表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/189

二十六話『私の名前はシャルルループ。侵入者を滅ぼします』

「またこんな所で会うなんて奇遇ですね」

 そう言って木陰(こかげ)から半身だけ出して、覗き込むように姿を現したのは、以前魔宝石の商談に応じた老人の、養子だった。

 今も召し使いの格好をしている。

「あなたが何故ここに居るのですか?」

 ハイドラを降ろし、前に立つようにして琥珀が言った。

 周囲には人の気配は無い。そうなれば、ハイドラの乗り物を破裂させたのはこの少女になるからだ。

 琥珀は警戒を怠らなかった。

「たぶん、あなた達と同じ目的ですよ」

 自分の頬を人差し指で突きながら少女は答えた。

 琥珀が首を傾げる。

「同じ目的……? 私達の身に何があったのか……知っているのですか?」

「屋敷が襲われた。……だとすれば私達と同じ。そして、ここには敵討ちで来たのであれば、それはもう……いや、やっぱり半分だけ同じです」

 少女の言葉の意味、意図が今一掴めない琥珀。

 その背後でハイドラが言った。

「あのジジイ……。そうか、契約書か……。やはりそれで身を滅ぼしたか」

「ええ。そう言う事です。だからあの人が死んだのは、あなたのせいでもあるんですよ」

 少女はそう言って木陰から飛び出すように姿を完全に現す。

 そしてその隠れていた手に握られていたのは、小さな拳銃だった。

「ハイドラ様!」

 琥珀は咄嗟にハイドラを押し倒して身を屈める。

 そしてその頭上を、一発の銃弾が音を鳴らして通りすぎていく。

 鳥肌がたった。容易く行われたその行動に。殺意は感じなかった。

 人を殺す事に何の躊躇いも無い。

 自分が言える立場では無いが、それは狂っていると琥珀は思う。

 そうして琥珀が慌てて少女へ再び視線を移すと、冷たい視線と共に、銃口をこちらへ向けていた。

「私の名前はシャルルループ。侵入者を滅ぼします」

 乾いた銃声が再度響く。

 琥珀の後ろでハイドラが何か叫んでいるが、琥珀には聞こえなかった。純粋に耳を傾ける余裕が無い。

 そうして風を切って迫り来る銃弾は、琥珀の額を貫……ぬけなかった。

「それを……どこで……!」

 その事実に少女が目を丸くして言葉を詰まらせる。

 地に頼りなく落ちていくその銃弾を目で追いかけて、そのまま銃弾の進行を妨げた物を睨む。

 それは、その少女が名乗ったシャルルループ印の魔法防壁だった。

 ハイドラも腰を抜かして言葉を失っている。

 琥珀は、オレンジ色に淡く輝く半透明の壁越しに、少女を睨んで言った。

「シャルルループさん……。これを私にサービスしたのが失敗でしたね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