第9話 初の依頼
PVが3000を突破しました!
皆様ありがとうございます!
「起きて下さい。」
ゆさゆさ
目を開けるとシズノの顔があった。
「あ、やっと起きましたね。早くしないと朝食の時間がなくなっちゃいますよ!昨日もあのまま寝てしまって夕食食べてないんですから。」
ああ、一緒に泊まったんだっけ、それにしても眠い。こっちに来てから寝なくても大丈夫だったのに…吸血鬼だから朝が苦手なのかな?
「うーん…もうちょっと、先に食べてていいよ。」
「駄目です!一緒に食べるんですから。早く起きて下さい。」
ゆさゆさ、ゆさゆさ
「う、分かったからもう揺らすのやめてぇ。」
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身支度を整えて食堂に行く。
食事を受け取り席につく、メニューは白パンに野菜のスープ、兎肉のソテーにチーズとボリューム満点だ。
「凄い量ですね…」
「そうだね。でも、美味しいよ。」
「そうですね。お肉も柔らかくて美味しいです。」
食事をしながらこの後の予定について話す。
「この後どうしますか?」
「ギルドに行って依頼でも受けてみない?」
「初の依頼ですね。少し緊張します。」
「そんなに難しいのは受けないし気楽にいこうよ。」
「それは分かってますけど…やっぱり緊張しちゃいますよ。」
朝食を食べ終えて1度部屋に戻り装備を整えて宿を出る。少し歩きギルドにつくと
「あれ?今日はあんまり人がいませんね。」
「それはそうですよ。いい依頼は朝早くに取られちゃいますから。」
受付からリリーさんが声をかけてきた。
「リリーさんおはようございます。」
「おはようございます。そうなんですか?」
「はい。おはようございます。ですから今残っている依頼は旨みが少ないものか常時ある依頼だけですね。」
「常時ある依頼とは?」
「薬草採取やゴブリン狩りですね。薬草は治癒薬の原料ですので幾らあっても困りませんしゴブリンは少し目を離すとすぐに増えますから。」
「そうなんですか。」
「それじゃあ今日はその依頼を受けようよ。」
「分かりました。ところで依頼ってどうやって受けるんですか?」
「すいません。昨日説明をしていませんでしたね。依頼はあちらにあるボードに貼っております。通常
は貼ってある紙を受付に持ってきていただき依頼を受けていただきます。しかし常時あるものに関しては受付で口頭で伝えてください。」
「なんで常時クエストは口頭なんですか?」
「毎回毎回貼り直すのは手間ですから。」
なるほど、確かに1度成功したら終わりの依頼とは違って使い回しになるからお金がかかるのだろう。紙だって無料ではないのだから。
「分かりました。それじゃあ薬草採取とゴブリン5匹の討伐をお願いします。」
「はい。承りました。薬草は10本を1束にして下さい。それとゴブリンは右耳を切り取って持ってきてください。討伐証明になりますので。」
「了解です。」
「お気を付けて。」
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「依頼の受注もしたし行こうか。」
「待って下さい。治癒薬と矢を数本買いたいのですが。」
「治癒薬か。魔法でも治せるけど一応買っておくか。矢はあと何本あるんだっけ?」
「あと12本です。動く的を射抜くのも初めてですので少し多めに買いたいです。」
「分かった。武器屋って何処にあるか知ってる?」
「はい。昨日リリーさんに聞いといたんです。たしか西の通りに行って3軒目のところです。」
「よし、じゃあ行こうか。」
「ここが武器屋か。」
「いらっしゃいませ!何かお探しですか?」
「はい。矢と矢筒が欲しいんですけど。」
「矢と矢筒ですね。少々お待ち下さい!」
「矢筒って何?」
「矢筒は名前の通り矢を入れるための筒です。これがあればシルヴァにわざわざ出してもらわなくても大丈夫ですから。」
なるほど確かに矢を撃つ毎にわざわざ渡すのは面倒だし矢筒はあった方がいいな。
「はい。持ってきました。今は3種類ずつしかなんのですが…」
「ありがとうございます。えっと…この矢を18本と、この矢筒を下さい。」
「分かりました。装備をされて行きますか?」
「お願いします。」
あっという間に決まってしまった。ちゃんと選んでいるのだろうか?
