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第36話:岩代式悲劇

久しぶりに後書きかいてます。

武芸大会の朝、宿で着替えながら自分の状態を確認する。

今までは常時オン状態だったスキルなどは今は発動していない。


今回の武芸大会ではスキル抜きで闘うことにしたのだ。

よって今は、ゴリラを倒してなったただのレベル215のステータスのみだ。

金剛琿戟神体スサノオノカラダ』もオフにしているので何桁あるかも把握できないような馬鹿ステータスではない。

ただ、『ルーツ・オブ・ヴァンパイア』の不死能力と再生能力だけはオンにしている。

さすがに死ぬ危険性を残しておくことはできない。


今回の武芸大会の主目的は、第二王子に力を示すことなので、ヤバくなればスキルを使う気は満々である。


スキルを使わないで闘おうと思ったのは単純にスポーツ感覚だ。

今まで、スキルが万能過ぎたので何故か異世界に来てからの方が運動不足気味だったことも相まって、昨日の武芸披露の時に少し体を動かしたのが思いのほか気持ち良かったのである。

いけるとこまでは体動かしがてら闘ってみようなどと思ったのだ。


(なんかちゃんとした戦闘すんのも初めてだしオラワクワクしてきたゾ)


初めて体験できるであろう、ちゃんとした戦闘になりそうなものへの予感にワクワクしながら朱色の道着の帯を絞める。

将也も所詮は男の子ゆえ、ワクワクは止められない。





「はぁ、やっぱりまたその服なのね。私たちは先に行ってるから将也は後から一人で来なさい」


帯を絞め終わると同時に将也の服を確認するために部屋に入ってきたリヴェータに無情な宣告をされる。

リヴェータは道着姿の将也と連日街を歩くのが我慢ならなかったようで先に他の皆と行ってしまった。

テンションが少し下がりながらも一人で会場へとむかう。




会場に着くと、昨日とは別の待機室へと通された。最初の出番は4回戦のためそれまでは待機である。

昨日と同様に個室であったが、今回は格子窓が着いていてそこから舞台の様子が分かるようである。

待機室には色々な種類の武具が配置されてあった。

武芸大会での使用用である。


武芸大会では武器や防具は大会側が用意した刃の削られた、平凡な物を使用するルールだ。

各々が自前の物を使用すればそれだけで始まる前から差が生まれてしまう。

あくまで武芸を競う大会であって、武器のスペックでの差は望まないとのこと。


司会が出てきて本選開幕を告げる。

開会式やら何やらは昨日のうちに終わっているのですぐに1回戦の二人が入場してきた。

ゴリゴリの戦士風の男と、先日紹介されたサザールのSランク冒険者のフランの対決である。


戦士風の男はAランク冒険者で、予選からの勝ち上がりのようだ。

戦闘男は小盾に片手剣を持っていて、フランは少し細身の剣を持っている。

190を優に越すだろう身長にムキムキの体という体格の戦士男と、比べると一部主張の激しい眼福部分はあるもののスタイル良く完璧体型のフランとがこれから戦闘を行うために向かい合って対峙しているのは将也には少し奇妙な光景であった。

地球などではまず見られない光景である。

性別も階級も圧倒的に度外視した異世界ゆえの戦闘をこれから目の当たりにするのだ。


(やっぱオラワクワ「はじめ!」

審判が試合の開始を告げる。


戦士男が駆け出してフランに剣を降り下ろすも、体を横にして交わして、戦士男の肩を細剣で突く。

突かれた戦士男の肩は表面が少し切れた程度の負傷だ。

なおも戦士男が攻める。フランは交わして突くの繰返し。


手数としてはフランが優勢だが、戦士男がダメージを負った様子もないので今のとこは五分五分っぽいな、

などと思った瞬間に様子が変わる。


同じように切りかかった戦士男の剣がフランの手前で止まったのだ。


「あ?なんでだ?この、おい、なんだこれ」

自分の手が思うように動かせないようで戦士男が戸惑っている。


「ふふ、やっと効いてくれましたか。やはり男性嗜好の方には効きにくいですわね」


「な、なんでそのことを!?」


いわゆるゲイだと知られた理由を問う戦士男。

知りたくもなかったことを知って少し気分が悪くなる将也。


「対峙したときの様子ですわ。私の風下にいたのにあまり変化が見られませんでしたもの」


「な、なんの話だ?」

体が言うことを聞かないようで硬直しながら聞く戦士ゲイ。


「私は少々特殊な体質のようで、男性の方には滅法強いんですの。今もあなたの体が言うことを聞かないのは私を傷つけたくないからですわ」


「な、なにを言ってやがる。試合だぞ、そんなわけ…」

と言いながらもやはり動かない。


パシャり、と久しぶりに鑑定をする。もちろんフランをだ。今のフランの表情があまりにも良かったので撮った写真は咄嗟に保存してしまった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

