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第22話 武闘大会・決勝トーナメント

決勝トーナメント当日、決勝トーナメントに進んだ私を含めた8人は今くじをひいている。

どうやらこのくじで対戦相手を決めるらしい。

私が引いたくじには1と書いてある。


『さぁ!皆さん引き終わりましたね?それでは引いたくじを係員に渡してください。』


言われた通りに係員に渡す。

係員が何やら紙に書きそれを司会のエイラに渡すと


『…第一試合はAランク冒険者のグリーズ選手と分かっているのは名前だけのナナシ選手だ!』


なるほどくじの結果を渡したわけか…って私一番最初なのか。まぁ早く終わるぶんにはいいか。

そんな事を考えていると熊みたいな男が近寄ってきた。


「お前が俺の対戦相手か…」


なんだ?またギルドの時みたいに絡んできたのかな?


「お前が強いのは分かる、ただ手を抜かないで本気でやって欲しい。よろしく頼む。」


そう言って控え室に帰って行った。

うん、絡んできたのかなとか思ってごめん。

私は特に準備をする必要もないのでこのまま闘技場で待つ。五分くらいするとさっきのグリーズという人が戻って来た。


『両選手揃ったのでこれより第一試合を開始します!スタート!!!』


「おおおぉぉぉ!!!」


グリーズが大声を出し大剣を手に走ってくる。

まぁ相手が近づくまで待つわけないんだけどね。


稲妻ライトニング


「ぐぅぅ!!」


グリーズは呻き声をあげて倒れる。



『……はっ!ナナシ選手、グリーズ選手を一撃で倒してしまったーーー!勝者、ナナシ選手!!』


「「「「「「「うおぉぉぉ!!!」」」」」」」


「すげぇ!Aランク冒険者を一撃だってよ!」


「今の魔法発動するの速すぎないか!?」


なんか歓声がすごいんだけど…まぁいいか。次の試合まで控え室で待ってよ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


という訳で決勝戦です。

え?決勝までの試合はどうしたかって?

一撃で倒しました。だって真っ直ぐ突っ込んで来るんだもん。

決勝戦の相手はなんと同じD組だったイグナシオでした。


『さぁ武闘大会もいよいよ決勝戦です!決勝戦は同じD組だったイグナシオ選手とナナシ選手です!イグナシオ選手は様々な戦法で相手を倒してきました!それに対してナナシ選手は今までの試合全て一撃です!果たしてどちらが優勝するのか!それでは決勝戦スタート!!!』


「「「「「「「うおぉぉぉ!!!」」」」」」」


「火よ、球となり相手を燃やせ…火球ファイヤーボール!!」


『なんと!イグナシオ選手、火球ファイヤーボールを同時に10個も出しました!これはナナシ選手ピンチか!?』


おお、あれが呪文なんだ。初めて聞いた。

とりあえず水球ウォーターボールで火を消すか。


『今度はナナシ選手が無詠唱で水球ウォーターボールを10個出して火球ファイヤーボールを打ち消した!!』


「流石ね、でもこれならどう!?」


イグナシオが呪文を唱え始めた。


「炎よ、我が声に応え敵を消し飛ばせ!大爆…」


稲妻ライトニング


いや、長いよ。流石に私は詠唱を待ってあげるほど優しくないよ?


「そ、そんな…」


ドサッ


『イグナシオ選手が倒れたぁーー!よって第151回武闘大会、優勝はナナシ選手だぁーーー!!!』


「「「「「「うおぉぉぉ!!!」」」」」」


『ナナシ選手には旅行券と100年に1度しか作れない幻のお酒が渡されます!』


イグナシオは係員に運ばれて行き私には別の係員が来て旅行券とお酒を手渡して来た。


「これが旅行券と幻のお酒です。」


賞品を受け取りお辞儀をして控え室に戻り転移魔法でその場を後にした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


転移魔法で宿に戻り仮面を外して着替え終わるとすぐに闘技場の方に戻る。


「シルお疲れ様です。」


「凄かったです!」


大会終了後に闘技場前でシズノ達と待ち合わせしていたのだ。大会開催中は色々な屋台が出ていてちょっとしたお祭りになっており、せっかくだし見て回ろうという事になったのだ。


「遅くなってごめん。待った?」


「いいえ、私達も今来たところです。」


「です!」


「ならよかった、最初はどこに行くの?」


結構な数の屋台があるから全部回るのは無理だろう。


「喉が渇いたので飲み物が欲しいですね。」


「ミルもです!」


「じゃあ行こうか。」


「はい。それと、優勝おめでとうございます。」


「おめでとうございますです!」


2人に祝われるのは少し恥ずかしかったがそれよりも嬉しかった。


「2人ともありがとう。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それから私達は転移魔法でフェステの近くに移動した。初めて転移魔法を体験した2人は驚いていたがそのうち慣れるだろう。


門番の人達にギルドカードを見せて中に入り〈猫の尻尾亭〉で宿をとった。2人にはここで待っててもらうように言い私は宿から出た。


実は私達には今危機が迫っている。

それは…


「お金が無い!!!」


そうお金が無いのだ。シズノの弓を買ってからお金が少なかったけどこの間のお祭りでほとんど使ってしまったのだ…

その問題を解決するために今私は森に来ている。

森といっても普通の森じゃない、封印の森だ。

封印の森とは実は私が封印されていたらしい森で森の奥には多くの強大な魔物が生息しているらしい。


「というわけで、君には死んでもらわなきゃいけない!」


「ガァァァ!!!」


そして今私の目の前には茶色の鱗を持つドラゴンがいる。これは狩るしかない!


