舎弟な勇者
炎の勇者の名前、これで大丈夫かな?
うん。駄目だろうね。
「いやー、先ほどはありがとうございました!姉御!」
先ほど倒れてたはずの男が結構元気に喋っている。
「姉御ってもしかして私のことか?」
「そうです!見てましたよ。姉御があの化け物を一発でぶっ潰すところを!いやーかっこいい!」
「はぁ...そうか」
「姉御の強さに惚れました。是非とも俺を仲間、いや舎弟にしてください!」
なんか勝手に話を進めてるけど完璧に僕の存在が無視されてる。
なんか腹立つな。
「舎弟とかいらないんだが。そういえばお前は誰なんだ?」
「はい、申し遅れました。俺は『炎の勇者』ことダン・ボルケインです。転生する前は檀野猛って名前でした。以後よろしくお願いします!」
「ダンボール?変わった名前だな。というよりも転生者って」
「ダン・ボルケインです!」
「違いが分からん・・・」
「ということで姉御、そこの化け物をやっちゃってください!」
「は?」
「え?」
あれ?僕が殺される流れかな?これ。なんで?
「なんで私がそんな面倒くさいことをしなきゃいけない」
「え?だってあんな凶暴な生き物生かしといたらヤバイじゃないですか」
「僕は凶暴でもないし、化け物でもない」
「知るか!俺の炎が聞かない時点でてめーは人間じゃねーよ!」
ビキッ
自分でもかなりイライラしてるのが分かる。
こいつ嫌いだな。
「だからなんで私が彼を殺さなきゃいけない。理由がない」
「俺が殺されそうになったんですよ!」
「正当防衛だ。最初に不意打ちで彼を刺したキミをかばう理由が存在しない」
「そ、そんなだってさっきは助けて」
「どちらかと言うとキミが言っていたミスプリ君の暴走していたのをとめただけだ。キミの生存はついでだ。一応聞きたい話がまだあるしな」
あっ。黙って聞いてたけどミスプリって名前は確定なのね。
「いいからあいつを殺してくださいよ姉御!さっきからこっちにらんできてますって!あれは殺るきっすよ!マジで!」
「睨んでないし、今のところ殺す気もないよ」
むかついてたのは確かだけどさ。
「ほら!どうせ今じゃなくて後でとか言って殺すんですよ!助けてくださいよ」
「大人しくしてれば殺されないだろ、どうでもいいからダンボール君」
「ダン・ボルケインです!」
「ダンボール君、転生者とか言っていたがあれか?一度死んで生まれ変わった人という認識でいいのだろうか?」
「今更何をそんな当たり前のことを?姉御も転生者でしょ?そんだけ強いんだから。分かります」
「転生者ってお姉さんもそうなの?」
「化けもんが姉御に近づくんじゃねぇ!」
「なんだよそれ!」
「ちょっと二人共静かにしてくれないか。考えてるから」
「「はい」」
怒られた。すごい理不尽に感じる。
「まず確認なんだが、君の生前の名前、えっとこっちも覚えてないが日本の名前ってことでいいか?」
「壇野猛です!こっちはもう使ってないしいいですけど。そうですよ。元々日本でトラックでハネラレ、トラハネされてきました!」
「ふむ、ということは一度死んで記憶が残ったままこちらに来たと。にわかにも信じがたいがやはり異世界か」
どうしよう。
本当に話についていけない。
これが都会?都会語なの?
知らないと田舎者てきな?
それっぽく混ざっとけば大丈夫かな?」
「そ、そうだよね。トラハネだよね。僕も何回か経験が」
「まず、説明すると私は死んでない。少なくとも私の認識では転生してこっちで生まれたわけではない」
無視された...
「そんなわけないですよ姉御。だってこっちに転生したとき言ってましたもん。転生したやつ以外、こっちの世界に来れないって」
「それでも現に私はここにいる。それを言ったやつは誰なんだ?」
暇だなー。
そういやさっきのダンボール君が落とした剣があったな。
うひゃー本物だ。
なんでこんなに折れ曲がってるんだろ?