フラン・ハノーヴァー

21歳        人間・婬魔      レベル:126

力:465

防御:522

魔力:1859

俊敏:1421


スキル:『夢幻魅惑ナイトメアフェロモン』、『細剣術Lv6』、『夜の女王』、『拷問』、『搾精命』、『操馬』、『操男』


覚醒スキル:『絶対者:対男』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


(やっべぇな…これはやっべぇわ。え、これ俺にも効くの?てか下手したらスキル全開でも防げない可能性あんじゃねこれ?、いや、さすがにないか。やっと効いたって言ってたしな。さすがに匂いとか傷とかで何かしら発動条件はあるだろう。ノーリスクでなんかこんなヤバそうなスキル使えるとか頭おかしすぎるもんな)


スキル的に頭のおかしいやつ代表の将也がフランの鑑定結果に驚愕している間に試合が佳境を迎える。



「ふふ、怯えなくても大丈夫ですよ。あなたは今までより少しだけ私のことが好きになっただけですから。そう、私に触れられたらそれだけで絶頂を迎えてしまう程度に、ね」

妖艶過ぎる顔で恐ろしいことを言うフラン。

男はと言うと既にそんなフランに見とれ始めているようだ。既に反論は出なくなっていた。


「おすわり」


「はいっ」


フランに言われるがままに戦士男がその場で四つん這いになる。


コツ、コツとゆっくりと四つん這いの男に歩み寄り、美しい指先で男の頬に優しく触れる。


「ああああ、ああ、う、あああー」

などと奇声のような悲鳴のような嬉声のような声を上げてから男が気絶し倒れ伏す。


「しょ、勝者、フラン!」

あまりに見慣れない決着の着き方に、観客から歓声もあがらない。

というよりも観客の男はフランに見とれ、女は戦士男の様子に顔をひきつらせていた。


倒れる直前に見えてしまった男の顔と、男の股の部分が将也を不快にさせたが、それ以外は基本的にフランに見とれていた。


(観客の前であの負け方はきっついな。まあでも種として欠陥体のゲイから救ってもらえたんならあの男も本望だろう。俺と対峙してゲイだってバレたら拷問コースだしな)

などといつもと変わらない楽観的思考を示した。


 





将也はゲイに偏見などはないが嫌悪感は持っていた。同性愛者が種として欠陥体なのは事実だからそう思ったのだ。

子孫を残す本能が正常に働いていないのなら生物としては欠陥というほかないだろう。

性的に同性が好きというだけなら何も問題ないが、性的に同性しか好きじゃないというのは有性生物種としては問題である。

が、人間は生物としてはかなり特殊である。先進国などで特にそうだがその理性と、文明力のおかげで生存に余裕があるために、生存に必要ではない趣味嗜好が一般的に認められている。

簡単な例はタバコ等だ。タバコは体に悪い上に生存に必要ではない。極端に言えば、タバコを吸うことは生存本能に逆らった行為の1つだ。

これは、タバコ等に限らずとも、趣味つまりは生命維持に繋がること以外、の部分での嗜好全般に言えることだ。

山登りやダイビングやスカイダイビングも、生存に必要ではない上にやらないよりも遥かに致死率を上げる。

更に詳しく言うと、生命維持つまりは肉体への良影響や生活資本の獲得に関すること、以外のことに時間を使うという条件を満たすだけで、生存本能に沿わないと言える。生命活動可能な時間は絶対的に有限なので時間は全て、より良質もしくはより長期的な生命活動の獲得のために使うべき、というのが生存本能にゴリゴリに沿った論理だ。

