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第25話 温泉街ニホン

遅くなって申し訳ありませんでした。

フェステの街から出発して5日が経ちもう少しでニホンにつくところまで来た。


この5日間は本当に大変だった。化けの皮が剥がれたエリスの行動を止めるのに必死だった。


ある時は竜車で移動しているのに竜車の中から出てきてアクセに乗らせろと言ってきたり、休憩中に魔物と戦ってみたいと勝手に行動したりと自由に動き回って大変だった。


中でも1番焦ったのがシズノの料理を手伝うんだと言って自分の指を深く切ってしまった事だ。シズノは包丁は危ないから駄目だと言っていたがすきを見て勝手に使ってしまったのだ。


エリスは指を切ってしまった事でパニックになり呪文を唱えられず魔法が使えなくて結局私が治したのだが、私も最初は焦ってシズノに言われるまではオロオロしていて使い物にならなかった。

シズノがいてくれて本当によかった…


そんな訳で色々あった5日間だったが良いこともあった。それは聖女であるエリスから魔王の情報を聞けたことだ。神崎達に聞いた時はミルが眠そうだったので人数しか分からなかったが種族等が分かったのだ。


私を除く5人の魔王はそれぞれ妖鬼ようき薔薇女帝ローズエンプレス、人魚、悪魔、龍という種族で積極的に人に危害を加えているのは妖鬼ようき薔薇女帝ローズエンプレス、悪魔の魔王達らしい。


妖鬼ようきはどうも戦闘狂の気があるらしく強い人を求めてさ迷い強者を倒して回っているらしい。そんなに強者と闘いたいのなら魔王同士でやればいいのにと思ったのだが、どうやら魔王達で協定があるらしく闘えないのだそうだ。


