第100話
「さくらの『リンク』が強いようだからな。今日は此処で過ごす」
セルヴァンと話している間も、さくらはハンドくんに手伝ってもらいながら絵柄を合わせていく。
「なんだ?これは」
「以前さくらが言っておった『ジグソーパズル』じゃよ」
ドリトスの言葉に「ああ。あれか」と納得する。
ドリトスとセルヴァンは少し離れた場所で、ハンドくんたちから朝食を出されていた。
誰もがさくらの様子を見守っていたら、ハンドくんがアイスを乗せた皿を持ってさくらの前に現れた。
器用にさくらの様子にあわせて、邪魔にならないタイミングで口を開けさせて中に入れる。
「さくらが・・・食べてる!」
ヒナリが感極まった様子で口元を押さえて涙を浮かべる。
ハンドくんに促されると、さくらは無意識に口を開ける。
開いた口にハンドくんがアイスを入れて食べさせていく。
あっという間に完食したさくらは、一度もパズルで遊ぶ手を止めていない。
いつもなら「私がやりたい」と言い出すヒナリも、ただ口に両手をあてて『見守っているだけ』だった。
しばらくすると、フッとさくらが前のめりに倒れ込んだ。
ヨルクが身体を支えていたため、座卓に顔面を強打するのは避けられたが。
『『さくらの意識』が眠った。でも起きたら『続き』をするつもり』
ハンドくんの言葉で、さくらはセルヴァンに膝だっこされることになった。
『さくらの意識』がいつ起きるか分からない。
1時間で起きることもあれば、半日や1日起きないこともある。
・・・それと、さくらを抱いていれば『連中』への怒りを抑えられる。
セルヴァンは『連中』がまだ『さくらを諦めていない』ことに腹を立てているのだ。
誰もが怒気を発しないように気を付けている。
ハンドくんの話だと、『弱い怒り』なら問題はないらしい。
しかし強い怒気や『攻撃による衝撃』は、今でもさくらの生命を奪いかねない。
そのため、ハンドくんたちは『ハリセン攻撃』をする際は、さくらの魔石を使って結界を張るようにしている。
その分、ハンドくんの『ハリセン攻撃』の回数が増えるようになった。
・・・攻撃対象は主にヨルクだが。




