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第33話 いざ出発

大変遅くなりました。

エリスから悪魔教の話を聞いた翌日の朝、私達はギルドに向かって移動をしている。エリスからの依頼を受けるのと、ついでにラセツの冒険者登録をしてしまう為だ。


ラセツのステータスはシズノのスキルによって妖鬼から鬼人族に変わっている。なんでも、魔族の中に鬼人族というものがあるらしく、妖鬼と見た目は変わらないそうだ。


驚いた事にこの世界では魔族は人間と交流があり、普通に人間の街で暮らしているらしい。


地球の物語等では人間と魔族は争っているという話が多いからこれには驚いた。ちなみに魔族について調べたのはシズノだ。鑑定で妖鬼の事を調べていたら分かったらしい。


本当にシズノがいてくれて良かった。

私だけだったらラセツの角をへし折る事くらいしか思いつかなかったし…


そんな事を考えているとギルドに着いた。

ニホンのギルドは王都やフェステと違い和風な外観になっている。

中に入ると人はまばらだった。どうやら観光地ということであまり定住している冒険者が少ないようだ。


そのままカウンターへ行き、受付らしき男性にギルドカードを渡して、聖女からの依頼があるか聞くと少し驚いた顔をしてから1枚の紙を渡してきた。


「こちらでよろしいでしょうか。」


紙を受け取り内容を確認すると、そこには昨日お願いされた依頼内容と報酬額、依頼人の名前が書いてあった。

依頼人の欄にはエリス・リュミエール・ゼネルと書いてあり、報酬額は大金貨5枚、日本円で約500万円。

この街から王都までおよそ7日間かかるので1日で約72万円も稼ぐことになる。


私の横から覗き込んだシズノが驚いているのが見なくても伝わってくる。

まぁ、今持っているお金は軽く白金貨10枚はあるんだけどね。フェステで売った地龍が状態が良いという事で思ったりも高く売れたのだ。


「はい、間違いありません。」


「ではギルドカードをお返ししますね。それにしても聖女様から指名依頼を受けるとは、まだお若いのに凄いですね。」


「1度、護衛の依頼を受けたのでその縁で指名してもらえたんだと思います。あと、冒険者登録をしたいのですが…」


「それでも充分凄いと思いますが…

どちら様が登録するのでしょうか。」


ラセツを引っ張り、一番前に来させる。


「こいつです。」


「分かりました。文字は書けますか?」


「いや、書けねぇな。」


「でしたら代わりにシルヴァさん達が書きますか?」


「そうします。」


私が代筆をして出来上がったギルドカードがこれだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【名前】

ラセツ

【種族】

鬼人族

【戦闘タイプ】

戦士

【スキル】

刀術、体術

【魔法属性】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


一応、前もってギルドカードに書くスキル等は決めておいた。ラセツも主に刀術と体術を使うって言っていたしこれで大丈夫だろう。


エリスの護衛は明日からだし、今日は準備に時間を費やそう。

食料はこの大陸では珍しいというお米、醤油や味噌等の調味料、肉や野菜を買った。

結構お金は使ったけど、これでレパートリーが増えるとシズノが喜んでいたからいいかな。


準備が終わった頃に今日で宿を出なきゃいけない事に気づき、もう1泊分料金を払いなんとか野宿はしなくてすんだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

翌日の朝、エリスのいる教会に行くと既に竜車が止まっていた。

繋がれている地竜に近づくと


きゅー


と鳴きながら頭を擦り付けてきた。

どうしたんだろうと思ってよく見るとなんだか見覚えのある地竜がそこにいた。


「もしかして、アクセ?」


きゅー!


