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サンドバックの気持ち

化け物の定義ってなんでしょうかね?

母さん、お元気でしょうか?

魔族共に連れ去られてからどうなったか分かりませんが、母さんが生きてることを信じてます。

ただ今何を言いたいかと言うと、


「ほれ、だれが臭いだって?もう一回言ってみたまえ」


ドス、ドス、ドス


目の前の女にサンドバックにされてる僕が先にあの世へ行くのを許してください。


「ふぅ。スッキリした。すまない色々ストレスが溜まっていたんだ。中々自分の思い通りに行かないとままならないからな。大丈夫か?」

「何発か殴った後でこのセリフ、この人本当にやばい。グハッ」

「何の根拠も無いけど大丈夫だ。そんな頑丈そうな体なんだ。恐らく問題あるまい。そして女性に対して臭いとか言うものではないぞ。乙女を傷つけた罰だ。私は痛く傷ついている。それのお詫びとしてキミをストレス発散道具にしただけだ」

「僕が村育ちだからなのか?乙女とはこんなに武道派なのか?それともこれが都会育ちの常識なのか?」


本当に死ぬかと思った。

久しぶりに本当に死ぬかと思った。


「ふむ、妙に力に満ち溢れている感じはするがこっちに飛んだときの影響か、それとも先ほど会った変な奴の仕業か。興味がつきないな。本当に異世界なのか?」

「えっと、とりあえず僕を殺す気は無いってことでいいですか?」

「それほど暇ではない。ところで近くに人が住んでいる場所はあるか?教えてもらえると助かるんだが」


殴る暇はあるのか。というか


「え?オバサン近くの町とかから来た人じゃなかったの?」


ドス、ドス、ボキッ


~10分後~


年上女性はすべてお姉さん。年上女性はすべてお姉さん。年上女性は・・・


「『お姉さん』は近くから来た人じゃないの?」

「知らん」

「えっ?」

「というよりもここが何処かが分からない。性格に言うなれば日本という国から来たんだが知ってるか?」

「日本?知らないなー。有名なところじゃないのかも?」

「ふむ。日本語は通じているのに日本ではない、か?どちらにしてもこの生命体以外からも話を聞く必要があるのか。面倒くさい」

「はぁ。お姉さんどこかからの旅行者か何か?う~ん町の人か何かだったらこれ治してもらう人呼んで貰おうと思ったのに」

「治す?いったい何をだ?」

「この外見の黒いモヤ。なんか取れなくて。やっぱりこれ病気かな?とりあえず怖がられないように顔の部分に仮面もつけたんだけど。お姉さん全然怖がって無いから大丈夫だよね?」

「ふむ、興味深いな。一応言っておくが私の知っている範囲ではその外見は恐怖を呼び起こすのに十分だと思うぞ」

「え」

「私の場合は慣れているだけだ。お前よりもっとエグいものを見たり触ったりしてきたからな。そしてもう一つ興味深いことを言ってたな」

「ブツブツ...怖いのか?いやでもこの人だけの意見だし大丈夫かな?」

「そしてその黒いモヤか?取れないぞ。病気じゃないからな」

「はっ?病気じゃない?」


こんなになってるのに?


「元々『自分の体』なのに取れるわけが無いだろう。トカゲの尻尾のようになら話は別だが」

「何言ってるのさ、僕は元々人間っ」

「この世界が本当に異世界だと仮定して全体の人間としての標準がその状態なら確かに人間だが、そうでないならその体はもはや別の生き物だ」

「何の話をしてるんだ!」

「さっき殴るついでに色々観察したがその黒いものは恐らくそれ自体が生命維持の役割を担うものが含まれている。最初は皮膚のようなものかと思ったが違う。纏っているだけだったら中心部分に体があるはずだが、それにしては体に軸が無い。これはだから」

「違う僕は」


だって村の記憶もあって人間として生まれて、母さんもいて


「キミは人間ではなく。人間の言葉を喋れるまったく別の生命体。そう、所謂」


僕は人間だ。人間じゃなきゃいけないんだ。


「化け物だ」


どうしようか?これ。

関係修復できるのかしら?

いやー、駄目かもしんない

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