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第12話



私の思いを伝えて「自由に生きたい」と話した。

魔法を色々と試していた時に、意識だけを鳥のように空へ飛ばしてこの世界を見た事がある。

その時に『他にも大陸がある』事を知った。

そこはまるでRPGの世界だった。

生活の隣に魔物がおり、冒険者がいたりダンジョン都市があったり。

確かに、『一生懸命生きている』人たちがそこにいた。


アリスティアラに話を聞いたら酷く驚かれた。

もちろん『魔族たちの住む大陸』はみていない。

彼らにとって瘴気の濃い大陸が『当たり前』なら、私が勝手に近寄って『瘴気を浄化』する権限はないからね。

もちろん『やられたらやり返す』けど。


ただ意識を空に飛ばしていたら、賑やかな気配を感じた。

様子を見に行ったら、港町で進水式っぽいことをしていた。

それが『アリステイド大陸』かと思ったが、魔物がいたり瘴気が強かったり。

そして町には獣人の奴隷がいたのを目撃して、すぐに違うことに気付いた。


この世界は『聖なる乙女』の加護を受けるアリステイド大陸と違い、瘴気の浄化が『魔物を倒す』以外に方法がない大陸が殆どなのだそうだ。

アリステイド大陸が『安全』なだけで、他の大陸の一国にだけ聖なる乙女がいたら『争奪戦争』が起きる可能性が高いらしい。


それを聞いて、「じゃあ、その大陸に行く」と言ったら全力で止められた。

高レベルな上、カンストのある身体能力や剣術などの能力はすべてカンスト済み。

冗談抜きで『向かうところ敵なし』状態。

デコピン一発で頭蓋骨粉砕も可能だろう。

もちろん指に『魔力』を篭めなければ、ただの『痛いデコピン』だが。


そして、最後の交換条件で身に付けたのが、『浄化範囲の限定』魔法。

瘴気の充満した宿屋の、自分が泊まるひと部屋だけを浄化したり、自分の周囲の浄化範囲を限定させたり。

浄化した宿屋の部屋は、窓を開ければ瘴気に満ちた部屋に戻ることが判明した。

自分の周囲の浄化は、自分を中心にして半径10メートルから1センチまで、自由に限定出来るようになった。

家を買ったり借りたりしたら、敷地内限定で発動出来る。


そして『逆のこと』も出来る事が分かった。

『浄化させたくない範囲』を設定する事で、その範囲内でどんなに瘴気を浄化させても消すことが出来なかった。

設定を解除すれば、元どおりに瘴気の浄化が可能になった。

一度かけた魔法は解除するまで継続するらしいが、継続中でもMPは不要。

半永久的に継続出来るのでかけ直しも不要。


「あの『バカ3人組』に『瘴気が浄化されない』魔法をかけてやればよかった」


もしくは『瘴気が半分以下しか浄化されない』魔法でも良かったか。

『直系傍系の子孫も瘴気が浄化されない』魔法をかけてやれば・・・


「よっぽど腹が立っているのですね」


そりゃあね。

今までの『聖なる乙女』たちが、『瘴気を浄化する道具』としか見られていなかった事を『身をもって体験』してきたんだから。

あのエルフらは、私に浄化を断られて固まっていた。

それは『自分たちの命令を拒否出来るわけがない』と思い込んでいたからだ。

ラノベではよく『転移先の異世界で、王様に歯向かったりして城や町を出ていく』話がある。

しかし、何の能力(チート)も持たない一人の女性が、『その立場になったら本当に出ていくことが出来るのか?』と言われたら、誰もが『NO!』と即答するだろう。


この世界に『身一つ』で放り出された少女にしてみれば、ヘタに逆らって『何も分からない世界に追い出される』恐怖を味わう位なら、『どんな不条理な命令』でも『従うしかない』のだ。

・・・本来、権力などを自由に使える『上の立場の者』は、『弱い立場の者を守るため』に『その手腕を発揮』するべきだ。

それなのに、彼らは『行き場のない『聖なる乙女(厄介者)』を『タダで面倒みてやる』』という『上から目線』だった。

『誰のためにこの世界に『連れ去られている』のか』すら分かっていない・・・『覚えていない』のだ。

そのため、すでに『衣食住環境』が整っていて、たとえこの国(エルハイゼン)この大陸(アリステイド)から『追い出されても(庇護されなくても)生きていける』。

それも『浄化範囲すら自由に決められる』、私みたいな者が『目の前に現れる』とは微塵(みじん)も考えたことがなかったのだろう。




私たちは『替えのきく道具』であって『人間』だと思っていない。


『死ねば新しい乙女が補充される』


あの人たちは、その程度の認識しかない。


・・・もしかしたら、創造神はその認識に『警鐘』を鳴らしたかったのだろうか?


『当たり』


創造神からチャットで返事がきたよ。


他の神々が、私の思い通りに暴れるよう煽ってくるのも・・・


『その通り』


やっぱりか。

私に『浄化の限定魔法』を教えれば、『浄化させない』魔法も思いつく。

そして庇護を拒んだ私なら、傲慢な連中相手に手加減なく魔法をかけるだろう。


「もし・・・怒りにまかせて使った魔法が『間違い』だったときは教えてもらえますか?」


『もちろん』


『でも悪い奴には『お仕置き』も必要だ』


『死ななければ大丈夫よ!』


・・・つまり?


『『『フォローはまかせて!』』』


・・・まかせて大丈夫なんだろうか。



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