表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/449

第102話



ヒナリの『宣言』に誰も反対をしなかった。

ヨルクなんて笑顔を浮かべている。


「ヨルク・・・反対しないの?」


「なんで?」


「『なんで』って・・・」


「いいんじゃないか?」


「・・・本当にいいの?」



セルヴァン様やドリトス様は『他種族』のため、『族長継承』には口を出さない。

しかしヨルクは『同族』で『比翼』である以上、ヒナリとは『一蓮托生』なのだ。

そのため何か言ってくると思っていただけに、ヒナリは驚きを隠せない。


ヨルクにしてみれば、『比翼』という『運命共同体』だからといって、『ヒナリが自分で決めたこと』に口を出す気は毛頭ない。

大体、ヨルクと『思いは同じ』だろう。


「・・・ヒナリは『族長を継ぐ』より、『(さくら)を守りたい』んだろ?」


ヨルクの言葉に目を丸くするヒナリ。

気付いていないと思っていたのだろうか。

『比翼』である前にオレたちは『さくらの親』だ。

さくらを『雛』に選んだ以上、途中で投げ出すような無責任なことはしない。


「さくらはオレたちが見つけた『雛』だからな。『最期』までオレたちで守るんだろ?」


ヨルクの言葉にヒナリは頷く。

ヒナリの親で族長のエレアルには、『翼族の羽衣』を取りに帰った時にオレたちが『雛』を見つけた事は話してある。

相手(さくら)は『人族(ひとぞく)』と同じだ。

他種族よりはるかに寿命が短い。

だからこそ『最期』まで守るつもりだ。


・・・たぶんエレアルは『ヒナリの選択』を嬉しさ半分、寂しさ半分で認めてくれるだろう。


「直接、エレアルに言いに行かないとな」


オレたちなら、上層の強い風に乗って4時間も掛からずに往復出来るだろう。

ヒナリはさくらを見つめていたが「セルヴァン様、ドリトス様。さくらの事をお願いしても宜しいでしょうか」と言い出した。

確かに『今から』なら昼過ぎ、遅くても夕方には戻って来れる。


「構わぬよ」


「さくらが待っているからと言って慌てるなよ。・・・さくらを悲しませるだけだ」


「はい。分かりました」


セルヴァンに釘を刺されて神妙な表情を見せるヒナリ。


「そうと決まればすぐに行くぞ」


「ヨルク?」


ヨルクは立ち上がって『伸び』をして身体をほぐす。

「サッサと『答え』を突きつけて来ようぜ。そして一秒でも早くさくらの(もと)へ帰って来るんだろ?」とヨルクに言われてヒナリは嬉しそうに頷いた。


本当は自分一人だけ行くつもりだったから。

やっぱり私は『ヨルクに守られている』んだって深く感じ、これからは自分もみんなと一緒に『さくらを守るんだ』と強く思った。


2人はさくらの頭を撫でたり頬にキスをして、テラスから飛び出して行った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