第2話:プロローグ的なもの②
モニターには豪華なThe謁見の間というような場所で騒然とするクラスメイトたちが映し出されている。
「なんだここは!?なんだこれは!?」
「先生!何ですかこれは!」
「私達死んじゃったのよ!いやーーっ!」
「み、皆静かに!と、とりあえず落ち着こう」
バスに乗っていた時点で落下してくる岩を認識出来ていたのであろうか死んだ説を唱える者も何人かおり、担任などは予想外の事態におろおろとしながらも生徒たちを落ち着けようとしている。
色々な声が飛び出しているが一向に落ち着く気配はない。
「皆さん!お静かにお願いします!」
広間の隅々まで届くような澄みわたった声が段上の長い金髪でナイスバディで豪華なドレスを着たThe王女的な女性から発せられる。年の頃は10代後半ぐらい、もしかすると生徒たちと同い年ぐらいでかなりの美貌である。
段上には女性の他にも、玉座と思われる場所に座した豪華なマントを羽織った中年の男性とThe王女とは似ても似つかないデップりとした体型の青年がいる。
「私はこの国、ガレス王国の王女のアリエッタ・セロイ・ガレスと申します。私から今の状況をご説明させていただきます。皆さんは異世界からこのエイビスという世界に召喚されました。」
とここで生徒たちからざわめきが起こる。
「異世界てなにどうゆうこと」「マジか召喚てなんだよ」「家に帰りたいよ」「どうゆうこと?ねえ、どうゆうこと?」などと先ほどのように口々に声があがっていく。
「黙るんだ!」
あまりに収集のつかないようなものを見かねた様子の王女の後ろに控えていたかなりゴツい体格の丸っパゲの騎士が怒鳴りあげる。
「ゴロム、ありがとうございます。皆さん、混乱されるのは分かりますがどうか私の話を聞いてください。」
とりあえず説明を聞くしかないのだろうと考えたのか不安気であるが、全員が静かに王女に注目する。
「私達は現在周辺の他種族の脅威に晒されています。もちろん抵抗しておりますが、相手が野蛮な種族たちのため私達だけの力ではかなり厳しい状況にあります。そこで異世界の方々のお力をお借りしようと皆さんを召喚させていただきました。召喚の呪文が元の世界で死に瀕している状況の方が召喚される仕組みになっておりますので、おそらく皆さんとしても何らかの危機的状況から召喚によって脱されたかと思います。皆さんには召喚に際して、何らかの力が備わっているはずです。どうかそのお力で私達を助けていただきたいのです。」
王女の語りはゆっくりとしていて、自分たちがやばいというところは悲痛に語り、最後のお願いの部分は少し甘くも聞こえるような声で話しながら美しい所作で頭を下げている。
担任を含めほとんどの男連中はすでに惚けるように聞き入っている。
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映像のその後は他種族との争いの状況などの説明、能力についての質問や、帰れるかなどの質問、他種族のことなどの個々からの質問とそれに対する答えの会話が続いていた。
「皆はこんなかんじじゃの。何か思うところなどはあるかの?」
「特に思うところなどはないですけど、あそこに召喚されなくて良かったとは思いますね。召喚主が思ったよりは馬鹿そうじゃない。少なくとも王が偉そうにごちゃごちゃと喋らず見てくれの良い王女に喋らすということが出来ているし、今も、帰れるのかという質問に「召喚の呪文は召喚主の条件を満たせば送還することが出来るようになるので皆さんが協力していただければ帰れます」などとテキトーな嘘をつける程度の頭はある。あとは落盤から俺たちを救ったのあたりは真偽含めず言っておいて有効な話ですしね。まあ召喚主がものすごく馬鹿でも超頭良くても召喚なんてされたくもないですけどね。」
ハハっ。と小馬鹿にするような態度で画面を見ながら言及する。
送還の話を嘘だと決めつけたのは、王族側が送還をたしかめる術や今までに確めたことがほぼ絶対ないだろうからである。
召喚した際の条件が満たされた後、召喚されたものがどこかにまた転移されたとしても、それが元の世界の元の場所かどうかなどはエイビスの世界側の人間にわかるはずもないのである。それを帰れますと表現するのは完全な偽りであることは明白であった。
