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霞の化け物

主人公視点では一時的になくなっています。

「山の中に今、とんでもねぇ化け物がいるらしいって奴なんだけどよ」

「化け物だぁ?熊かなんかか?」


冒険者が集う都市、アルデス。

魔物、魔族等が頻繁に出没する地域にて被害防止のために冒険者ギルド自体が一つの都市を作り、ギルドが運営する特殊な都市。

そしてギルドに所属する冒険者達が依頼という名のクエストを請け負い、日銭を稼いでいる。

ここでは魔物討伐依頼から素材採取依頼、もしくは他では見られない特殊なクエストも多く存在する。

その中には腕試し、運搬手伝い、もしくは


「噂調査のクエストだって?」

「そうそう。この手のクエストは大体が簡単でよ。競争率高いんだわ。苦労したんだぜ手に入れんの」

「はー、他の都市と違って本当に変わってんのもあるんだな」

「おうよ。俺らみたいなのでも仕事があるから本当ギルド都市、アルデス様のおかげってやつさ」

「はは、ちげぇねぇ」


二人のガラの悪い冒険者がギルドの依頼について話し合う。


噂調査クエスト


依頼の中でも滅多に見ない分類で街中で噂になっているものに対しての調査をするクエスト。

なぜギルドがこのようなクエストを出すのかまでは不明だが報酬が通常の魔物討伐クエストよりはるかに多く、装備等も消耗する必要が無い為、人気クエストの一つでもある。

ただし、経験の少ない冒険者の中で人気はあるが、一定レベルの冒険者はこのクエストをやりたがらないことでも有名である。

それはもう既に安定してモンスターを狩れるからもあるのだが、簡単で報酬が高いものほどクエストでの死亡率が高いからでもある。

美味い話には裏があると。


「魔物討伐なんかで一攫千金よりかはこっちの方がいいだろ、現実的でよ」

「だな、肉体労働の運搬業務とかもやってらんねーし」

「んで、さっきの話の続きなんだけどよ、この都市の隣にある山の中で化け物の姿をした何かを目撃する人が増えてきてるから調査しろって奴なんだ」

「化け物、ねぇ」

「まぁ、お前の言ったとおり熊か、まぁ、最悪なんかのモンスターって所だろうから見つけてギルドに報告するだけでほれ、報酬がこんなに」

「うはっ、すげぇなこれ!」

「だろ!なっ、とっとと終わらせて女でも買いに行こうぜ!」


この二人の冒険者、町のチンピラが何処にも雇ってもらえずしょうがなく冒険者になったという典型的なパターンなのだが、簡単なクエストの調査に対しての報酬の高さに危機感を覚えるだけの知能があるわけなどなく


