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第13話 主人と奴隷

PVが5000、ユニークが900を超えました。

ありがとうございます!

「さて、呪いの事もあるし早く宿に行きたいんだけど、その前にこの子の服と靴を買わなきゃな。」


今着ている物はボロボロのワンピースだけだ。靴も履いていなく裸足である。このままだと怪我をしてしまう。


「ほらこっちにおいで。」


呼ぶと不思議そうな顔をしながら近寄ってくる。


「両腕をあげてみて?」


素直に言うことを聞き両腕をあげたところで脇の下に手を入れて持ち上げる。女の子はびっくりした様で少しバタつく。


「ほら、暴れないでね。うーん、軽いなぁ…もう少し重くならないとね。靴履いてないと危ないから靴屋さんまでは抱っこして行くからね。シズノ、靴屋と服屋ってどっちだっけ?」


「えっと、雑貨屋さんの反対にあったはずです。」


「よし、じゃあ行こうか。」


女の子は大人しくなったが今度は強く抱きついてきてる。この歳では普通は親と一緒にいるはずだ。それが親と離れてしまって寂しいのだろう。

そのまま歩いていると


「あ、あのお店です。」


シズノが少しおしゃれな看板がかかっている店を指さした。


「へぇ、結構雰囲気のある店だね。」


そう言い店に入ると


「いらっしゃーい。あら可愛い子達ね。これは腕が鳴るわ!」


ピンク色の可愛いスカートを履いたムキムキの男が出てきた。


「「「!?」」」


これには3人で驚いていると。


「あら。どうしたの?」


小首をかしげて聞いてくる。凄まじい威力だ…

というか、こっちの世界にもいたんだ。


「いえ、何でもないです。」


「あら、そう?ところで今日は誰の服を買いに来たのかしら?全員の分?」


「あ、いえ、この子の服を買いに来たんです。」


「そっちの獣人の子?なんて名前なのかしら?」


あ、そういえば名前をまだ聞いてない。


「この子はミルっていうんです。」


なんでシズノは知ってるんだ?ああ、鑑定か。


「ミルちゃんって言うのね。本当に可愛いわね、食べちゃいたいくらい♡」


ミルは今の発言に驚き更に強く抱きついて首をブンブン振っている。


「あらあら、怖がらせちゃったかしら?冗談よ、冗談!ところで貴女達2人は服は買わないのかしら?今着ている服も男物でしょう?」


「別に私は「買います!」気にしてない…え?」


シズノが凄い勢いで返事をする。


「服、買います!何時までも男性用の服は嫌です!シルヴァももっと可愛い格好をした方がいいです!折角可愛いのに!」


「え、いいよ私は。シズノは買いたいなら買っていいよ。」


「あら、駄目よ。女の子が男の格好なんて」


「え、本当にいいですから!ちょ、待って、服引っ張らないで!」


「ほら諦めなさい!シズノちゃんもこっちにいらっしゃい。」


〜〜〜1時間後〜〜〜


「うぅ、疲れた。」


「シルヴァもミルも似合ってますよ!」


「本当、素材がいいから悩んじゃったわ。」


あれから私とミルは2人の玩具にされ何十枚も着させられた。お返しにシズノにもやろうとしたがいつの間にか選んであって出来なかった。結局買ったのは計30着、金貨2枚分であった。


「それでは私達はこれで。」


「待って。私の名前はキャサリンよ。私だけ貴女達の名前を知ってるのも不公平でしょ?それじゃあこれからもご贔屓にしてね♡」


キャサリンと別れたあとはスムーズに靴を選び終えようやく宿に戻る事が出来た。

今日は部屋で食事を摂ると女将に伝える。


「やっと宿に着いたー!」


「そうですね。それでは早速呪いの方を…」


「そうだね。ミル、こっちにおいで。」


ミルは少し不安気な表情で近づいて来る。


「大丈夫。すぐに終わるからね。」


ミルはこくこくと頷く


解呪ディスペル


呪いが少し強かった為、魔力を多く込める。するとミルの喉が淡く光る。光が収まると黒いモヤは消えていた。筋肉が弱っているだろうから念のため回復魔法をかけておく。


「ほら、もう大丈夫。ゆっくり喋ってごらん。」


「…ぁ」


「大丈夫、慌てないでゆっくり。」


「で、出ます…声が出ます!ぅぅぅ…うわーん!」


嬉しかったのだろう、泣いてしまった。


10分くらい経っただろう。ミルは鼻をすすりながら声を出した。


「…グスッ、あ、ありがとうございますです。もう一生声が出せないと思ってたです。グスン、こ、これから一生懸命シルヴァ様とシズノ様に仕えるのです!」


そうミルが叫んだところで


コンコン!


