあるから、沢山の人たちが買い物や食事に来ていただろう。

『本来の時間』なら沢山の人たちが『災害範囲内』にいただろう。


創造神の言うとおり被害者が『万』を超えていてもおかしくない。

夕方なら交通渋滞だって日常茶飯事だし、公共交通機関はいつも通り満員だっただろう。

それらの人たちを含めると『万』の下に『数千人』が付いていたハズだ。



「一つだけ確認したいんだけど・・・『母は無事』?」


そう聞いたら「周りの高い建物が『防風壁』となって、実家や周辺は建物も住民も無傷だ」と言われて安心した。

風は西から東南の方面に流れていたため、私の住んでいた場所は『ギリギリ爆発に巻き込まれた』状態に近いらしい。

店舗による『プロパンガスの大爆発』がなければ「半数は生き残っただろう」とのこと。


それにしては更に『広範囲』が被害受けていたようだけど?

そう聞いたら『老朽化』が原因の崩壊だったらしい。

そのため『大きな通りに並んで建てられた比較的新しい建物』が防風壁の役目をして命運を分けたそうだ。


・・・そう。『防風壁』で跳ね返された風が、勢いを増して周囲の古い建物を破壊したのだ。



そして・・・創造神の話だと、公式に発表されているこの災害での死者・安否不明者は数千人。

実際は有料道路や一般道などを『偶然通りかかって巻き込まれた』人もたくさんいたため、『公式発表』の数より『倍』はいるらしい。

繰り返された大爆発+大火災だったため『跡形(あとかた)もなく』吹き飛んで消えてしまったそうだ。


最初の爆発で建物は瓦礫と化し、火災が瓦礫ごと埋もれた人を焼き、連鎖で二次・三次と続いた爆発が、人々が存在していた『痕跡』のすべてを吹き飛ばした。

住人は住民票に加えて、家族や同僚、友人知人の証言で『安否不明者』に加えられたし、会社で『夜勤』だった人たちも勤務表などで証明された。

それ以外に『間違いなく巻き込まれた』にもかかわらず証明出来ない被害者は、『通常の行方不明者』『家出捜索人』として片付けられているようだ。


簡単に言えば『慰謝料を支払う相手は少ない方がいい』からだろうね。


・・・そして私は安否不明者の『仲間入り』をしているそうだ。


「確かに『異世界(ここ)』にいるんだから安否確認はムリだよね~」


そう笑ったら創造神に「笑い事か?」と呆れられた。

でも「じゃあ写メ撮って、SNSに『無事だよ〜ん』ってアップしてもいい?」と聞いたら「そいつはダメだな」と笑われた。




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