薔薇女帝ローズエンプレス妖鬼ようきとは違い人を攫う事を主にしていて、龍と悪魔はどうやらこの大陸とは別の大陸にいるらしくエリスも詳しくは知らないらしい。


そして驚いた事に人魚の魔王はある国の女王をしておりコルニア王国とも貿易をしているらしい。

いつかその国に行って魔王に会ってみたいな…


そんな事を考えていると遠くに大きな壁が見えてきた、おそらくニホンだろう。


「おーい!そろそろ着くから準備しといてねー!」


「「「はーい!」」」


うん、エリスは完全に聖女感が無くなったな、最初にあった時はわたくしって言ってたのに今ではウチだしね…

こんなんで街に行って大丈夫なのかな?まぁ今までも大丈夫だっただろうから大丈夫か。


壁に近づくと門番の人が声をかけてきた。


「止まれ!身分証の提示をお願いします。」


私がギルドカードを出している間に3人が出てきてミル以外が身分証を出す。


「Cランク冒険者の方でしたか、この街にはどの様な用事で?」


「依頼とちょっとした旅行です。」


「そうでしたか。ここの温泉はとても気持ちがいいので楽しんで行ってくださいね。」


シズノのギルドカードも見せ終えて門番の人に何か観光できる場所を聞こうとしたらエリスの身分証の確認をしていたもう1人の門番の人が大声をあげた。


「せ、聖女様!?」


声が聞こえた方を見るとエリスが聖女オーラ全開で門番の人と話している。なんか少し違和感が…


「お、おい。君たち聖女様と知り合いなのか?」


「この街までの護衛をしているだけですよ。」


一応否定しておいた。聖女と知り合いとなると色々と聞いてきそうだし。


その後門番がエリスに拝みだしたので急いで街の中に入る事にした。

街の中には木製の建物が多くあり今まで行ったことのある街とは違い和風な建物が沢山あった。


「ところでエリス、そのままギルドに行けばいいの?」


「いや、教会の方に行ってくれへん?」


さっきまでの聖女オーラは消え去り普通に話してくるエリス、こっちの方がエリスと話している感じがしていいな。


「了解。」


少しするとこの街には合わない西洋風の教会が見えてくる。

ここでエリスとお別れだな…そう思うと少し寂しくなるな、と思ったがそこまででも無かった。

まぁこれからも会えない訳ではないからね。


教会について司教の人にエリスを預けてギルドに向かおうとすると


「折角ですしお茶でもどうでしょうか?」


とエリスが言ってきたが早く温泉に浸かりたいし断るとむくれてしまったが無視する。

どうせここで了承してしまうと次は教会に泊まっていきませんか?ってなるのは分かっている。この5日間で学んだのだ。


ギルドに行き依頼完了の報告を終えて目的地の宿〈桜〉に向かう。ちなみにこっちの世界には桜は無いらしい。


〈桜〉はいかにも高級旅館という感じの見た目で中に入ると着物を来た女将さんらしき人が出迎えてくれた。

旅行券を渡すと宿の説明をされ、部屋に案内される。


部屋は広く、驚いた事に畳があった。部屋を見渡していると


「何か御用がありましたらご遠慮なくお申し付けください。それではごゆっくりどうぞ。」


女将さんが出ていき、私達も手荷物を下ろす。

私とミルは畳に寝っ転がりシズノは座布団に座る。


「折角ここまで来たんですし少し観光してから温泉に行きませんか?」


「そういうだろうと思って女将さんに聞いといたよ!」


実はこの宿の裏に川がありそこで釣りが出来るらしい。しかもそこで釣った魚を持ってくれば宿で調理して夕飯に食べることが出来るのだ!

その事を伝え早速釣り道具を借りて川に向かう。川には人はおらず私達の貸切り状態だった。


「釣りってどうやるんです?」


ミルは釣りを知らないらしい、ここは私が教えてあげなければ!


「釣りはね、この浮きの部分を遠くに飛ばしてとにかく待つんだよ。それで魚が餌に食いついたらこの浮きが沈むからそしたら思いっきり引っ張ってね。」


この釣竿にはリールが無く引っ張って釣り上げるしかない。

シズノは早速餌をつけて川に向かって竿を振っている。なんか凄い貫禄があるんだけど…地球で釣りやってたのかな?


私とミルもシズノに続いて竿を振る。

少し時間が経ちシズノの竿に反応があった。

シズノは慣れた手つきで魚を釣り上げそれをこちらに見せてくる。


「釣れました!…アユですねこれ。」


鮎か…塩焼きが美味しいんだよね。それにしても名前が一緒なのか。勇者が名付けたのかな?


その後1時間弱でシズノが3匹、ミルが2匹を釣り上げた。私?私は0匹だ。


「シズねぇ!見てください!ミルのすっごく大きいんですよ!」


「確かに大きいですね。これは美味しいですよ。」


「本当ですか!やったです!」


いいなー、楽しそうで…私なんか0匹だよ、0匹。

むぅ、こうなったら!


雷撃サンダーショック弱!」


川に弱めに雷を撃ち込むと3匹のアユが浮いてきた。

やった!私も3匹釣れた!


「シル、それは最早釣りではないのでは…」


シズノが何かを言っていたが私には聞こえなかった。


宿に戻りアユを渡して温泉に行き戻ってきた。

残念な事に温泉はひとが多くてとても入る気には成れず明日の朝に入る事にした。なので今回は部屋の外にある露天風呂に入る事になった。


露天風呂から上がり夕飯を待っていると女将さんが来て料理を運んできた。

料理の中には私達が釣ったアユの塩焼きとアユの刺身があった。アユの刺身は寄生虫が心配で確認をしたところ魔法で除去しているので大丈夫だそうだ。


アユの塩焼きは皮はパリッと香ばしく身はジューシーでとても美味しかった。アユの刺身も身は締りがよく歯ごたえもありこちらも美味しかった。


ご飯も食べ終わり明日の行動について皆で話し合い、明日はこの街の観光所を回るということになったので布団をしき寝ることになった。


私は最近、エリスと一緒にいて血が飲めなかったので寝る前にシズノから血を貰ってから寝た。




PV20000、ユニーク4000を超えました。

これからもよろしくお願いします。

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