第119話
目を覚ますと、ベッドの中だった。
頭を撫でられて顔を向ける。
「さくら。大丈夫かね?」
『・・・・・・・・・ドリトス?ここは?』
「『さくらの部屋』じゃよ」
ボーッとしてる頭を動かす。
ああ。確かに『エルハイゼン』にある『私の部屋』だ。
でも『なんで寝てる』んだっけ?
「熱を出して寝込んだんじゃよ」
表情を読んだのだろう。
ドリトスが今の状況を説明してくれた。
ああ。創造神に『呼吸器系の強化』してもらって熱を出したのか・・・
なんだろう。
額や頬にあててくるドリトスの手に、何故か安心する。
ココロの何処かで不安な気持ちもあったが、ドリトスの手がそんな不安を払拭してくれた。
・・・何故『不安』になったんだろう?
「まだ熱が残っておるな」
そっかー。
熱が出てるから頭がボーッとしてるんかな?
不安な気持ちも熱のせいなのかな?
・・・なんだろう。
何か忘れてる気がするんだけど。
考え事をしていたら、ドリトスが額に固く絞ったタオルを乗せてくれた。
冷たくて気持ちがいい。
ってことは、やっぱり熱があるんだなー。
「もう少し眠っていなさい」
『ドリぃは?』
「大丈夫じゃ。起きるまでずっとそばにおるからのう」
布団の上に伸ばしたままの手を握ってくれる。
そして、もう片方の手で頭を撫でてくれた。
それに安心したらまた眠くなってきた。
「おやすみ。さくら」
頭を撫でてくれるドリぃの手が優しいから、目を閉じたらそのまま深い眠りに落ちていった。
清浄魔法をかけると、さくらが目をゆっくり開けた。
目を覚ましたさくらだったが、熱のせいか虚ろな目をしている。
頭を撫でると顔を向けてきた。
「さくら。大丈夫かね?」
『・・・・・・・・・ドリトス?ここは?』
「『さくらの部屋』じゃよ」
口を動かして『会話』をするさくら。
やはりまだ声は出せないようだ。
ボーッとした表情で部屋の中を見回している。
「熱を出して寝込んだんじゃよ」
さくらの額や頬に手をあてて熱を確認する。
「まだ熱が残っておるな」
何処か不思議そうに、戸惑った表情で考え事を始めたさくら。
そんな彼女の額に固く絞ったタオルを乗せる。
冷たくて気持ちがいいのだろう。
ニコッと笑顔を見せてくれた。
「もう少し眠っていなさい」
『ドリぃは?』
「大丈夫じゃ。起きるまでずっとそばにおるからのう」
心配そうに、心細そうな表情で見てくる。
『ドリぃ』と呼んでいるから『そばにいて欲しい』のだろう。
布団の上に伸ばされているさくらの手を握り、右手で頭を撫でると安心したようで目が閉じだした。
「おやすみ。さくら」
寝息が聞こえてくるのに時間はかからなかった。