「いいねー。酒も今のうちに飲んどくか!」


こうして二人の冒険者が山の中に調査をしに行くことをギルドの受付に伝え、出て行きます。


「あーあ、大丈夫かな?噂調査は新人使いつぶしのクエストでもあるけどさ」


出て行った二人がそんな受付穣のつぶやきが聞こえるはずも無く、そして


「ま、新人を育てるのも、役立たずを使い潰すのもギルドの役目の辛い所かな」

「おーい、ミリアちゃん、このクエスト受けに来たよー!今日も可愛いね!」

「あ、はーい!お待たせ致しました『炎の勇者』様。そして私は可愛いんじゃなくて美人ですから!」


-------------------------------


二人の冒険者が山の中で噂の化け物を調査しているようですが、

「うっぷ、飲み過ぎた...」

「だから、途中でやめとけって言ったじゃねぇか、おぇ」

「おめぇも飲み過ぎじゃねぇか」


山の中に行く前にお酒を飲んだため、山に着いたのも夜になってからでした。


「まずいな、今日は野宿かぁ?」

「いいじゃねぇか、節約だ。宿代も馬鹿になんねぇしよぉ」

「っていってもこんなに暗くちゃ何も見えねぇぞっておい、あれ」

「なんだよ、美人な女冒険者でも見つけたか?」

「馬鹿ちげぇよ!あれ、噂の化け物じゃねぇか?」

「なんかデカイのが動いてんな。やっぱ熊か?」

「熊があんな大きくなるか?もっと近づいて見ようぜ」


男二人がそのデカイ何かに近づいて行きます。

そして二人が近づくと共に調度月明かりがソレに当たるように差してきます。


「おいおいおいマジかよ、これ新種のモンスターじゃねぇか?」

「本当になんだこれ?大きさから言ってオークかなんかの変異種か?」


黒い塊のようなそれは辛うじて、腕と足らしきものが黒いモヤとなって出ており、顔らしきところが見当たらない。

その不気味さとあまりの異様さに二人の冒険者は恐怖を覚えます。


「おい、あれが化け物の正体ってやつか?」

「じゃねぇのか?うへぇ、気味わりぃ、やば、さっき飲んだの全部吐きそうだわ」

「とりあえず報告しに戻るかって言っても信じてくれると思うか?これ?」

「おぇ、あー、ま、なんか、おぇ、切りとって持ち帰ればいいんじゃね?おぇ」

「ここで吐くなよ。ま、適当にどっか切り取るか」


男の一人がポケットから大きめのナイフを取り出し、刃を黒いモヤに入れた瞬間その黒いモヤが腕に絡みつきます。


「へっ?」

「おい、どうしたよ」

「いや、こいつ絡みついて離れなくて」

「どんくせーやつ、どれ俺が試しに」


もう一人の男も自分のナイフを取り出しその黒いモヤに突き立てようとした瞬間


「「刃物も、痛いのも嫌いだなー。僕は」」


「おい!こいつ喋って!」

「はぁ?んなわけっ」


男が言い終える前に黒いモヤがまた喋リ出します。


「なんで、痛いことするのさ。それよりも喋ろうよ。生きた人間と会うのは本当に久しぶりなんだ」

「ひぃ!ひぃいい!!離せ化け物!!!」

「だから仲良くしようよ。ね?そうだ僕の話を聞いてくれよ。本当に酷い目に会ったんだ」


男達がモヤの手から逃れようと必死になりますが、一向に離れる様子がありません。


「なんで、なんで怖がるのさ。同じ『人間』じゃないか」

「お前見たいなのが人間なわけねぇだろうが!畜生!なんで逃げれねぇんだ!」

「魔族かお前!?俺ら食っても美味くねぇぞ!」

「なんでさ、なんでなのさ。僕が、『俺』が魔族なわけないでしょうが」


黒いモヤが二人の冒険者をさらにきつく締め上げます。


「ぐああああああ!!」

「ぎゃあああああ!!」

「ねぇ、訂正してよ。俺があんな魔族共と一緒なわけないでしょう。早く訂正してよ」

「あああああああ!!」


締め上げる強さがどんどん強くなり、冒険者達の二人は何かを言えるような状態では無くなっており、さらに締めあげる強さが上がっていきます。そして


ボキッ


二人の冒険者の腕が嫌な音を立て、曲がってはいけない方向に曲がっていきます。


「ぎゃあああああああ!!!!」

「俺の腕がぁあああああああ!!!」

「ああ、ごめんよ。違うんだ、そんなつもりじゃなかったんだ。ほらただ話がしたくて」


黒いモヤが緩み、男達二人が逃げ出します。


「ああ、なんで、なんで逃げるのさ。ちょっと待って」


男達二人は必死で逃げます。


「あんな化け物聞いてねぇぞ!!!」

「知るか!捕まったら殺されるぞ!もう一本の腕もお釈迦にされたくなけりゃ走れ!」

「くそ!化け物が!くそ!」


黒い塊の化け物はそんな逃げる冒険者を見ながら言います。


「なんで逃げるのかなぁ?やっぱり顔が無いからかな?今度仮面でも作っとくかな?」


翌日ボロボロの姿でギルドに報告しにいった二人の冒険者により新しい討伐依頼クエストが発行されました。

討伐対象『霞の化け物』(ミスト・フリークス)

その新しいクエストが貼られた場所に一人の男が近づいて行きます。


「ふーん。こいつ討伐したら俺の『炎の勇者』としての箔も付くかな?せっかく異世界に来たんだし、派手にやらないとな!」



本格的に化け物になってきてくれて嬉しい限りです。(えっ

でも二つ名みたいなの考える気がゼロだったので英語にしましたがこんなんでいいのかな?

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