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第24話 聖女②

前回の最後から2行目の地龍を地竜に直しました。


申し訳ありませんでした。

顔合わせの次の日の朝ギルドに行き聖女エリスを待ちながら地竜にちょっかいをかけているとギルマスが来た。


「思ったより早く来たな。」


「依頼人よりも遅く来るなんてありえないからね。ところで何か用?」


「ああ、その頑張れよ?」


?ギルマスが私に頑張れ?


「護衛を?」


「ま、まぁそれもあるが…そのうち分かる。」


なんだ?凄く不安になるんだけど…


「すいません。遅くなってしまいました。」


ギルマスと話していると聖女が来た。予定の時間よりも少し早めだから遅れてはいない。


「いえ、私達が早く来ただけですから気にしないで下さい。」


「そう言ってもらえるとありがたいです。」


「それじゃあ気をつけて行ってこい。まぁ5日くらいだしお前達なら大丈夫だろうが。」


温泉街ニホンまでは、馬よりも約2倍は速く、体力もずっと多い地竜で5日かかるらしい。馬だと2週間はかかるんじゃないかな?


聖女とシズノ達が竜車に乗り込み私も地竜に乗る。


「お願いね。」


撫でながら地竜にそう言うとクルルッと返事をしてくれた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


フェステから出発してから約2時間が経過した。

今日は天気が良くて日差しが暖かくて気持ちがいい。

吸血鬼なのに日差しが気持ちいいのは変だとは思うが気持ちいいのだから仕方ない。


「アクセも日差しが気持ちいいよね?」


クルル!


うん、アクセも日差しが気持ちいいみたいだ。

あ、アクセっていうのは地竜の名前で、2時間くらい考えてようやくつけた名前だ。ちなみにドイツ語のトカゲって意味のアイデクセからとってつけた。なんでドイツ語かというと、なんかカッコイイ読み方が多いからかな。


「それにしても暇だなぁー」


最初のうちは名前を考えながら景色を見ていて楽しかったけど、名前も決め終わって景色もそんなに変わらないから飽きてしまった。盗賊も魔物も覇者の威圧を使ってるから全く出ないし。


私が暇を持て余している間、竜車内からはは楽しそうな声が聞こえてくる。移動中はやることがないだろうし私が土魔法でリバーシを作っておいたのだ。

アクセの足音と3人の声を聞きながらさらに2時間が経ちお昼休憩をとることにした。


「そろそろお昼休憩にするけどいい?」


「分かりました。」


アクセを止めてバケツに水を入れ生肉をあげる。

その横でシズノが料理の準備を進めている。


「シズノ様は何をしているのでしょうか。」


「えっと、料理の準備を進めています。」


「料理ですか?あ、それと何時もの口調で大丈夫ですよ。わたくしはあまり気にしないので。」


「本当に?よかったー、あんまり敬語は慣れてないから助かるよ。それとシズノの料理は美味しいから楽しみにしてなよ?」


「は、はぁ…」


聖女は理解していなさそうな顔で返事をしてきた。

そこにミルが張り切った顔で来た。


「何かお手伝いする事はないですか?」


「うーん、残念だけど特に無いかな?」


「そうですか…」


う、凄くしょんぼりしてしまった。どうしよう…


「あの、でしたらわたくしとお話してくれませんか?」


「…!分かりましたです!」


おお、流石聖女!ミルの機嫌が治った。

2人が竜車の中に入っていったのを確認してアクセの体を洗い始める。


おー、やっぱり鱗がツルツルしていて触っていると気持ちいいな。


アクセの体を洗い終わる頃にシズノの料理が終わったみたいだ。


「作り終わったので2人を呼んできてくれませんか?」


「ん、了解。」


竜車に近づくと中から声が聞こえてきた。


「〜〜〜!」


話が盛り上がっているのかな?


コンコン


「2人共、料理が出来たよー」


あれ?返事が無い…話に夢中で声が聞こえてないのかな?しょうがない入るか。


「入るよ?」


ドアを開けるとそこには


「ミルちゃんはホンマにかわええなぁー!」


「え?え?聖女様?どうしたんです??」


さっきまでとは違う聖女と困惑しているミルがいた。


「…ごほん!ど、どうかされましたか、シルヴァ様?」


そう取り繕った様に言う聖女、けれどもう遅かった。


「いや、もうバレてるから…」


「………」


「そっちが素なの?」


「…はい。」


「それなら無理して丁寧に話さなくてもいいよ、この事は誰にも言わないから。」


「ホンマに!?ならそうさせてもらうわ!」


金髪碧眼の少女、しかも少し前まで神聖な雰囲気が出ていた子がこんな感じに喋ると違和感がすごい…


「いやー!さっきまでの喋り方きっついのよ!」


「う、うん。とりあえずシズノの方に行こうか…」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「え!?何でこんなに美味しいん!?」


そう言ってガツガツ食べる聖女、その姿に困惑するシズノ。うん、まずはシズノに説明だな。


「シズノ、聖女様はこっちが素らしいんだよ…」


「聖女様なんて言わずにエリスって呼んでくれてもええんやで!」


「は、はぁ…エリスさん?」


「なんや、シズノっち!」


「…シズノっち?」


「とりあえず一旦落ち着いて。」


なんかうるさくなってきたので一旦止める。


「それで、なんで口調変えてたの?」


「それはな?この口調だと聖女のイメージが崩れるって言って司祭様に怒られてしもうたんや。だから他の人がいる時はあっちの口調にしてんねん。あの口調覚えるのに苦労したわぁー。」


だろうね、完全にキャラが違うもん。


「えっと聖女になる前は何してたの?」


「孤児院にいたんや、それで普通に過ごしてたら急に教会のお偉いさんが来ていきなり聖女になってしもうたんよ。」


孤児から聖女にランクアップとは凄いな…


「そ、そうだったんだ。まぁ私達の前ではそっちの口調で大丈夫だから。」


「ホンマにありがとうな、シルヴァっち!」


シルヴァっちって…


「それでな?話は変わるんやけど、ミルちゃんをもう少し撫でさせてもらえへんやろうか?」


ミルの方を見るとまだ聖女がこんな感じになった事に混乱しているみたいで遠くを見ている。


「い、いいんじゃないかな?」


ミルにはこれに慣れてもらうしかないな…

頑張れミル!

それにしてもギルマスが頑張れって言ってたのはこれの事だったのか…

確かにテンション高いし結構疲れる…


「あー!かわええなぁー!」


ボーッとしているミルの頭を撫で回しているエリスを見てため息をつくのだった。



聖女のイメージが一気に壊れた回でした…

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