表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/37

第11話 仮面の英雄

朝、シズノに起こされて朝食を食べてからすぐにギルドへ向かう。


「こんなに朝早くから行かなくてもいいんじゃない?ファ~」


まだ朝の6時だ。欠伸が止まらない。


「早く情報を集めないといけませんから。」


ギルドに着きリリーさんを探す。


「あ、いた。」


「リリーさん!」


「シルヴァさんにシズノさん!おはようございます。」


呼んでみると手を止めてこちらを向いてくれた。


「すいません。お邪魔でしたか?」


「いえ、丁度終わったところでした。どうかされましたか?」


「昨日のゴブリンの件なんですが。」


「ああ!聞いてください!王都からAランクパーティが2組みも来てくれる事になったんです!これでもう大丈夫だと思います!」


そうだったのか。これで私がやらなくても大丈夫そうだな。シズノは少し残念そうだが。


「そうなんです。それは安心ですね。」


「はい。今日のお昼前に着くらしいのでお昼過ぎには討伐隊を組んで森へ向かいます。討伐隊はDランクからしか入れませんのでシルヴァさん達は入ることができません。」


「分かりました。それにしても王都からこの街までそんなに近いんですか?」


「そんな事ありません。普通の馬車なら1週間はかかってしまいます。けれど今回はワイバーン便を使っていますので。」


「ワイバーン便ですか?」


「はい。調教スキルを持った方が卵から孵したワイバーンを使ってやっているんですよ。速いぶんお金はかかりますが今回はギルドが負担するそうです。」


そうなのか。それにしても馬車で1週間かかるところを1日弱とはすごいな。


「私達が出来ることは無さそうですね。では1度帰ります。」


「分かりました。それでは私も仕事がありますので。」


リリーさんと別れて宿に戻る。


「それにしても無事にすみそうでよかったね。」


「私はシルヴァがやってくれた方が嬉しかったんですけど……」


「まぁまぁいいじゃない。それよりももう少し寝ていい?まだちょっと眠たくてさ……」


「むぅ……」


シズノはむくれているがまぁしょうがない。寝るか


「おやすみー」


ウゥゥゥー!ウゥゥゥー!


?サイレン?


「冒険者の皆様は至急冒険者ギルドまで集まって下さい!繰り返します!冒険者の皆様は至急冒険者ギルドまで集まって下さい!」


「何かあったんでしょうか。」


「取り敢えず急ごう。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ギルドに着くと既に多くの冒険者が集まっていた。


「なんかあったのか?」


「いや分からねぇ、だが集合がかかるなんて滅多に起きねぇぞ。」


どうやら他の冒険者もなぜ集められたかはわかっていないようだ。


「大体集まったな。」


声がした方を見るとギルドマスターが立っている。


「なんで俺達は集められたんだよ!」


「それは今から説明する。静かにしてもらおうか。」


そう呼びかけるとさっきまでざわついていたのが収まった。


「今回集合してもらったのは件のゴブリンのせいだ。」


ゴブリン?それだったら今日の昼過ぎに討伐に向かうんじゃ…


「それは昼過ぎに討伐するって聞いたぞ」


「俺もだ」


やはり他の人もそう聞いているらしい。


「静かにしろ!…そのゴブリンが街へ向かってきておる。」


辺りが緊張に包まれる。


「偵察に向かっていた者の話だとゴブリン将軍ジェネラルが3体、ゴブリンロードが1体いるそうだ。」


「なっ!?」


将軍ジェネラルが3体にロードが1体だと!?」


「無理に決まってる!」


周りがそう騒ぐが


「静まれぇい!!!」


ギルドマスターが一喝し騒ぎを収める。


「今回はワシも出る。それに何も殲滅をするって訳では無い。昼前まで持たせればAランクパーティが2組み来る、それまで凌ぎきるだけだ。それすら出来ない腰抜けは今すぐ帰っていい。そんなやついても死体が増えるだけだ。」


