第6話:正義が無敵なことはジャンプと日曜の朝のテレビと御っぱい様が証明してくれる
なんかタイトルがギ○タマっぽくなってしまった…
将也とリヴェータは宿の1階の食堂で夕食を食べていた。
あまり柔らかくないパンとコンソメっぽい味のスープと鳥肉っぽいやつが出された夕食であった。
「どうしたの?やっぱり疲れてる?」
「べつに」
「料理おいしくなかった?」
「べつに」
二人席に向かいあって座っていたが、将也の表情がインド人とエリカ様もビックリするような無表情で感じの悪い態度である。
もちろん、料理大国日本出身の将也からすれば今食べている美味しいと思えるほどの料理ではなかったが、将也が超能面になっている理由は料理のせいではなかった。
先ほどまで感じていた幸せが全て無に帰してしまったためである。幸せ立ったものが無くなったのだから明らかにマイナスである。言い換えれば将也は不幸になったのだ。この短い時間の間で自分ほど不幸になった存在を、将也は他に知らなかった。
「部屋が汚かったとか?」
「べつに」
「あ、もしかして一緒の部屋が良かったとか?」
「べ、べつに…」
さっきまでと明らかに違う反応を少し見せた将也にリヴェータは何かを理解し、ニヤリとする。
最初は将也に対しては恐怖心しかなかったリヴェータであったが、将也が最初以降全然ヤバい感じがしなかったことと、今までの自分に対する男達の態度や視線や行動からある程度のことはわかっていたことなどもあり、徐々に将也に対する恐怖心は薄れてきていた。
まだ、言うことを聞かなければ何をされるかわからないという不安などはあるが、少なくとも普通にしていれば大丈夫だろうという心算がある程度リヴェータの中で出来上がってきているのである。
極めつけが将也の今の反応であった。
「ふーん、そっか。異世界に来て1人じゃ不安だろうから、女将さんに二人部屋空いたら部屋変えてもらおうと思ってたんだけど必要ないかー」
リヴェータの言葉を聞いて、急激に明るい顔になり、さきほどまでとはうってかわったように話し出す将也。
「え!?、あ、いや、べ、べつに。じゃなくて、それは一応お願いしておいた方が良いんじゃないかな、一応ね」
「でも、1人で大丈夫なんでしょ。なら必要ないじゃない。もう部屋は取っちゃったんだし、用があればべつに話ぐらいどこでも出来るし」
「あ、いや、だから、そういうことじゃなくて、どこでもできないこととかもあるかもしれないし……そ、それに二人一緒にいた方がなんかあった時安心じゃん。ま、まあ、べつに俺はどっちでもいいんだけどね。強いて言えば二人部屋の方がよくない?ってだけで。俺もどっちでもいいとは思ってるんだけどね」
「そっか、じゃあとりあえずこのままで良いよね。特に問題もないのに部屋変えてもらうのも女将さんにも悪いし」
「う、うん、、そうだね……」今にも泣きそうな顔で儚げに将也は答える。
「あ、でも、新しい剣とか、新しい防具とか、欲しい魔道具とか、高級な服とかドレスとか買ったら一人部屋じゃ置く場所なくて二人部屋の方が良いって思うようになるかも。まあ、でも私そんなの買うお金ないから買えないんだけどね…」
と机に両肘をついて両手を顔にあてながら、わざとらしく妖艶な笑みを浮かべる。両肘の間でリヴェータの正義が強調されている。部屋で胸当てなどの装備を外してきているため、服の上からでもわかる豊満で形の良い正義が眩い光を放っていた。
「明日買いに行こう!剣だけの約束だったけど、欲しいものがあるならついでに全部買っといた方がいいし、ね!」
「うれしい、ありがとう。あ、でも私、私の言うことを聞いてくれない人と同じ部屋にいるのは無理なのよね。それだけが心配だわ」
「それなら、全然問題ないじゃん!俺はリヴの言うことなら何でも聞くし!」
「そうよね、将也は私の言うこと何でも聞いてくれるもんね、心配ないみたいで良かった」
現在、リヴェータと出会ってから6時間程経過したところで二人の立場の逆転が観測される。
異世界に来て無敵の力があったところで正義そのものには敵わないのである。それほど正義とは偉大なものなのである。
正義に完敗した形の将也であったが、不思議と敗北感などは全くなく、素晴らしい喜びの思いで胸がおっぱいおっぱじゃなくていっぱいいっぱいであった。
食べ終わったリヴェータが「じゃあ、明日の朝にまた食堂でね。おやすみ」と言って部屋に戻っていった後、将也も自分の部屋に戻り、爆発しそうなジュニアさんに、「もうすぐ卒業式だからそれまで我慢しろ。俺もつらいんだ」と言い聞かせて無理矢理に眠りにつこうとしたが、ギンギンに眼もジュニアさんも冴えていたため眠れなかったので、仕方なくスキルの確認を行うことにした。
スマホを開き自分のステータスを見てみると、ナンドユを討伐したためかレベルが7にあがっており、ステータスが若干変化しているような気がしたが元のステータスなど詳しく覚えていないので、数値についてはあまり気にしなかった。
ナンドユを剣で殺したためかスキルに『剣術LV1』が増えていた。
他のスキルをタップして詳細を確認していく。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『真祖』:バンパイアの頂点に立つ伝説の存在が持つ力。バンパイアとして最上の力を使うことができ、加えて真祖に属する全ての種族の全ての者を召喚・使役することができる。
『金剛琿戟神体』:最強の武神の力を身に宿すことができる。
『完然神通力』:全能神と呼ばれる存在の力を持つことができる。魔力を介することで、全ての現象を介入・操作できるようになる。
『女神の愛護』:守護の女神から授かった絶対防御の盾が自動で自分への攻撃を遮断する。自分の意志以外での如何なる現象を持っても破られることはない。
『神竜』:ドラゴンの頂点に立つ伝説の存在が持つ力。ドラゴンとしての最上の力を使うことができ、加えて神竜に属する全ての種族の全ての者を召喚・使役することができる。
――――――――――――――――――――――――――‐‐―‐―‐‐‐‐‐‐‐‐‐―――――――――――――――
「Oh,it´s a very crazy,ha-ha!」というのが将也の素直な感想であった。
「すげーな。これ一個でもあったら無敵のやつばっかじゃん。それが5個て。そりゃ無敵だわ。はは」
我ながらスキルがぶっ飛んでいたことの衝撃で、ジュニアさんがいつの間にかおとなしくなっていたので、すかさず眠りにつく将也であった。
前回に引き続き正義回でした。あんまり重苦しくはしたくないんですが、やっぱり男して正義には触れておきたいし、ぜひとも触りまくりたいです。