グリムソウル日記
グリムソウル日記
1、現ハイドラ王の弟の体を契約に基づいて乗っ取った。国の政治にもあまり関与していない為、大した影響も出ないだろう。
やはり契約の魔法を遺伝する者の体だからか、具合はすこぶる良い。
2、スラム街で力を秘めた少女と出会った。次の体はこいつにしよう。既に契約は済ませた。それにしてもスラム街での生活は気ままで良いな。
3、なんの偶然か。俺が契約した少女が、ハイドラ王の長男と契約を結んだようだ。
ダブルブッキングじゃねぇか。面倒臭いが初めての事例だ。まぁ……これはこれで研究者の血が騒ぐな。興味深い。少し様子を見て変化が無いか観察しよう。
4、そうこうしていたら次男とも契約を結びやがった。
どうやら同じ契約の魔法でも上下関係はあるようだ。まぁ、想像通りだった。
これからは接触して、さらなる変化を促すとしよう。それと少女は貴重な存在だ。守らなければならない。
5、長男はそれなりに優秀らしい。魔法陣と魂の関係を、自らの契約の魔法をもって調べようとしている。俺の研究者魂を引き継いだ?……まぁ、好きにさせてやるか。
だが裏で少女のクローンを作っているのは驚かされた。それは人間社会においては禁忌なのだろう?警告だけして警戒心を高めておくか。捕まられても、つまらないからな。
それに俺も、クローンと魂が互いにどう言った影響を及ぼすのか、実に興味深いところだ。
6、世話が焼ける。子守りは面倒だ。
長男はどうやら、少女の体を乗っ取って力を手に入れたいらしい。目的が被ってしまったが、先輩としてここは譲ってやろうか。まぁ、後から取り上げるがな。ははは。
7、長男が思惑通り、少女の体を手に入れた。少女の魂は既に逃がしてある。
それと生まれる前のクローンを、従者を使って殺そうとしていたが阻止した。あくまでもクローンは保険だったようだ。それでは俺が面白くない。
逃がした魂をクローンに移動させて、経過を少し見守る事にする。次男も使えそうなら使うか。
8、契約の魔法は、純粋な力の上下関係でなく、契約した者同士の距離感も影響を与える。体を交えれば、その効果は増幅した。これは実験済みだ。
しかし、ここからは俺も未知の領域だ。
記憶は脳にだけでなく、魂にも依存する事を知った。その可能性は前々から考えられていたが、今回はこれで裏が取れた事になる。
だが、そろそろ飽きてきたな。長男はそれなりに優秀で面倒臭いから、魂を二つに割って身動き取れないようにしてやろう。それから時間を掛けてゆっくりといたぶってやろうかな?
9、最後の学園見物は楽しめたかい?ハイドラの長男。あのまま放って置いても良かったけど、返して欲しいものがあるからね。まぁどちらにしてもお前は死ぬんだけどさ。
次男には禁足地の魔女を差し向けた。こいつは最後の仕事として、次男とクローンに長男に対抗する力を与えてくれるだろう。まぁ、そうならなくとも予定も結果も変わらないがな。なんにせよ、次男を分霊の器として選んだ事については、良い感じに皮肉を効かせたな俺。やるう、俺。
それはそうと、契約の魔法の力とフリーレンの力を手に入れた体を俺が乗っ取ったらどうなるのか。それも興味深い。
10、クローンが死んでいない事を知って驚いたようだ。面白い。
長男は俺の思惑通り、次男の体を奪おうと試みた。が、やはり契約の魔法を継ぐ者の体なのか、失敗に終わった。人間同士なんだ。当然の結果と言える。
その際俺は長男の魂を、次男の体と少女の体に割って保存した。
まぁ、これで蘇る事は出来ないだろう。これからは俺と彷徨しような長男の半分よ。
次男はクローンの少女とくっ付けて置いた。ひとまずこれでハイドラの血も絶えはしないだろう。ハイドラ王の弟との契約とは言え、律儀にそれを守る俺も過保護なものだ。まぁ契約は絶対だからな。
それとオリジナルの少女には俺と共に行く道を選ぶように、都合の良い言葉を吹っ掛けてやった。
こいつはこいつで良い女だ。人間として、こいつとの人生を歩むのも悪くない。
子供を残して、その体を手に入れるのも悪くないかな。まぁ、そこは追々考えるか。
まぁなんにせよ、これからの人生、楽しまないとな。もちろん人間として……なぁ? フリーレン。