「ただ、これを見てこのエイビスという世界については少し好感がもてましたね。」
「ほー。それは何故じゃ?今お主が述べたことに好感を持てる要素などなかろう?」
「好感というよりは少しの安心感という方が近いかもしれませんね。他種族との戦争ってところが安心できました。まず一点としてエイビスにもちゃん地球と同じように戦争というものがあること。戦争など絶対に起きないようなユートピア的ホラー世界じゃないのは良かったです。もう一点は、種族間で戦争していることですかね。基本的に差異は争いの元です。自分たちと違うというだけで初めからお手手繋いで仲良しこよしなんてのはほぼ不可能になります。地球の、宗教が違うや肌の色が違うなどだけでも戦争しまくってきたことを考えると、獣人や魔族などがいる世界でちゃんと種族間の戦争が起こっているというのは人の性などがエイビスでもあまり変わらないのだろうと考えられるので安心します。あとは、異世界の他人を利用してやろうという汚さと狙いの読みやすい馬鹿さをこの世界の人間が持っていることとかですかね。あ、あとエイビスのことではないですけど、自分が召喚されることによって何らかの悪影響や内面の変化などはないだろうと言うのも映像のクラスメイトたちを見て少し安心しました。」
「なるほどの。やはりおつむの出来は中々良いようじゃの。まあお話はこれぐらいにしてそろそろこちらも本題にいこうか。」
老人の言葉と共にモニターの映像が切れる。
「まずはお主が得る能力についてじゃな。お主はキャパシティが無限に近いくらい膨大過ぎたために最大最強の能力がいくつか詰め込まれておる。そのためはっきり言うて無敵になる。能力についてはエイビスに転移し終えればある程度実感で理解できるようになる。自分に備わっておる力じゃからな。詳しい説明てしてはお主のスマホを見ればよい。異世界転移するときには持ち物の1つが自分のステータスを写す特種な道具になるんじゃ。お主たちならおそらくスマホじゃろう。」
という説明をされ、ポケットから自分のスマホを取りだし見てみると、電波や電池の表示がなくなっており、入っていたアプリがかなりなくなっており、その代わり[ステータス]、[鑑定]などの新しいアプリ?がいくつか入っている。試しに[ステータス]をタップしてみると
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岩代 将也
17歳 人間 レベル:1
力: 986500722475639987528884258072 (83)
防御:942785239884254100055485635887 (112)
魔力:963322447788009632111128009871 (167)
俊敏:975800963514475390042399987096 (78)
スキル:『真祖』、『金剛琿戟神体』、『完然神通力』、『女神の愛護』、『神竜』、『言語理解』
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などと大層な内容が書かれていた。実に無敵っぽい内容である。
(数値やべーな。スキルもなんかすごいなこれ)
「そこに記載されておるのがお主のステータスじゃな。どうじゃ?無敵じゃろ?、まああとはスマホが特殊道具化したことによってスマホ自体にもいくつか能力というか機能がついておる。とりあえずそれらを色々見てくれればだいたいはわかるじゃろう。」
話を聞きスマホで色々見てみようとしたが老人に遮られる。
「まあ見るのは後にしておきなさい。転移してからの方が能力の実感も含めて色々わかりやすいじゃろうし、そろそろお主もエイビスに行く時間じゃ。お主は召喚の条件で弾かれたわけじゃが、あの召喚の呪文によってエイビスに来るのは確かではあるため、他の者たちからは近からず遠からずというような場所に転移することになるじゃろう。しかしまあ、お主の無敵力的にどこに召喚されようがあまり問題などはないためなんとでもなるじゃろ。好きにするがいいぞ。じゃあの」と老人がにこやかに片手を軽くあげる。
「ありがとうございました。では」
言い終えると同時に将也の足元が光出し、視界が全て光に包まれる。
プロローグ的なもの無理矢理まとめたった感w
とりあえず次話から多分やりたい放題しまーす