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第16話:平和な日々

ギルドを出ると、待ち伏せていた兵士たちがすぐに将也たちの前に立ち塞がった。

元々ここに連れてきていた兵士たちだけを残していったのだろう、兵士の数は5人とそれほど多くはない。

兵士の1人が将也を指差し声をかけてくる。


「そこのお前、伯爵様がお呼びだ。大人しくついてきてもらおう」


兵士たちを無視して将也がベルクたちに指示を出す。


「今日は僕の防具を買いに行きます。さ、行きましょう」


将也は、武器も手に入ったことだしそろそろナンドユ氏のお下がりの防具から卒業したいと思っていた。


一瞬戸惑ったベルクだったが、すぐに先行して歩き出す。


「な、どうやら痛い目を見ないとわからんようだな。てきとーに痛めつけて連行するぞ!」

自分たちを意に介さず歩き出した将也たちに対して、兵士の一人が他の者たちに指示を出す。

指示を聞いて、即座に将也たちを囲みだす兵士たち。


「やめときな、俺達がこの兄ちゃんの護衛してるんだ。お前らじゃ相手にもなんねえぜ」

ベルクが兵士たちに忠告した。


「なんだお前たちは?護衛だと?姑息な手を使いおって。抵抗するならこいつらごとやってしまえ!」


兵士たちが一斉に腰の剣を抜き始める。

が、抜き始めると同時にディグが二人の兵士の顎を拳で打ち抜く。

二人の兵士がその場でくずれ落ちる。


残りの3人は抜剣しきるが、仲間が一瞬で二人も倒れさた驚いている。

その隙にディグがさらに二人の顎を打ち抜き倒す。

立っている兵士は周りに指示をだしていた者だけだ。


驚愕し、後ずさっている最後の一人に将也が話しかける。


「ゴミ伯爵に伝言をお願いします。ざまぁw無能なお前じゃ俺に直接相手してもらうこともできねーなw俺はお前みたいな無能にも優しいからお前の全財産を裸踊りしながら俺に差し出すなら話ぐらいは聞いてやっても良いぞwwって」

伝言の部分はバカにするようにゲラゲラと笑いながら話した将也。


「じゃ、そういうことで」


倒れている四人と立ち尽くす一人の兵士に一瞥もくれず、将也たちは歩き出す。

リヴェータの防具を買った高級店に向かう。


防具屋につき、色々な防具を見て回るが、これといって気に入る防具がない。

どうしようかなと思った将也だったが、ふと1つの考えを思いつく。


(売ってないなら、作れば良いじゃない)


ということで、ベルクに素材から防具を仕立ててくれる店などはないか聞いたところ、

「あるにはあるが、この街には腕の良い職人はいないぞ。ドワーフがいねーからな」とのこと。


どうしようか迷ったが、結局この場では買わないことにする。

今後ドワーフのいる街に赴くことがあれば、その時でかまわないと考えた。


ナンドユのお下がりを卒業できないのは悔やまれるところだったが、そもそも防具に身を守られる状況が訪れること自体恐らくはないだろうし、防具をつけているのさえ、冒険者っぽいから何となく程度の理由しかないので特に問題はない。


(それに、この防具はナンドユが生きていた証だしな)


などとは将也は露にも思わなかった。



その後は特に何も起こらずに時間が過ぎた。


防具屋を出て、リヴェータの希望で服屋などに行き、キャッキャッと騒いで服を物色しながら騒ぐ女子連中3人を遠くから男4人で見守りながら過ごしたり、ベルクお勧めの居酒屋のような店で皆でワイワイと楽しく夕食を食べたりした。


