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第135話



テレビの前には座卓が置かれて、私専用の座椅子も用意されていた。

ドリトスがその座椅子に私を座らせてくれる。

そして2人は私の両側に座布団を近付けて座った。



『何か観ますか?それともゲームをしますか?』


『まっくろくろすけ出ておいで~!』


私が映画のキャラのマネをしたらアリスティアラがクスクス笑う。

ハンドくんたちがテキパキとDVDをセットしてくれる。



「此処にいたのか」


ヨルクがハンドくんに連れられて部屋へ入ってきた。


「ただいま~。さくら」


後ろからさくらの頭を撫でるがさくらは気付かない。

それは両隣に座ったドリトスやヒナリが何度も撫でているからだろう。


「さくらぁー」


『あれ?ヨルク?』


今度は後ろからさくらを抱きしめる。

やっとさくらに気付いてもらえたが「さくらが苦しいでしょ!」とヒナリに引き剥がされた。

いや。だからさー。

なんで『(さくら)』を取りあって、『オレ』がやきもちを()かれるんだよ。

文句を言おうとしたヨルクだったが、ハリセンを持つハンドくんが目の端に見えて慌ててさくらから離れる。

ヒナリの横に座布団を持ってきて座り「なにが始まるんだ?」と尋ねるが「分からないの」と首を横に振られる。

ヨルクは座卓を回ってさくらの前に座り肘をつく。

端からではさくらのクチが読めないからだ。

またさくらの『言葉』を見落として、プイッとされるのはなんとしても避けたい。



「さくらー。セルヴァンには此処にいることは伝えたからなー」


『ホント!?』


「良かったのう」


さくらが目を丸くしてから嬉しそうに笑う。

そんなさくらの頭をドリトスが撫でる。


「セルヴァン様の様子は?」


「自室に『ひとりぼっち』で寂しそうだったよ。『早くさくらに会いたい』ってさ。ハンドくんたちがセルヴァンの部屋にいたから、さくらに影響がない所まで怒気が落ち着けば、コッチに連れてきてくれるみたいだぞ」


ヨルクの話にさくらは安心する。

セルヴァンとは目を覚ましてから『会っていない』からだ。

実際には『騒動』の際にさくらを心配したセルヴァンはドリトスと共に寝室を覗いたのだが、その時のさくらは風の女神(エアリィ)の『風の結界』で守られており、結界の外にいたセルヴァンが『見えていなかった』のだ。

そのためさくら自身はセルヴァンを『見ていない』ため、ずっと心配をしていたのだ。


セルヴァンが無事なこと。

怒気が落ち着けば、ハンドくんが此方(こちら)へ連れてきてくれること。

そして「早く会いたい」と言ってくれていること。


さくらはそれだけで嬉しかった。


『早く帰ってくるとイイな〜』と嬉しそうに笑うさくらをヒナリが抱きしめて、「そうね。さくらが待っているんだもの。きっと早く戻られるわ」と微笑む。



ドリトスはヨルクの行動に内心驚いていた。

ヨルクがさくらのために、ジタンに「早く『さくらの魔石』を買い取れ」と言いに行ったことも。

セルヴァンに『現状』を話して「閉鎖された(マンションの)部屋に行く」と説明しに行ったことも。

今までのヨルクなら有り得ない行動だった。


やはりさくらを通して、2人は『成長』していると改めて実感した。





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