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第21話 武闘大会・予選

神崎達と夕食を食べてから5日が経ち武闘大会当日になった。私は仮面をつけて新しいローブを着て大会の受付に来ていた。


「えっとナナシさんですね。メダルを出してください。」


前にもらったメダルを出す。


「はい、それではナナシさんはD組ですので右側にあるD組の控え室で待っていてください。」


言われた通りに控え室に入る。

部屋は結構広く中には20人近い数の人がいた。

空いている椅子に座り開会式の時間まで待つ。

30分くらい座っていると放送が流れてきた。


「選手の皆さんは闘技場に集まって下さい。繰り返します、選手の皆さんは闘技場に集まって下さい。」


もう開会式の時間か。

皆が移動して闘技場に向かう。

闘技場に着くとそこには100人近い人が集まっていた。これが今回の出場人数か、結構多いな。


『それでは!選手も集まったので開会式を行いたいと思います!司会は今回も私、エイラが務めさせていただきます!まずはルールの確認です!今回も特殊な結界が張ってあり、結界内で受けた傷は全て精神へのダメージに変換されます。そして失格の条件は気絶、場外に出る、魔道具の使用、のみです!あとは武術でも魔法でもなんでもありです!そして、本大会は予選と決勝トーナメントで2日に分けて行うので明日も是非来てください!』


へぇー、受けた傷が精神へのダメージに変換される結界なんてあるんだ。私にも出来るかな?


『さて、ルールの確認も終わったのでこれより第151回武闘大会を開始します!!!』



「「「「「「うおおぉぉぉ!!!」」」」」」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


大会は予選と決勝トーナメントで2日で分けるって言ってたな、それに予選1組につき2人が決勝トーナメントに行けるらしい。

それにしてもD組の番まで暇だな…

今日は朝も早かったし寝るか!亜空間から毛布を取ってっと…おやすみー。




ユサユサ!


「起きて下さい!もう予選始まっちゃいますよ!」


んぅ?誰だろう…シズノの声じゃないし…はっ!予選まだ始まってないよね!?


「あ、やっと起きた。もう予選始まっちゃいますよ!」


あ、受付のお姉さんだ。え、もう予選始まるの!?早く行かなきゃ!

お姉さんにお辞儀をして闘技場へ走る。


急いで行くとぎりぎり間に合った。


『さぁ、このD組は優勝候補のSランク冒険者、[爆炎]イグナシオ選手が居ます!彼女の炎から逃れて決勝トーナメントに進めるのは誰だ!!』


[爆炎]っていうのは二つ名なのかな?それにしても優勝候補か…彼女なら耐えられるかな?


『それではD組の予選開始!』


試合開始の合図と同時にイグナシオが囲まれる。


「いくらSランク冒険者とはいえ奴は魔法使いだ!魔法を使われる前にやっちまえ!」


「おぉ!」


へー、共闘もありなんだ。まぁなんでもありらしいしいいのか。


「おい、ボーッと突っ立ってんじゃねーよ!」


おっと私もそろそろやるか。

斧を振り下ろしてきた男を蹴り飛ばして場外に出す。


大爆発エクスプロージョン!!」


ドゴォーーン!!!


『ここで、イグナシオ選手の大爆発エクスプロージョンが決まったー!これわ喰らったらひとたまりもありません!』


イグナシオが魔法を放ったみたいだ、今ので6人が失格になった。

残り18人となったところで魔法を放つ。


雪嵐ブリザード


今回の雪嵐ブリザードにはこぶし大の氷塊を混ぜてみました!これで殺傷力も抜群だね。


『いきなり闘技場を吹雪が襲う!!一体誰の魔法なのか!?』


多分耐えられるのはイグナシオくらいだろう彼女はこの中だと私を抜いたら断トツで魔力量が多かったし。


『吹雪が止んできました!さぁ一体どれ位の選手が残っているのか!……な、なんと!残っているのはイグナシオ選手とナナシ選手のみです!他の選手は皆さん倒れています!よって決勝トーナメント進出はイグナシオ選手とナナシ選手です!』


「「「「「うおおぉぉぉ!!!」」」」」


『それにしてもさっきの吹雪は凄かったですね!優勝候補のイグナシオ選手ですらボロボロになっていました!その魔法を使ったのは今回初出場のナナシ選手!今回も面白い決勝トーナメントになりそうです!それでは今日の予選はここで終了です!決勝トーナメントに進んだ選手ほ明日の10時に闘技場に集合してください!』


やっと終わったか…じゃあ一足早く宿に帰ってようかな…

なんかイグナシオがこっちを見てくるんだけど無視しちゃお。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


宿に戻ると既にシズノ達が戻っていた。


「おかえりなさい。無事予選突破しましたね。」


「雪がぶわーってなっててすごかったです!」


「うん、あのイグナシオって人は優勝候補らしいからあれくらいは耐えられるかと思ってやったら結構ぎりぎりだったみたい。」


「確かにボロボロでしたね。ところで今回の大会の優勝賞品って知ってます?」


「酒じゃないの?」


それを飲みたいからギルマスがこの大会に出ろって言ってきたわけだし…


「いいえ、それは副賞です。優勝賞品は…」


なんだろう、副賞ですら相当珍しいお酒らしいし…

まさか1億ゴールドとかかな!?


「旅行券らしいですよ。」


「え?今なんて?」


「だから旅行券です、何でも温泉街らしいですよ。まさかこっちの世界に来てから温泉に入れるとは思いませんでした。」


「温泉ってなんです?」


「温泉っていうのはですね…」


お、温泉?…なんか副賞の方が豪華じゃない?

確かに温泉には入ってみたいけどなぁ期待が大きかったからその分落差が激しい…


「…という場所なんですよ。」


「おっきいお風呂!ミル、行ってみたいです!」


「シルが頑張って旅行券を貰ってきますから後日皆で行きましょう。」


「わーい!」


まぁ私も行ってみたいし、シズノ達が喜んでるしいいか、結局優勝はしなきゃいけないんだから。


「私に任せといて、パッパと優勝してきちゃうからさ!」


「それでは私達も応援頑張りましょうね。」


「いっぱい応援するです!」


さて、明日の決勝トーナメントに向けて準備を整えるとするかな。



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