第142話
気が付いたら、一面コバルトブルーの海に似た空間にペタリと座り込んでいた。
周りを見渡す。
水族館の大水槽の前にいるような・・・そんな気分で癒される。
「さくら!よかった。此処にいたのね」
突然姿を現したアリスティアラが首に腕を回して抱きしめてくる。
創造神も一緒だ。
表情は変えなかったが、さくらの姿をみて安堵していた。
・・・さくらは自覚していないが、ニュースの映像をみて深いショックを受けたココロが『現実逃避』をしたのだ。
現実の世界が『闇』に覆われたのも、さくらのココロを受けてのことだった。
「・・・ここは?」
「以前、さくらが作り出した空間だ」
見上げていた創造神にそう言われて「そう言えば『怒気騒動』でトンズラこいた時に逃げ込んだ場所か」と呟くと、創造神に「『避難した場所』だろう?」と苦笑しながら訂正された。
「・・・で?」
「なんだ?」
「あの『事故』って何?私がこの世界に来たのと関係してるの?」
「・・・無関係ではないな」
私の言葉にアリスティアラがピクリと身体を震わすが離れようとしない。
その状態のままで創造神から『当日』の説明をしてもらった。
あの『爆発事故』は最初から起きることが決まっていたらしい。
「私は『その時』に死ぬ予定だった?」と尋ねたら「キミは残業で帰宅が遅くなって助かっている」と言われた。
でも『あの日あの瞬間』は自宅にいたじゃん。
そう言ったら『事故』の時間をずらして『転移』と重ねたらしい。
元々、事故が起きる時刻は夕方だったそうだ。
そのため『死ぬハズの生命』が助かり、『助かるハズの生命』が喪われた。
私の住んでいた場所も、1階の店舗が起こした『二次災害』の大爆発で消失する予定だったそうだ。
それでこの世界に『ワンフロア』を持ち込めたんだ。
そして『家に帰っていた人たち』は、転移の直前に『向こうの神様』に『消滅』させられたそうだ。
『神の手』にかかった人たちは『転生の環』に入らず、すぐに転生したらしい。
・・・すべてが『吹き飛んだ』から『愛車をこの世界に』って私のワガママも聞けたんだね。
「瓦礫の中から出して復元するのに時間が掛かったけどな」
そう言って創造神は苦笑する。




