第20話 勇者と魔王の夕食
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皆様本当にありがとうございます!
宿に着いて駄目になってしまったローブを脱ぐ。
「このローブ結構気に入ってたんだけどなぁ」
「新しいローブは今度買いに行きましょう。それより
、本当に大丈夫なのですか?」
「大丈夫だよ、もう腕も元通りだしね。」
「改めて見ると凄まじいですよね。完全に無くなってた腕が生えてきたのですから。」
「だよね、生えてきた時気持ち悪かったけど。それよりも神崎って何者?聖剣持ってたし…」
「シルは聞いてませんでしたっけ?勇者らしいですよ。」
「勇者!?え、本当?」
「はい。自分でそう言ってましたから。」
「ミルも聞いたです!勇者をしてるって言ってたです。」
神崎は勇者なのか、完全に私と対極な存在だな。
「やっぱり勇者って魔王を倒したりするのかな?」
「そうなんじゃないですか?」
じゃあ魔王について知ってる可能性が高いよね。後で聞いておこう。
くぅー
そう言えばお昼食べてなかった…
「お腹減ったのです?」
「うん、お昼を食べようと外に出たんだけど結局食べられなかったからね。」
「何か作りましょうか?」
「いやせっかく彼等が夕食を奢ってくれるんだ。変な時間に食べて夕食が入らなかったら勿体ないからいいよ。」
「ミルも食べていいんです?」
「勿論!お腹いっぱい食べていいよ。」
「やったです!」
おお、尻尾がブンブンしてる。
そう言えば前から思ってたけどミルって何の獣人なんだろう?
「前から思ってたけどミルって何の獣人なの?」
「あれ?シルは知らなかったのですか?狼人といって狼の獣人なんですよ。」
「ミルは狼なんです、強いんですよ!ガオー!」
両手を上にあげてガオーって言うミル可愛いなぁ、癒される。
「シズノは知ってたの?」
ミルの頭を撫でながら聞く
「はい、最初にミルのステータスを鑑定した時に見ましたから。」
「そうだったんだ。」
そのまま談笑していたらいつの間にか外が暗くなっていた。
「そろそろ来るのかな?」
コンコン
「タチバナという方がお客さんを迎えに来たと言っているのですが」
丁度来たみたいだ。
「分かりました、すぐに行きます。」
部屋を出て一階に行くと橘さんが待っていた。
「あれ?神崎はいないの?」
「……はい、ソウ君は先にお店に行ってもらってます。それにしてもシルヴァさん美人過ぎてびっくりしましたよ。その服も可愛いですし。」
ローブが焼けてしまったので今はキャサリンのところで買った服を着ている。
最初はズボンを履こうとしたのだがシズノとミルに止められて女性用の服を着させられた。
「そうなんですよ。けれどシルは男性用の服しか着ないし何時もローブを被ってるんですよ。」
「え!?シルヴァさん勿体ないですよ!せっかく美人さんなのにそれを隠すなんて!」
「そうですよね。それにシルは朝起きたら面倒くさがって髪もとかさないんですよ。」
「えーっ、私なんか何時も髪のセットにどれだけ時間がかかっていると…」
そのままシズノと橘さんは美容や服の話を続け、話に入れない私とミルは2人で夕食の話をしていた。
案外シズノと橘さんは気が合うのかもしれない。
そんな事を話していると高級そうな店についた。
「え、もしかしてここに入るの?」
「そうですよ?どうかしましたか?」
どうかしましたか?って、こういう店って入るのにドレスコードとか必要なんじゃないの?
「えっとこのお店は私達の服装だと…」
シズノも同じ事を考えていたようだ。ミルはすごいですねーと言っている。
「大丈夫です、お店の方にも伝えておきましたし今日は個室なので気にしないでいいですよ。私とソウ君も普段の格好ですし。」
そう言って中に入っていってしまった。私達も慌てて追いかける。
店員さんに案内されて個室へ行くと神崎が座って待っていた。
「遅かったじゃないか、楓。」
「高嶋さんとお話しながら歩いたから遅くなっちゃったの。」
「ならしょうがないか。こんばんは高嶋さんにミルちゃん。あのシルヴァってやつはどうしたんだい?それにそちらの綺麗な女性も…」
…私がシルヴァって気づいてない?
ああ!服装が違うからか!
「私がシルヴァだけど?」
「何を言っているんだい?あいつは男だよ?」
「いいえ、この人がシルです。」
「え?」
「大体ソウ君、ミルちゃんがシルねぇって言っているんだし女の人って分かるよね?声も女の人だし。」
「せ、性別を間違えてたのは悪かったけど!高嶋さんは弱味を握られているんじゃ…」
「それは勘違いだって言ったのにソウ君聞かないんだもん。」
「そ、それじゃあ僕は勘違いであんな事を…ご、ごめんなさい!」
なんかさっきまでとキャラが違くない?
「それはいいよ。何ともなかったしそれよりもご飯食べよ?お昼も食べてないからお腹減っちゃったよ。」
「そうですね。私もお腹が減りました。」
「ミルも!」
「それじゃあ料理を持ってきてもらいましょうか。」
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いやー、美味しかった。高級そうな店だからフランス料理みたいなのを想像してたけど結構ガッツリしたものだった。
「美味しかったですね。」
「うん。でも高級店っぽい料理じゃあ無かったよね。」
「それは特別に作ってもらったんです。ミルちゃんも居ますからコース料理は食べにくいかなって。」
それはありがたい、正直私もコース料理とかの食べ方は分からないし…
「あ、ところで神崎は勇者なんだよね?」
「は、はい。このコルニア王国に召喚魔法で呼ばれたんです。高嶋さんも一緒に呼ばれたんですけど事故で離れた所に落ちてしまったらしいんです。」
この国ってコルニア王国って言うんだ、今更知ったよ…
それに、神崎の誤解が解けてからどうにも喋り方に違和感が…
最初に会ったときは怒鳴ってきてたのに今じゃ丁寧に話してくる。
「そうだったんですか。ところであの時教室にいた方はどうしたんですか?」
「彼なら、せっかくの異世界召喚なんだし俺は自由にやる!って言ってすぐに王城から出ていってしまって今は何処にいるか分からないんだ。」
もう1人は馬鹿だな。右も左も分からない状態なのに適当に行動するなんて。
「ところで勇者がいるなら魔王もいるんだよね?」
これで上手く魔王について聞き出せるかな?
「はい、この世界には5人の魔王がいたらしいんです。」
ん?いたらしいってどういう事だ?
「ただ僕達が召喚されている最中に新たな魔王が生まれたらしくて…」
あれ?もしかしてそれって…
「どうも南の方で生まれたらしいんです。それで今は6人いるんです。」
はい!確実に私です!
「ろ、6人もいるんだ。」
「でも人に積極的に危害を加えているのは3人だけなんですよ。」
「そうなんだ。」
「はい、それを討伐するのが僕の役目なんです!」
「じゃあ魔王だからって全部を討伐する訳じゃないの?」
「そうなんです。中には人には全く興味の無い魔王もいるらしいです。」
「へぇー、初めて知ったよ。」
「シル、そろそろ帰りませんか?ミルが凄く眠そうです。」
本当だ、舟をこいでる。
「ミルちゃんも眠そうですし今日はお開きですね。」
「じゃあ僕達も帰ろうか。シルヴァさん今日は本当に申し訳ありませんでした。今まで高嶋さんがどこかに飛ばされて無事か分からなかったのでピリピリしていて…」
「大丈夫だよ。今日も夕食奢ってもらったしチャラでいいよ。」
「ありがとうございます。」
日本人組と別れて宿に帰ったのであった。




