第28話 VS覚醒魔王(妖鬼)
ユニークが5000を超えました。
皆様ありがとうございます。
一撃一撃が格段に重くなってるし動きも速くなってる、技のキレもさっきとは段違い。『覚醒』を使う前から武術では負けてたのにこれだと不味いかな?
一応、すぐに勝とうと思えば勝てる。大規模魔法を使えば簡単だ、けど街も含めて消し飛ばしちゃうだろうし、別に魔王を殺したい訳じゃ無いからなぁ…
うーん、上空からチマチマやるのはめんどくさいし…
そうだ!私も『覚醒』してみようかな?そうすれば今よりは簡単に終わるだろうし。
『覚醒』を使った時にどんな事が起こるか分からないし、とりあえず上空に逃げよう。
「逃げてんじゃねーぞぉぉ!!!」
「『覚醒』」
「!?…てめぇ、魔王だったのか。」
…!
ああ、これは凄い。体の内側から力が溢れてくるみたいだ、でもそれ以外は変化がない気がする。
これなら降りても大丈夫かな。
「そうか、はははははは!!最高だァ!久しぶりに魔王のヤツと殺り合えるなんてよぉ!」
うわ…妖鬼、殺る気満々じゃん。私は早く終わらしたいんだけどなぁ。
地面に降りると妖鬼が改めて構える、それにならい私も黒帝を構える。
1拍おき両者が動き出す。
覚醒した魔王同士が激突し衝撃波が起き、地形がボコボコになっていく。
何度も打ち合い少しづつ斬られていく、まぁすぐに傷は治るけれど。
「どうした!?まだまだこんなものじゃねーだろ!?」
妖鬼がそう叫び太刀を振り下ろす、それを避け、1度距離を置く。
さぁ準備は出来た。
「いくよ、血の殺戮場」
赤黒いドームが妖鬼を囲むように展開する。中では血の弾丸が全方位から猛威を振るっているだろう。
殺戮場とは言ったが殺傷能力は抑えたつもりだ、本来なら血で作られた刃が発射されはずだけど弾に変わってるんだし威力は抑えられてるよね?
「…ごふ!」
…血を吐いてるし立ってるのもやっとみたいだけど大丈夫かな?
うん…大丈夫だね、多分。とりあえず、あれだけ傷だらけになれば気絶させられると思うし気絶させてから持って帰ろ。
「雷撃」
「!!!」
魔王だし強めにやっちゃったけど大丈夫だよね。
…痙攣して白目をむいてるけど大丈夫、大丈夫だよ、うん。
気絶したら角の色が白に戻ったけど『覚醒』の効果が切れたのかな?
そんなことより転移で帰ろ。
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あー、疲れた。うわっ、もう9時じゃん。2時間半くらい闘ってたのか…道理で疲れるわけだよ。
まずは妖鬼を拘束してそこら辺に置いておこう。それにしてもシズノ達がいない、避難してるのかな?
…そのうち戻ってくるでしょ。温泉に入って待ってようかな。そういえば、服は更衣室にあるしこのまま行かなきゃね。
…あれ?なんかだか力が入らない、それにすごい眠いんだけど…
あー、これは駄目だ今は眠ろう。今日は朝早かったし、妖鬼と闘ったせいかな?
おやすみー
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「…んぅ」
…今何時だろう。それにしてもよく寝た気がする、もう12時過ぎちゃってたりして。
目を開けるとシズノと妖鬼が話している。うん?なんで拘束とけてるの?危ないじゃん!
急いで立ち上がろうとすると何かに掴まれていて起き上がれない。もしかして妖鬼の魔法で!?
掴まれているところを確認するとミルが抱きついていた。
「……ミル?」
なんだミルかぁ、びっくりしたよ。ってそうじゃない!シズノが危ない!
「シズノ!」
「シ、シル?」
シズノが驚いた顔をして駆け寄ってくる。
もう大丈夫だよシズノ!妖鬼なんか私がまたボッコボコにしてやるから!そう思っていると
パシン!!
シズノに頬を叩かれた。
え?なんで?
なんで叩かれたか分からずシズノの方を見る。
「シルの馬鹿!私達、とても心配したんですよ!?」
シズノは泣いていた。
怒っているような安堵しているようなそんな表情で泣いていた。
「…ごめん。」
どうすればいいのか分からずただ謝ることしか出来なかった。
シズノが落ち着くまで待ちまず事情を聞くことにした。
シズノから話を聞くとなんと私は2日間も眠っていたらしい、まさかそんな寝ていたなんて思いもしなかった。
戦闘音が止まり私を探しに行ったが見つからず、仕方なく宿に戻ってきたら倒れている私と拘束されている妖鬼を見つけ、慌てて聖女であるエリスを呼んで私に回復魔法をかけてもらおうとしたがただ眠っているだけだから大丈夫だと言われたがそのまま起きなかったので気が気じゃ無かったらしい。
「相手は魔王なのに1人で行ってしまって、本当に心配したんですから!」
「ご、ごめんなさい。」
「いくら強いからってこれからはそういう行動は控えて下さい!大体なんで餡蜜の為に魔王のところに行くんですか!」
だって餡蜜食べたかったから…
「ミルなんてシルが寝ている間ずっと傍にいるって言って離れなかったんですからね!」
だから私が起きた時近くにいたのか。
これからは無茶はしないでおこう…
「それとなんで闘いに行くのにドレスを着ていくんですか!」
ちょっと待って、ドレスって何のこと?
「ちょっと、ドレスって何?」
「?シルが黒のドレスを来て転移して行ったんじゃありませんか。」
「ああ、確かにヒラヒラしたの着てたな。」
「う、嘘だ。わ、私はそんなの着てない!」
「本当ですよ。ならもう1度魔力で服を作って見ればいいじゃないですか。」
そ、そうだね。もう1度同じように服を作ってみれば…
魔力を物質化して纏い鏡を見る。すると、そこには闇のように黒いドレスを纏った自分が居た。
う、嘘でしょ?…待って私、この格好でナニヲシテイタ?
「あああああ!」
顔が真っ赤になっていくのが分かる。
最悪だ!どうして私はこんな格好で外に出てたんだ!
それに騎士らしき人たちの前で妖鬼に向かって「貴様がやったのか?」とか格好付けて言っちゃったじゃん!
は、恥ずかしすぎる!もう外に出れない!
「どうしたんですか、そんなに顔を赤くして。それより、旅行はあと2日残っているのですからせっかくですし行きたがっていた甘味処に行きませんかお姫様?」
お、お姫様!?
慌ててシズノの方を見るとニヤニヤしていた。
くそぅ!面白がってる!
それに妖鬼も滅茶苦茶笑ってる!
この…!
妖鬼に殴りかかろうとしたその時
「…んぅ?しるねぇ?…シルねぇ!!」
ドン!
「ぐふぅ!」
笑い声でミルが起きて、私の鳩尾に頭突きがクリーンヒットした。
「ジルねぇ!ジルびぇぇぇ!!」
ミルは泣きながら私のお腹に頭を擦り付ける。
「心配かけてごめんね?もう私は大丈夫だから…」
「よがっだよぉ!!」
妖鬼に殴りかかろうとしたのを忘れ、ミルが落ち着くまで頭を撫でた。
クリスマスですね。皆様はどうお過ごしですか?
自分は今年も特に用事はありません。
泣いてません、泣いてませんよ?本当に。