「では大銀貨5枚です!」
「はい」
「またの御来店お待ちしております!」
店を出て雑貨屋で治療薬を買い、北門へ向かう。
「結構早めに決めたけどちゃんと見れた?」
「はい。鑑定があるので簡単に品定めが出来るんです。」
へぇー、便利だなぁ鑑定。私も欲しいなぁ。
「最初に薬草採取してからゴブリンを狩ろうか。」
「そうですね。」
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今は森に着いて薬草採取をしている。
「あの、これも全部毒草です…」
まただ、なんで私が採取したのは全部毒草なんだ!!!
「いや、薬草と毒草は見た目が似ているので誰でも間違えちゃいますよ!だから落ち込まないで下さい!」
シズノは慰めてくれるが…
「でも!シズノはさっきから間違えてないじゃん!」
そう、今ここにある10束全部、シズノが集めた物なのだ…
「そ、それは鑑定があるからなので…」
私も鑑定欲しいなぁー!
「あの、そろそろ薬草採取は止めてゴブリン狩りに行きましょう?それならシルヴァも活躍出来ますし!」
「うん…そうする…」
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「グギャギャ!」
「死ねぇ!」
ザクッ!
ゴブリンの頭が吹き飛ぶ。
「風の刃《ウィンドカッター!》」
「「「「グギャ!」」」」
「ふぅ…終わった。シズノ、そっちは大丈夫?」
「はい。私も終わりました。」
あの後ゴブリンを狩るために森の中に入り探索していたら10匹ほどの群れにあったのだ。そこで驚いたのがシズノに血への耐性があった事だ。
「シズノは血とか大丈夫なの?」
「はい。父が猟銃の免許を持っていまして、たまに連れていかれてたんですよ。そのお蔭ですかね?」
だから血に耐性があったのか。
「それにしてもゴブリンを見る目が怖かったんだけど…」
「あいつらは人間の女性を攫って無理やり犯して種の数を増やしているらしくて、それを聞いたら怒りが湧いてきまして。」
な、なるほど…シズノは怒らせないようにしよう。
「じゃあ右耳を切り取らないと」
「私は矢の回収をして来るのでお願い出来ますか?」
「ん、了解。」
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「耳も切り取り終わったし帰ろうか。」
「そうですね。街まで距離もありますし早めに帰りましょうか。」
ガサガサッ!
「なんか音がしなかった?」
「魔物かも知れません。」
「ガウ!」
低木から灰色の狼と黒色の狼が飛び出してきた。
狼達は武器を警戒してか、威嚇をしてくる。
「シズノ、こいつらは?」
「えっと、灰狼と黒狼です!」
「そっか。…ちょっとやりたい事があるから下がってて」
「え、でも!」
「いざとなったら助けてくれれば大丈夫だから。」
「…分かりました。」
そこら中にはゴブリンの血がある。この匂いにつられて来たのだろう。だけどこの血は私の武器にもなる。
「血の弾丸」
ゴブリンの血が集まりウルフ達に飛んでいく、これには狼達も驚いたのか避けようとするが被弾する。しかし、致命傷には程遠く狼達は襲いかかってくる。
「「「「「ガウ!!」」」」」
「シルヴァ!!」
シズノは慌てて弓を撃とうとするが、手を上げそれを止める。
「血よ、我が元へ集まれ」
すると、狼の傷口から大量の血が流れ出て集まって来る。狼達は身体から血がなくなり地面に倒れこんだ。
「何を…したんですか?」
「血魔法でこいつらの血を集めたんだよ。多分魔力の大きさがこっちの方が圧倒的に多かったから出来たんだと思う。ドラゴンとかにやろうと思っても出来ないよ。」
「なんですかそれ…強すぎじゃないですか…って!それは置いといて!心配したんですよ!?」
「ごめんごめん」
「全く!これからそういう事をするんだったら事前言っといてください!」
「かしこまりました。お嬢様。」
「…!茶化さないで下さい!行きますよ!」
こうして初の依頼を終わらせ街に帰るのだった。
12/1に魔法の表記を変更しました。
細部の変更をしました




