第108話
あれから何度もリンクの強弱を繰り返し、さくらが完全に意識を取り戻したのは、『エルフ族の襲撃』から3週間経ってからだった。
その頃には最上階に結界が張られ、中央階段の下には常時2人以上の見張りが立っていた。
彼らは『さくらの親衛隊』として、非番の日になると『自発的』に見張りに出ている。
その甲斐あってか、乙女たちは『屋上庭園』に上がる事も出来なくなって、今は『聖なる乙女の館』で引きこもっている。
此方でも見張りの兵士がついているが、此方の場合は乙女たちの行動を文字通り『見張る』ためだ。
何処へ行くにも見張りの兵士がついて回り、周囲も乙女たちの行動を見ているため、乙女たちは館から出られなくなってしまったのだ。
そしてヒナリはさくらから離れなくなった。
ハンドくんからは『もう大丈夫』と教えられたが、それでも眠るさくらを見ていると、目を覚ますのか不安になって一秒も離れられないのだった。
眠らずにさくらを『見守り』続けている夜もあった。
流石にそれは周囲もさくらからも心配されて、ハンドくんから『寝ないなら部屋から追い出しますよ』と脅されて眠るようになった。
眠るさくらを抱きしめて目を閉じていると、さくらの温もりを感じて安心して眠れるのだ。




