第133話
アリスティアラが姿を現したのは、部屋の準備が整ったのを伝えるためだったらしい。
アリスティアラが寝室側の壁に手をあてると、木製の扉が出現した。
ドリトスがさくらを抱き上げて扉に近付く。
その後ろをヒナリが続く。
ハンドくんが扉を押すと、2メートル先に引き戸が現れた。
『アレ?』
くぐった扉は『物置の扉』だった。
さくらはキョロキョロと周りを見回す。
この部屋はちょうどさくらの部屋と間取りが反対だった。
もしかして・・・隣の部屋?とアリスティアラに確認すると『そうですよ』とチャットで返事が届いた。
それにしては『広い』んだけど?
台所がシステムキッチン化してるし。
天井もけっこう高いから、一番背の高いセルヴァンでも頭をぶつけないよね。
『キッチンを含めた購入代金は、ハンドくんが『国王代理から支援して』貰ったそうですよ』
・・・・・・何か『別の言葉』が含まれていたような気がするんだけど。
『気のせいでしょう』
・・・そういう事にしておきましょう。
『部屋の中の空間も広げてあります。最初に過ごしていた部屋も、元の部屋より広くしてあったんですよ。気付きませんでしたか?』
あの頃は魔法とか珍しいことが多くて、そんな所まで気にしていなかったわ。と伝えたら、クスクスと笑われた。
それとこの部屋の空気って・・・『元の世界』の空気を『清浄化』したの?
『よく気付きましたね』
うん。
なんとなく神社独特の『清々しい空気』に似てるから。
此処ならみんなで過ごしていても、『マンションに帰って回復する』のと同じなんだよね?
『そうですよ。さくらの体調も早く回復出来ますからね』
『でも無理や無茶はダメですからね』と、クギを刺すのを忘れないアリスティアラ。
・・・たまには『忘れてもいい』と思うよ?
『忘れたら「言われなかったもーん」とか言って、喜んで無理や無茶をするでしょ』
ありゃ。バレてーら〜。
戯ける私に苦笑するアリスティアラだった。