「夕食を持ってきましたー!すいませんが開けてもらえますか?」


女将さんが来たようだ。


「この話は夕食の後にしようか。」


机に3人分の食事が乗る。今日は白パンにホワイトシチュー、角牛ホーンキャトルのステーキだ。


「美味しそうだね。ほらミルも座りなよ。」


「わ、分かりました。」


そしてまた床に座ろうとする。


「待った!また床に座ろうとする。ちゃんと椅子に座りな?」


「で、でも普通、奴隷は一緒に座らないんですよ?」


「いいから。私もシズノもそんな事気にしないって、 ね?」


「はい、ですので椅子に座りましょう?」


「じゃあ食べようか。いただきます。」


「いただきます。」


お、このシチュー美味しい。


「ミル、何か嫌いなものでもありましたか?」


「え、シルヴァ様とシズノ様の残したものを頂けるんじゃ…」


「いや、違うからね?そこにあるのがミルの分だからね?」


「えぇ!?奴隷がご主人様と同じ時に同じ物を頂くなんてありえませんですよ!」


「そこは慣れてもらわないと。あ、折角だしその首輪取っちゃう?」


「え。ご、ごめんなさい!何かご無礼を働きましたですか!?お願いです。捨てないで下さいです!」


なぜかミルが突然謝り出した。


「だ、大丈夫!ミルのことは何があっても捨てないから!落ち着いて?」


「ほ、本当です?」


「本当ですよ?一体なんでそんなに慌てていたのですか?」


シズノが聞きたいことを聞いてくれた。


「えっと、首輪を外すってことはもうミルのこといらないのかなって思ってしまったです。」


「シルヴァはそういう意味で言ったんじゃありませんよ?最初に言いましたよね?ミルは今日から私達の仲間なんです。仲間だから奴隷の首輪を取ろうとしたのであって決してミルの事を捨てようとしたんじゃありません。」


「本当です?」


「はい。本当です。」


「ならミルはずっとシルヴァ様とシズノ様と一緒にいていいですか?」


「勿論です。」


「ありがとうございますです!」


そう言うと本当に嬉しそうに笑った。


「それじゃあご飯食べちゃいましょうか。」


「はいです!」


ミルはそう言うとステーキにかぶりついた。

意外と豪快だな…


「それとさ、敬語もシルヴァ様ってのもやめない?なんか恥ずかしいしさ…」


「あ、私もシズノ様はやめて欲しいですね。少し恥ずかしいですし…」


「あの、じゃあなんて呼んだら?」


「ミルが考えていいよ。」


するとミルが少しモジモジし始めた。

どうしたんだろう。


「あ、あの!」


「ん?どうしたの?」


「し、シルねぇとシズねぇって呼んじゃだめですか?」


首を傾げ、少し照れながらそんな事を言ってくる。


や、やばい!可愛すぎるぞウチの子!シズノは理性が負けたのかミルの事をわしゃわしゃ撫でている。


「ああもう!可愛すぎます!」


「わわっ、ぐらぐらしますです!」


あの、ちょっと撫ですぎじゃないかな?料理が冷めちゃうよ?シズノを止めて夕食を食べる。

夕食を食べ終わり先程の話の続きをする。


「えっとね、さっきシズノが言った通り私達はミルの事を奴隷とは思っていない。だから仕えるとかじゃなくて仲間として扱いたいんだ。」


「分かったのです。」


「それでその首輪を取るかって話なんだけど…」


「えっと、えっとそれは嫌だなって思うのです。」


「どうして?」


「うーん、シルねぇとシズねぇに初めて会った記念?になるからです。」


記念とは違うと思うがミルが嫌なら取らない方がいいな。


「そっか、分かった首輪は取らないでおこう。」


「ありがとうなのです!」


「それじゃあご飯も食べたし後はどうしようか。」


「あの、それでしたらお風呂に行きませんか?今まで浄化ピュリフィケーションで済ませてましたが、時間もありますし。」


「お風呂ですか!?初めて入るです!」


「じゃあ大衆浴場に行こうか。」


そして3人で支度をし大衆浴場へ向かうのであった。





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