夕食を終えると、全員で1度ベルクたちの泊まっている宿に行き、ベルクたちの荷物を回収してから将也たちの宿に向かう。

都合良く部屋が空いていたので、ベルクたちは将也たちの両隣の二人部屋を取った。

2部屋に男女が別れて泊まりながら、男が一人ずつ交代で将也たちの部屋の前で見張る手筈である。


おやすみ、と互いに挨拶を交わしてからそれぞれが部屋に入っていく。


将也は両隣の部屋にベルクたちがいることなど気にもかけず、リヴェータと激しく愛し合いながら夜を更かす。

襲撃はあるかもと思っていた将也だったが、その日の夜は誰も来なかったようである。

この宿を特定出来なかったのか、あるいは単純に夜襲できる人材がいないだけか、理由はわからないがまあどうでもよい将也だった。



翌朝、将也たちは、ベルクたち一行と楽しく朝食をとった。

朝食の時に昨夜の将也たちの白熱っぷりをベルクたちにひやかされたが、何も気にしない将也。


将也とリヴェータが行きたいところなどもなかったので、

その日は宿で皆でくっちゃべったり、ベルクたちが持っていたカードで遊んだりして過ごす。

カードは枚数の少ないトランプのようなもので、人数が多いこともあり、

中々に盛り上がって楽しかった。


ベルクたちは警戒を続けていたが、その日は夜も含めて誰も襲撃をしてくることなどはなかった。

(なんだ、もう終わりか?つまらないな)などと将也は思っていた。


が、翌日の朝食時に兵士たちがやって来た。

聞き込みなどをして将也たちの宿をやっとつきとめたといったところだろうか。


宿の1階で朝食をとっている時に10人ほどの兵士たちがやって来たが、

ベルクたちが、宿の外に出して相手をし、難なく追い返した。

さすがは、Aランクパーティと言ったところか、ただの一兵卒などは相手にもならないようだ。

夜にも部屋の外の物音から幾人かの襲撃があったことがわかった将也だったが、それも変わらずベルクたちが追っ払っていたので、リヴェータとの盛りを止めることはなかった。


その後2日ほど同じような日が続いた。

やってくる兵士の人数が少しずつ増えるだけで、何の工夫などもないものだったので、全て難なくベルクたちが撃退した。


結局三日間同じように襲撃が続いたが、状況が変わったのは四日目であった。

その日は、リヴェータの希望で何か依頼をこなしに行こうとして朝に宿を出たところ、昨日までうじゃうじゃといた兵士たちの姿がなかったのだ。

昨日までとうってかわった状況に、兵士がいないことにベルクが逆に「お、なんだこれ」などと言っていたが、将也も同じようなことを内心思っていた。


リヴェータが依頼を装備による「私TUEEE」でこなし、皆で宿に戻ってきて眠るという感じで1日が終わったが、

夜も含めて何者もやってくることはなかった。

諦めたにしては、何だか歯切れの悪い状況だったが、翌日になって理由がわかる。


翌日の朝、自分たちの私品を買いに街に出ていたカマルとラーミアが戻ってきて、街で聞いた話を朝食時に聞かせてくれた。

曰く、最近この国の王族が魔物に殺されるという事件があり、それに関与した重罪人を捕らえた騎士団が王都に戻る途中にこの街を経ることになったのだとか。

罪人の罪が王族殺しに関することや、王直属の騎士まで出張っていることで、この街としてもそれなりの迎え入れをしなければならない状況らしい。

街で聞いた噂話でしかないので、確実な情報とは言えないが、街のいたるところで兵士たちがいつもと違う動きで忙しく動き回っていたことを見ても信憑性は高いだろう。と付け加えて説明してくれた。


昨日急に襲撃が止んだことや、今日も今の時間に兵士が一人たりともやって来ていないことを見ると、どうやら今聞いた話は本当で、その対応のために将也たちに人員を割く余裕がなくなったのだろうと将也は判断した。


それならば、ということで、ベルクたちとどうするか少し相談をしたときに護衛依頼終了の意思を伝えた将也。

今日1日の分を除いた丸5日分の100万ルベルをベルクたちに支払った。


ベルクたちは、護衛契約は終わったが、別段宿を変える必要などはないので、引き続き将也たちと同じ宿を利用するとのこと。

この数日ですっかりラーミアとカナリと仲良くなったリヴェータが喜んでいた。


収入を得たラーミアとカナリが買い物に行きたいと言い出し、リヴェータが大賛成する形で女性陣がショッピングすることになったので、ベルクたち3人の男性陣もラーミアとカナリに連れられて行った。

将也は少し行きたいところがあるからと、別行動を取ることになった。


宿の前で他の皆と別れた将也は、単身金貸しの店へと向かう。

伯爵は後回しにして、とりあえず金貸しの方から落とし前を着けておくことにする。

タイトルは若干皮肉った感じです

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