第103話
「ヒナリも『覚悟を決めた』ようじゃな」
「ええ」
ドリトスやセルヴァンはともかく、ヨルクも『覚悟』は既に決まっている。
ドリトスは『部族長』を。
セルヴァンは『族長』を。
あの日・・・
さくらの『意識』が自分たちを泣きながら探し回った、あの日あの時あの瞬間に退く意思を固めた。
2人は『さくらのためだけに生きる』ことを選んだのだ。
それには、今までの肩書きを背負っていては行動が制限される。
2人にとって、さくらより大切なものは何もなかった。
乙女たちが客間へ案内されるために応接室を退室してすぐ、ジタンに退任の意思と滞在の許可を申し出た。
ジタンも乙女たちがさくらに執着していたのを『問題視』していた。
そのため「お二人がさくら様についていて頂けるなら安心できます」と快く了承してくれた。
まさか1時間もしないで、ジタンの嫌な予感通り『さくらの部屋』へ突撃するとは、その時の3人は思いもしなかったが。
すぐに自国へ退任を申し出ると、あっさり許可が下りた。
両国からは「我らが『愛し子』を宜しく頼む」とまで言われた。
セルヴァンの方は『族長』を長男シルバラートが、長男が担っていた『副族長』を次男ソルビトールが継いだ。
ドリトスの方は『各部族の長』たちの話し合いで、『部族長』が決められる事になった。
そして今朝早く、『族長』『部族長』が到着して『引き継ぎ』も済ませて正式に退いた。
セルヴァンは『新族長』となった長男から、「父にも『情』があったのですね」と笑われてゲンコツを落とした。
『補佐』としてついてきた次女と三女は、変わらない2人のやり取りに顔を見合わせて溜め息を吐いた。
ドリトスの方は『新部族長』に息子が、『補佐』に孫娘が就いたことに驚いた。
「お主ら・・・『チカラずく』で奪ったんじゃないだろうな」と呆れた声を出すと、意味ありげに笑われた。
2人の今の肩書きは『さくらの護衛』か『さくらの守護者』。もしくは『さくらの世話役』だ。
ヨルクとヒナリは、宛ら『さくらの親(鳥)』か、セルヴァンたちと同様『さくらの世話役』だろうか。