「おぉー!アクセ!なんでここにいるの?」


「私がギルドに言って借りてきたんですよ。」


アクセを撫でながら疑問を口にすると後ろから答えが帰ってきた。


「あ、エリ…聖女様。」


「皆様、今日から7日間よろしくお願いしますね。」


「「「よろしくお願いします(です)。」」」


「よろしくな!」


「ラセツ、言葉遣い。」


「あ、そうだったな。よろしくお願いします?」


私達以外の人がいたら確実に怒られてたよ…

挨拶が終わり、エリスの荷物を竜車に運び込む手伝いをしていると司教さんが教会の中から出てきた。


「お久しぶりです、この度は聖女様の護衛の依頼を受けて頂きありがとうございます。聖女様から相当な腕を持っていると聞きました。どうか無事に王都まで護衛をお願いします。」


「ええ、任してください。私達が必ず無事に王都に送り届けます。」


「それを聞いて安心します。…あの、1つだけよろしいでしょうか?」


「なんでしょう?」


司教さんが少し言いづらそうに口を開いた。


「その、今回王都までの移動にどうしてもついて行きたいと言っている者がいるのですが…」


ついて行きたい人?

今回の移動は少し危ない可能性もあるのについて行きたいだなんて物好きもいるんだなぁ…

そんな物好きは一体誰なのか聞こうとすると、後ろから声をかけられた。


「あ、あの!私も連れて行ってもらえませんか!?」


振り返るとそこには荷物があった。

いや、足が見えるから荷物が大きくて顔が見えていないだけか…


「ぜ、絶対に足で纏いにはなりませんので!お願いします!…あぁ!」


あーあ、荷物を持ったままお辞儀をしたせいで抱えていた荷物が落ちて、背負っていたリュックサックからは中身がぶちまけられちゃったよ…


司教さんの方を見ると困った顔をしながら口を開いた。


「これでも優秀なんですよ。この子が王都に行きたがるのも昇格試験を受けるのも理由の1つですので。」


優秀なんだ…

慌てて荷物を掻き集めている姿を見るとそうは見えないんだけど。

なんか可哀想だし手伝ってあげるか。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「手伝っていただいて、ありがとうございました!」


なんとか荷物を拾い終わった。

そういえばまだ名前を聞いてないな。


「気にしないで、私が好きでやったんだから。ところであなたの名前は?私はシルヴァ、冒険者をしてるんだ。」


「私はミーシャです、ゼネル教で助祭をしております、是非ミーシャと呼んでください。」


ミーシャは綺麗なプラチナブロンドの長髪で見た目はおっとりしてるお姉さん見たいな感じだ。

ただ、さっきのを見る限りおっちょこちょいな人…いや、ドジ?みたいだけど。


「シルヴァさんお願いします、私も今回の移動に連れて行ってもらえませんか?」


「その事なんだけど、なんで着いてきたいの?今回は襲われる可能性もあるし危険なのに。」


「それは…」


ミーシャの話によると、なんと彼女はエリスと同じ孤児院で育ったらしくエリスの姉の様な立場だったらしい。

エリスが聖女として教会に身を置くことになってからエリスの手助けがしたいと教会に入り、才能を認められ今では助祭になったらしい。


そして最近、再開を果たしたと思ったらエリスが襲われるかもしれないと知り少しでも助けになりたいという理由と1月後に行われる昇任試験を受けるために今回の移動に連れて行って欲しいのだという。


「聖女様はなんて言ってるの?」


「聖女様は私は大丈夫だけれど護衛の方々にも聞いてみて、とだけ…」


「こっちとしては依頼主が大丈夫だと言うならそれに従うだけだから聖女様がいいなら私達も構わないよ。」


「あ、ありがとうございます!!早速荷物を積んで来ますね!」


そう言ってタタターっと竜車の方に走っていった。

あ、転んだ。これから大丈夫かな…?


荷物を積み終え、ミーシャとシズノ達で自己紹介をしてようやく出発となった。

街から出る時に大勢の住民が見送りに来ていて驚いたがそれ以外は何事も無く出発出来た。




宜しければ、感想やご指摘など頂けましたら嬉しいです。

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