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第116話



『さくらが起きました』


ハンドくんが教えてくれて、セルヴァンが様子を見に向かった。

その間に本を片付けてもらう。

さくらに隠れて勉強をしているのは『ナイショ』だ。


・・・オレやヒナリにだって『親のプライド』はあるんだよ。





目を覚ましたら部屋には誰もいなかった。

だから何も考えずに『ぼー』っと天井を見ていたら、いつの間にかそばに来ていたようだ。


・・・全然気付かなかったよ。


頭を撫でてくれているけど、何処となく表情が暗い。


・・・なんでだろ?


ぼーっと考えてたら額に手を伸ばされた。


「まだ少し熱があるな」


ああ。何にも考えられないのは『熱がある』からか。

隣に来たことも、頭を撫でていることに気付かなかったのも『熱がある』からか・・・


「さくら?」



・・・なんだっけ?

なんか『忘れてる』気がする。



それが何だったかも覚えていない。

あれ?・・・『誰』だったっけ?





・・・・・・思い出せない。






「さくら?」


部屋に入るとさくらは起きていた。

声をかけても何も反応を示さないで、ただただ天井を見ていた。


・・・意識を回復させる前のさくらを思い出して苦しくなった。


頭を撫でていてもすぐに気付かない。

黙って撫で続けているとやっと俺を見た。

額に手を伸ばす。


「まだ少し熱があるな」


俺の言葉にあまり反応がない。


「さくら?」


ボーッとした表情のさくらが心配で名前を呼ぶ。

何も反応しない。

俺を見ているのに。

目線が合っているのに。


「・・・さくら?」



どうした?

まさか・・・・・・




「俺が『わからない』のか?」






さくらを抱き抱えてリビングへ向かう。

さくらの『様子』を一目見て気付いたドリトスが、「何が起きたんじゃ!」と珍しく慌てた様子で駆け寄ってきた。

さくらをお姫様抱っこの状態で抱いたまま畳に座ると、ドリトスが両手でさくらの顔を挟んで自分に向ける。


「さくら。どうしたんじゃ?」


ドリトスの顔を見たさくらは、安心したようにニコッと笑ったが、それ以上の反応は示さなかった。

さくらの『異常』に気付いたヨルクとヒナリもそばに来て声をかけたが、さくらは何も反応を示さなかった。







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