当たり前であるが、生命活動にゴリゴリに沿うのが正解ではない。事実、タバコもスカイダイビングも危険はあるのだが、認められている。

が、認められていない行為がある。全体の不利益に繋がる可能性の高い行為だ。

殺人などが趣味として行えないのもそのためであるし、薬物なども社会全体への危険度が高いのが禁止されている理由の1つだ。


では、将也が嫌悪する同性愛はどうだろうか。

たしかに、生命維持には必要ないがそれだけなら趣味嗜好の範囲であるように思われる。

同性を愛することは、他人の利益や不利益にも繋がるようにも思えない。なので、事実禁止されてはいない場面もある。

が、問題なのはそこである。誰の利益にもなり得ないことだ。

金銭が発生することは基本的に経済に貢献する。この点でタバコやスカイダイビングは同性愛とは違う。

同性愛とスカイダイビングを比べるのがおかしな話のように見えるが、同性愛と異性愛も決定的に違う。

子孫を残さないということは社会に貢献しない。人口が減ることでの、人間という生物種へのだけではなく社会への悪影響は明白なことだ。

社会に迷惑をかけないが、人口などについて社会に貢献する気もないというのがゴリゴリの同性愛者のスタンスである。

このスタンスが何も問題なく全く正しいことなら、将也の考えが戯事とされ、同性愛OKという国しかなくなるのだが、地球でも異世界でも事実そうはなっていない。

文明が進んだ現代地球でさえグレーゾーンなのである。そのため、弾圧されるような場面は少ないが、国としてOKつまりは同性婚可という国ばかりでもない。


生理的に気持ち悪いと感じるのもこのようなことを踏まえた上で、そう感じるようにそもそも遺伝子か何かにプログラムされているのではないかと将也は考えていた。

種の存続に都合が良くない少数派のものを生理的に気持ち悪いと感じるのは生物としてとても理に敵ったことだと考えられた。

実際に将也も頭ではごちゃごちゃと理由付けをしているが、理由を付けるよりも前から生理的に気持ち悪いと感じていたからだ。


個人的にも、または全体を通してからも、自分に何の利益ももたらさない上に気持ち悪い存在というのは将也の中では立派な害悪でしかない。

なので、自分が対峙していれば拷問コースだったなと思った。







「うーむ。便所」

尿意を催してトイレへとむかう。第二試合の選手の姿はまだ見えないので、今行っておけば間に合うだろう。


待機室を出てトイレへと向かう。

廊下の途中で向かい側から歩いてくるフランと出会った。

舞台から退場して自分の待機室へと向かっているのだろう。後ろには四つん這いのまま付いてきている戦士男の姿も見える。


「あら、イワシロさん」


「どうも。見てましたよ試合。何というか、凄かったですね」 


「ふふ、ありがとうございます」

相変わらず妖艶な笑顔である。


「後ろのそれはどうするんですか?」

戦士男を指差して尋ねる。


「ああ、これでしたら大会本部に預けますわ。普段なら自分で処理しないといけないんですけど楽できて助かります」


「はは、たしかに邪魔ですもんね。処理を人任せにできるなら楽ですね」


どうもフランとは何となく気が合いそうな予感がする将也。



「ロミオ!ロミオ!」

戦士男と同じような体格で、化粧顔、ショートボブの髪で独特な臭いの香水をつけた()が四つん這いの戦士男改めロミオに駆け寄る。


「ロミオ!ロミオ!どうしちゃったの!?」

ロミオの肩をふっとい腕で掴みグッラグラと揺らしている。

ロミオの様子が心配でどこからか入り込んで来たのだろう。


「おお!ロミオ!ロミオ!アタシよ!ジュリエットよ!」


「ぶふぅっ」

二人の名前に思わず吹き出す。


「ど、どうされました?」


「いえ、何でも。さすがにこれは見苦しいですね。こっちの方は僕が止めておきますんでロミオの方を連れて行ってもらえますか」


「わかりました。ではお任せします」


フランが歩き出す。と同時にロミオもその後をついていく。


「ロミオ!どこいくの!ロミぐぼぉぁ!」

ロミオを追いかけようとしたジュリエットの顔面に将也の拳が入る。

鼻血を吹き出してその場で気絶する。


髪を掴み引きずってそのまま自分の待機室へと連れて帰る。




ジュリエットの服をちぎり、声を出せないように猿轡のようにして口を封じる。


手始めに、手の指を1本折る。

ポキリという音の後、痛みで目を覚ましたジュリエットのもがき声が聞こえる。


「はは、何言ってんのかわかんねーよ。バカじゃねーの」

ポキリと指をもう1本おる。

ジュリエットは何が起きているかも理解できないような顔で痛みに悶えている。


ポキリポキリと残りの8本の指を全て折る。

ジュリエットが大量につけていた指輪やネックレスなどを、猿轡の隙間から口に入れ込み、殴る。

殴り続ける。いわゆるジャムパンと呼ばれるもののようなものである。

ジュリエットの顔が血塗れになったら服をもう一度ちぎる。

さすがに直接触ることは気が引けたのだ。

ちぎった布を間に挟んで、手で持ってジュリエットの陰部をそのまま引っこ抜く。

手にものすごく気持ち悪い感触を覚えて吐きそうになるがグッとこらえる。

今までの経験から少しグロ耐性がついていたのだろう。


足首を掴み、力を加える。

ぐぐっと力を込めると、ボキッぶちゃという音がして、今の状態の将也の力でも足首から先を引っこ抜くことができた。

2本目を引っこ抜いたところでさすがに盛大に嘔吐してしまった。

ジュリエットはというと、意識を保っているようだ。心は乙女でも体はゴリゴリに強靭だったみたいだ。


「あーダメだ。もう我慢できねぇ」

最後にジュリエットの顔に小便をかける。


「ふぅ」

小便が出終わったところで部屋がノックされる。


「どうぞ」


「失礼します。イワシロ様、試合の時間でっ!?」


どうやら第二、第三試合が既に終ったようだ。

将也を呼びにきた兵士が床の無惨な物体を見て驚愕を示す。

物体のようではあるが、まだ生きてはいる。

殺してしまっては意味がないからだ。


「部屋に暴漢が押し入って来たんですよ。急なことの上に僕も試合前で気が立ってたんで少々反撃が強くなってしまったみたいですね。これから試合なんでそれの処理はお任せします」

と言って、兵士に金貨を数枚握らせてから待機室を出て舞台へとむかう。

僕自身は同性愛批判者とかではないですよ。

ただ、何というかこういう論理(の一形態)とかを展開したかったのと、ブッ飛び方含めて素敵な主人公を書きたいだけなんです。


今回は読んでくださった方によってはちょっとあれ過ぎるかもしれないんでここでごめんなさいしておきます。

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