表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/189

六十四話『私はここで……。……犯されました』


「私はここで……。……犯されました」

 再び沈黙が訪れる。

 ハイドラは思わずうつ向いてしまっていた。

 そうして次にその沈黙を破ったのは、琥珀だった。

 低い声で何かを押し殺すように、

「ハイドラ様。以前処女に関して少しだけお話しましたよね……? ……ハイドラ様は――」

 そしてそこからは下唇を噛み締め、何かを堪えるように続けた。

「――処女しか愛せませんか?」

「そ……それは……。理想の話であって……愛せない事はない……」

 ハイドラが困った表情をしているのを見て、琥珀は我に帰り、うつ向いて呟いた。

「すみません……私とした事が……」

 そこで恐る恐るだがハイドラが手を伸ばし、そうして琥珀の頭を撫でた。

 そして琥珀の目を見つめて言った。

「いや、気にするな……。お前だって辛い……のだろう?」

 琥珀は目を背ける。そしてその目に涙を溜めて、声を震わせて答えた。

「そう……ですね。辛い……です。嘘吐(うそつ)いてごめんなさいっ……琥珀は今、苦しくて心も体も痛いのです……」

「……ではもう一つ聞くが、琥珀は俺の事は嫌いか?」

 そこで琥珀は堪え切れなかったのか、声を大にして泣きながら答えた。どうしてそんな事を聞くのだろう……と疑問に感じつつも、素直に答えた。

「嫌いな訳ないじゃないですか……!」

「よしっ、じゃあ俺も好きだ!だからおいで!」

 ハイドラは腕を広げる。これもハイドラなりの優しさだった。

 しかし琥珀は涙を腕を拭いながら首を横に振った。

「だって中古の女は嫌だって……! ハイドラ様が……」

「そ、それは……! う、うるさいな! 俺は琥珀が良いって言っているんだ!!」

 ハイドラは琥珀を押し倒すと、覆い被さるように抱きしめた。

 琥珀もしばらく呆気に取られていたが、やがて目を瞑ってハイドラを抱きしめ返す。

 そうして琥珀の呼吸が落ち着いてきた所で、ハイドラはそのままの姿勢で琥珀の頭を撫でながら言った。

「しばらくこのままで居ても良いか?」

 琥珀は大きく頷いて答える。

「しばらくこのままで居てください」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