八話『あなた様は変態です』
日も完全に暮れ、入浴を済ませた少女は少年の自室に向かっていた。一日の終わりに少年の部屋に訪れるのも日課だった。
「はぁ……めんどくさいです……」
今日の一日を振り返れば、色んな事があったなと思わず溜め息を漏らしてしまう。朝、怖い顔をしたメイド達に囲まれ、次に山の中で山賊と戦い、そのまま背負い、最後に重い魔宝石を持って帰る。疲れないはずが無かった。
一日を振り返り少女は無になって進んでいると、目前には少年の部屋の扉が迫っていた。
重い腕を上げてノックする。
「入れ」
少年の籠った声。
少女はそれを確認すると、大きな扉を開けた。
「えーと……今日もお疲れ様でした。充実した一日でしたね。私もあなた様と共に過ごした今日一日がこれ以上に無く充実したものだったと感じております。……で合ってますか?」
「おしい! おしいなぁ! 『えーと』と『で合ってますか?』が余計だったなぁ!」
と声色を逐一変えて、下着姿の少年は自分の太ももを数回叩いた。
そんな少年を無視するように少女は腕に掛けているパジャマを広げると、そのまま少年の背後に回り込み、腕を通させる。
「衣服くらい一人で着れないのですか」
腕を通し終えた少女は、そのまま前に戻りボタンを閉じていく。
「分かってないなぁ、お前は。その当たり前の事をしてもらう事が美徳なんだ」
次に少女は、下のパジャマを広げると少年の足元に屈んだ。
そこへ足を通して行く少年。
最後にパジャマをするすると上げ、ゴムの紐を結んだ所で少年の着替えは終わった。
少年のすぐ前で跪く少女は少年を見上げて言う。
「帰っていいですか?」
「次はお前だろう?」
目を反らす少女。
そのまま何か意を決したように溜め息を付いて立ち上がると少年に背を向ける。
少年が徐にファスナーに手を伸ばすと、あの独特な音と共に少女の背が露出された。
「聞いていいですか?」
「なんだ?」
少女のメイド服がするすると脱がされていく。
「どうしてお風呂上がりに再びメイド服を着せられて、わざわざ脱がされるんですか?私は」
「主に脱がされるために手間をかけて再び召し使いの服を着る。これも美徳だ」
そうして少年は少女のブラジャーのフックを外す。
これで少女の華奢な肩を、上半身を覆い隠す物は何一つとして無くなった。
それは胸も例外ではなく、背後の少年が少し距離を詰めれば全てを上から覗ける状態だった。
少女もさすがにそこで頬を赤く染める。
羞恥と言えるこの感情は、それこそ慣れるものでは無かった。
「あなた様は変態です」
「男はみんな変態なんだ」
少年はメイド服のスカートのフックも簡単に外してしまう。
すとんと軽い音を立ててスカートが落ちると、見えなかったガーターベルトが露になった。
「うむ。今日も良い時間だった」
終わりを告げる少年の声。
この言葉をどれほど待ちわびた事か。
そうして解放された少女は持ってきておいた寝間着を素早く着込み、逃げるように部屋を後にした。