触っても文句言われないかな?いいよね?
「神様だって言ってましたよ。なんか一つ能力つけて転生させてあげるからとかなんとか」
「神様・・・ふむ、それは男だったか?」
「いや、女でしたけどなんでですか?」
「いや...こっちに間違って飛ばされてきたときに変な男がいたからちょっと」
「でも確かに姉御黒髪の黒目ですよね。こっちの世界だといないからな」
「そうなのか?」
「少なくとも俺の知る限りではいませんね、っておいこら!」
ビクッ
バレた!?
「俺の剣に勝手に触るんじゃねぇ!この化け物が!」
「いいじゃん少しぐらい!それに僕は化け物じゃない!」
「二人とももうそれいい加減にしてくれないか」
「「すみません」」
また怒られた。
こいつのせいなのに。
「それにダンボール君、彼は自分が人間だと主張しているし化け物だと言われるのを嫌がっているからそれをやめてくれ。はぁ、凄く面倒くさい。一人増えるだけですごい面倒くさい」
「姉御、でもこいつ」
「二度目は助けないぞ」
「仲良くしようぜ兄弟!」
「うわっ!くっつくな」
なんなんだこいつ?
「凄い不本意だがまた殺されそうになっても困るし仲良くしてやるよ。凄い不本意だけどな」
「僕は仲良くしたくない」
「その剣やるから」
「本当に!ありがとう!」
やった!ちょっと曲がってるところを逆に力を入れてまっすに直す。
「うわぁ...うん、あれには手をだすのやめるわ。次元が違い過ぎる」
「ダンボールさん!ありがとう!」
「ダン・ボルケインだ!」
なんだ。結構いい人じゃん。
僕だけの剣だ。
憧れてたんだよね。冒険者とかに。
いつも持ち歩いてたの農具一式だったからなー...
「にしてもさっきから思ってたけど声と喋り方が大人というよりは子供に近いな。にしても喋るやつは珍しいし」
「どうでもいいんだがダンボール君は私が自分の世界に帰る方法とかは知っているのか?」
「は?元の世界に帰る?なんで?ていうか姉御、ダンボールって言いたいだけでしょ」
「いろいろ向こうでやり残した研究もあるし、両親もいるしな」
「いやいや。向こうの日本とかマジクソでしょ?こっちは強ければ冒険者やって一攫千金できるしチヤホヤされるし。姉御のさっきの強さだったら結構いい生活出来ますよ」
「今喋ってること自体が疲れるんだ。なぜ冒険者なんて面倒くさいものやらなきゃいけないんだ」
「はあ、変わってますね姉御」
「良く言われる」
相変わらず都会の言葉が分からないので剣で素振りしてみる。
やっぱりこう、なんか必殺技とか欲しいよね。
ザ・ソード!!とか?とか言っちゃう?
「ま、俺は知りませんけど調べたらあるんじゃないですか?都市の中とか冒険者ギルドには顔が聞きますんで案内しますけど」
「やっぱり探さないといけないのか。自分で次元の穴作る機械作った方が早い気がしてきた」
「ねぇねぇ、二人ともー新しい必殺技とか考えたんだけどさ」
といって二人を呼んだ瞬間
「「いえーい!皆見てる~!」」
空にでかい女の顔が映っていた。なんだあれ?
「なんだあれは?映写機か?」
「あれ?あんなテレビ見たいなのこっちの世界にあったっけな?」
二人も知らないみたいだから一般常識じゃないのか。
「「勇者と魔王が規定人数やっと集まったよー。苦労したんだ集めるの。ちなみに全国でこれ流してるから。知らんふりは駄目だよー」」
勇者と魔王?規定人数?
「「では全国にいる転生者諸君!好き勝手やってるようで私達はとっても満足しているよ。でもさ平々凡々にも飽きてきてるだろうから」」
その女が不適な笑みを浮かべる。
「「皆でゲームをしようよ。願い事が叶うゲームを」」
ということで急展開過ぎるかな?
次回でこの話の核というか目的のところまで書くつもりです。




