スキだらけの君に
――たった三十分前に来たばっかだぞ。
「で、これか……」
近所に住む幼馴染が宿題を抱えて突撃して来たのが三十分前なのだ。
しかし半眼で見つめる先には、夢の世界に旅立ち中の幼馴染のバカ面。
「そっちが教えてくれー、って来たくせにー……」
頬をつつくが、返ってくるのは寝息ばかり。
「油断しすぎだって……。……襲ってもいいわけ?」
吐息がかかるほどに近づいて、聞こえてないのを良いことに本音をぶつける。
――パチリ、と幼馴染が目を開けた。
「おまっ……んんっ!」
起きていたことにも驚いた。けれど、いきなりキスされたことにはもっとずっと驚いた。
長いキス――実際には三秒くらい――を終えて、幼馴染は笑う。
「油断しすぎだぞ」
この高校生たちの性別についてはご自由に解釈ください。