「ギルマスが出るなら行けるぞ!」


「そんな事言われて逃げる様な腰抜けはここにはいねーぜ!!」


「やってやるぞ!!」


ギルドマスターが喋り終わると皆が叫びだした。


「え、え、え?なんですか?なんで皆さん急に叫んでるんですか?」


「なんだ、お前ら知らねぇのか!ギルマスはなぁ、全盛期は[豪鬼]って二つ名で名を馳せた冒険者なんだぜ!」


「ご、豪鬼?」


「ああ、岩をも砕く豪腕で敵を薙ぎ倒す姿はまさに鬼

!最高でSランクにまでなったんだぞ!」


ギルドマスターって強かったんだな。ただの強面のおっさんだと思っててごめん。


「てめぇら!今すぐ北門行ってゴブリン共を皆殺しにすんぞぉ!!」


「「「「「「「「「オオォォォ!」」」」」」」」」


「お、おー!」


「シズノ、無理して叫ばなくてもいいよ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さぁ、シルヴァ!仮面をつけましょう!」


「本当にやるの?やだなぁ」


「ほら早く!」


「えぇー、でも声出したらバレちゃうかもしれないし、台詞は無しでいいですか?」


「せっかく練習したのにですか?」


「お願いします!」


「んー、しょうがありませんね。いいですよ。」


やった!

これであの恥ずかしい台詞を言わなくて済む!

あんな台詞人前ではとても言えない…

とりあえず仮面をつけてみる。


「どうかな?」


「うーん…シルヴァさんには見えませんね。フードも被っているし…大丈夫だと思います。」


「じゃあ行ってくるね。」


「はい。私も北門へ行きます。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「てめぇら!一匹も通すんじゃねーぞ!」


「来ました!ゴブリンの軍勢です!」


「「「「「「「グギャギャギャ!!」」」」」」」


「お、おい。こんなの聞いてねーぞ!」


「な、なんだよこの数…1000はいるんじゃねーか?」


「む、無理だ…こんなの凌ぎきれねーよ……」


そう、ゴブリンの軍勢は約1000匹はいた。対して冒険者達はせいぜい100人。圧倒的に不利なのは人間側だった。


「おい、あそこに誰かいねーか?」


「なんだよ!こんな時に!」


「だから!あそこに誰かいねーかって言ってんだよ」


「どこだよ!」


「ゴブリン共の前だよ!」


男が目を凝らすとそこには白い仮面を着けたローブの人物がいた。


「おい!てめぇ!死にてぇのか!戻ってこい!」


男はそう叫ぶがローブの人物は動かない。

ゴブリンがローブの人物に襲いかかる。誰もがローブの人物が死んだ、とそう思った時。


「ーーー」


ローブの人物が何かを呟いた。

するとゴブリンの軍勢の前に大きな氷塊が現れる。


「おい!なんだあれ!?あんなデカイ氷塊を魔法で出したっていうのか……?」


「俺が知るか!」


冒険者側に動揺が走る。しかし、突然現れた氷塊に困惑しているのは冒険者だけではない。ゴブリンもまた氷塊を警戒してタタラを踏んでいる。

人間、ゴブリン両方が動けないでいると。


「ーーー」


ローブの人物がまた呟いた。

今度は何が起こる、そう誰もが思った瞬間


太陽が墜ちた


そう表現するしかない程大きな炎が降ってくる。


ドゴォォーーーン!!!


冒険者達を光と爆音が包む。

光と爆音が収まるとそこにゴブリンの軍勢は居なかった。


「お、おい…やったのか?」


「あれだけの軍勢をたったの一撃で…だと?」


「やったぞ!勝ったんだ!」


「「「「「「「「ウォォォォ!!!」」」」」」」」


「あのローブの奴は何者なんだ。」


「何者だっていいさ!あいつが俺達と街を守ってくれたんだからな!」


「あいつは英雄だ!」


「そうだ!仮面の英雄だ!」


フェステの街に新たな英雄が生まれた瞬間だった。



やっと仮面を使いました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