獲物に飢えた狼
「僕は、そうだねぇー......『愛の狼』、とでも言っておこうか。」
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いっぱい殺した。
とにかくいっぱい。
学校の人たち全員。
あの『赤くなった』パーカーは、捨てた。
今までなんとなく好きで着ていた黒いパーカーは、血の色ですっかり『赤くなって』しまった。
一応ちゃんと洗おうと試みたのだけれど、なぜだか鮮やかな『赤』が洗い流されると、そのまま元の闇のような『黒』も洗い流されるかのように、また綺麗な『赤』へと戻った。
だから仕方なく、学校を出る前に、自分の椅子にかけた。
自分がいた『証』ってやつ。
でも、いつも着ていたものがないというのは、違和感がありすぎる。
だから、学校からは少し遠かったけれど、一旦家に帰ろうと思った。
二階建ての、それなりに広い家。
あいつは、まだ家にはいなかった。
その間にわたしは、制服を着替えた。
でも、『赤』や『黒』のずきんの下にはどんな服が似合うのだろう?
やはり白い服なんだろうけど、あまりなかった気がする。
クローゼットの中を見て、ため息をつく。
やはり、黒い服ばかりだ。
しょうがない、まずは服屋さんだ。
そんなわけで、いつもの黒い服を着て、街へと向かった。
あまり人通りのない場所の服屋さんへと入る。
お客さんもあまりいないお店だった。
とりあえず服に着替える前に、店員は全員殺した。
一応これから服を買わなきゃいけないから、スピード勝負になってしまった。
もっとじっくり殺したかったけど、仕方がない。
とりあえず『赤い』ずきんに似合いそうな、白のブラウスと赤いキュロット。
キュロットってあの、中は短パンで外見がスカートみたいなやつ。
それから『黒い』ずきんに似合いそうな......白いブラウスはそのまま。
黒いスカートを一応選んだ。
そして『血』のついた黒い服は脱ぎ捨て、手近な黒のワンピースを着てから、服を手に持ち、外に出た。
それからおばあちゃんの好きな紅茶と、粉末タイプの『風邪薬』を買っていった。
電車で5駅ほど行ったところが、おばあちゃん家の最寄り駅。
そこから3分もしないうちに、着いてしまった。
一軒家のインターホンを鳴らしてみる。
「あら、久しぶりじゃないの!」
「うん、久しぶり。おばあちゃん。」
何の疑問も持たずに、おばあちゃんは家の中へと入れてくれた。
なにせ、家族で唯一わたしを可愛がってくれるから。
「おばあちゃん、作ってほしい服があるんだ。」
赤と黒のリバーシブルのずきん、全く同じのスカート。
スカートは難しいかと思ったけど、できるらしい。
わたしが持ってきたスカートも役に立つようだ。
その日は金曜日だったから、そのまま泊めてもらうことにした。
あの家の電話線を切っておいてよかった。
おばあちゃん家に電話がかかってくることはなかった。
日曜日には服ができたので、お礼にと買ってきた紅茶を入れてあげた。
一口飲んだ後、すぐに苦しそうにして、そのまま倒れた。
おばあちゃんは薬剤アレルギーで、どんな薬もだめ〝だった〟。