転移魔法で首の上に移動して黒帝で首を斬る。簡単なお仕事だ。ドラゴンの首が落ち巨体が倒れる、それらを亜空間にしまい次の獲物を探す…がさっきから全然魔物の姿が見えない。どうやらドラゴンを倒した私に怯えて出てこないらしい。


まぁドラゴンを売ればそれなりのお金にはなるだろうから今日はこれで帰るか、ギルマスにお酒を渡さないといけないし。


森から出て今はギルドに来ている。受付を見るとリリーさんは他の冒険者の相手をしていて忙しそうだ。仕方ないので誰一人並んでいないおっさんのところに行く。


「すいません、ギルドマスターに会いたいのですが…」


「おいおい嬢ちゃん、そう簡単にはギルマスには会えるものじゃねーぞ?何かあったのか?」


「いえ、ただギルドマスターに頼まれていた物を持ってきたんですけど。シルヴァが例のものを持ってきたって言ってくれれば伝わると思うんですけど。」


「まぁ一応確認してくるか。おーい!少し席外すから代わり来てくれ!」


「分かりましたー!」


おっさんは奥に行ってしまい他の受付の人が来た。


「どうかされたんですか?」


「いえ、ギルドマスターに頼まれた物を持ってきたんです。」


「ああ!あなたこの間のギルドマスターに呼ばれていた子ね?受付の皆で噂してたのよ、滅多に冒険者を呼ばないギルドマスターが人を呼ぶなんて一体何をやらかしたのかって。」


そんな噂がたっていたのか…ただ私が仮面の英雄だって事がバレてその事をばらさない代わりに少し頼まれ事をさせてくれってだけだったのに…

あれ?街の前を結構壊しちゃったしやらかしたって言えばやらかしたんじゃ…。まぁいっか!特に何も言われてないし!


「おい、嬢ちゃん確かにギルドマスターが伝わったよ。ちょっとついて来てくれ。」


「あら?もう行っちゃうのね、今度何をしちゃったのか教えてね?」


受付のお姉さんにそう言われつつその場を後にしておっさんについて行く。


「ここがギルドマスターの部屋だ。入り方は分かるな?じゃあ俺は行くからな。」


コンコン!ガチャ


「おい!黙って開けるな!」


「うるさいぞジジイ、それよりお酒を持ってきたぞ。」


「おい、一応ワシはギルドマスターなんだが扱いが酷くないか?…おお!それが幻の酒か!」


「帰っていい?」


「ま、まぁ待てそう急ぐことでもなかろう。少し座って茶でも飲んでいくといい。」


なんだ?少し違和感を感じる。まぁ丁度喉も渇いていたし飲んでいこうかな。


「ほれ、この茶は上手いぞ。」


渡されたお茶を飲んでみるとそれは緑茶だった。


「これって緑茶?」


「おお!知っておったか。その茶は東にある島国の大和ってところの知人から貰ったものでな結構いけるだろ?」


懐かしい味だ…これはシズノも喜ぶんじゃないか?

それに日本に似たところがあるんだ…いつか行ってみたいな。


「このお茶貰えない?」


「ふむ、まだ在庫もあるしいいぞ。」


やった!これでまた美味しい緑茶が飲める!


「ご、ごほん!と、ところでな?すこーし頼み事があるんだが…」


「頼み事?」


「う、うむ。まぁ頼み事というより指名依頼なんだが…」


「指名依頼って名指しのやつだよね?」


「まぁな。それでだ、お主達には護衛をしてもらいたいんだ。」


「ちょっと待って、私達はもう少ししたら旅行しに行っちゃうから駄目だ。」


せっかく貰ったんだから早速温泉に行きたいし。


「あ、あー。大丈夫だろう、目的地は一緒だし…」


待て、なんでギルマスが私達の旅行先を知ってる?


「何で私達の旅行先を知ってる?」


「あ!そ、それはな?えーと、」


なんだよその、しまった!みたいな顔は


「どういう事か説明してもらいたいんだけど?」


「は、はい。」


どうやらギルマスの知人の偉い人が温泉街に視察?をしに行く予定だったのだが、いつも護衛をしている腕の立つ人が病気になり護衛の戦力が減ってしまったらしい。

そこでギルマスに腕の立つ人を紹介してほしいと頼み込み白羽の矢が立ったのが私達だ。そもそもギルマスが個人で大会で優勝してほしいとお願いしていたし、優勝賞品を温泉街への旅行券に変えてしまえば私達も女だし行きたがってついでに護衛をしてもらえればと考えたそうだ。


「おい、最初から断れよ。」


「いや、だってワシも断ろうかと思ったんだけど前に貸しがあってな?断れなかった…」


断れなかった…じゃないよ!


「そもそも賞品を勝手に変えてんなよ!」


「違うぞ!ただ大会の主催者の商業ギルドのギルドマスターが知人ですこーし頼んだだけだ!」


「何が違うんだよ!嫌だからな!今回はゆっくりした旅行にするって決めてるんだから!」


「そんな事言っていいのか!?ワシはお前の秘密知ってるんだぞ!それに断るなら茶もあげないからな!」


このクソジジイ逆ギレしたな!?


「ずるいぞ!」


「ずるくないもーん!」


何がもーんだよ!強面のおっさんが言っても可愛くないよ!


「もー!分かったよ!やればいいんでしょ!それで誰を護衛するの!」


「ふふーん、最初そう言えばいいんだ。護衛の対象は聖女だ。」


へー、聖女ね。聖女…聖女?


「聖女!?」


「いきなり大声を出すんじゃない!茶が零れるだろう。」


お茶どころの騒ぎじゃないよ!聖女だよ!?


「聖女ってあの聖女だよね?」


「他にどの聖女がいるんだ、ちゃんと伝えたからな。明後日の昼に顔合わせがあるから忘れるなよ。」



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