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獣人メイちゃん、ストーカーを目指します!  作者: 小林晴幸
7さい:其は竜、其は神
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6-4.ストーカー同盟締結




 セムレイヤ様は、とっても正直で丁寧な神様でした。

 うん、こっちがびっくりする位に……。


「夢と夢を繋げたのは『あの子』の力。神として目覚めぬ未熟な『子』の力でも、『夢』に干渉するくらいの潜在能力は表面化しつつある。そうして、その余波が私にまで及んだのです」

「あわー……つまり『他人の夢』への『干渉』っていう形でリューク様の秘められた神様的な力が使われて、それを察知したセムレイヤ様が、当事者である『リューク様』と『メイちゃん』の存在に気付いちゃったー……ってこと?」

「流石に賢いですね、メイファリナ。貴女の理解力は地上の『ヒト』種としては目を見張るものがあります」

「あははははー……前世でこの『ゲーム』にドはまりしたメイちゃんのゲーム脳を嘗めるなよー……」←棒読み


 わあ、秘められた力とか中二臭い! とっても中二臭がするよ!

 剣と魔法のファンタジーの世界じゃ、中二臭さが全開でも仕方ないのかもしれないけどね! ……うん、みもふたもない。

 まあRPGゲームの主人公とか、その関係者が中二臭くなくてどうするのーって気も無きにしも非ず。


「えーと、それでもしかして、神様は現在のリューク様がどこにいるのかとか知っちゃってたり……」

「存在に気付いて即、力を辿って所在地を特定しましたよ。勿論のこと」

「やっぱりね! やっぱりそうするよね! 息子さんを探してたんだもんね」


 わー……『ゲーム』のシナリオ通りなら、セムレイヤ様がリューク様を探し当てるのって、3年後の筈なんだけどね。

 どうしよう。

 シナリオが根底から諸々色々変わっちゃったら……未来が変わっちゃうんじゃないかな……?

 シナリオが狂って、未来が酷いことになっちゃったらどうしよう。

 RPGゲームの世界って、世界規模で色々酷いことになっちゃったりするよね。そんな未来を打ち払う為、主人公が冒険したりする……けど。

 シナリオが狂った挙句、リューク様やその仲間達が更なる苦難に見舞われたら?

 ………………死んじゃったら?

 死んじゃうなんて、嫌だよ、嫌。

 嫌だけど……そうならない保証はない。

 シナリオを逸脱しちゃったら、私に未来なんてわからない。

 そうなったら、私はどうすれば良いの……?

 私が不安を込めてセムレイヤ様を見ちゃうのも、仕方ないよね。

 だけどセムレイヤ様は、私に対して鷹揚に頷いて見せたの。


「安心しなさい、メイファリナ。私は我が子の幸せのためであれば、死んでも構いません」

「セムレイヤ様……!」

 

 は、はっきり断言しちゃったよ!? この唯一神ーっ!!

 

 セムレイヤ様は現状、この世界を支える唯一の神様です。

 元々は複数の神々で支えなきゃやってられない神様業。

 単独で管理しきれるものじゃないのを、この千年無理して単独で支えてきたという苦労の方です。

 そんなセムレイヤ様がお亡くなりになったら……代わりをする方がいない限り、この世界には神様がいなくなってしまいます。

 そうなったら世界を管理して支える方がいないから…………


 大変なことになります。


 だけどセムレイヤ様を無責任とは言えない。

 死んじゃうことを、無責任だとは。

 だってもう、セムレイヤ様は千年間ご自分だけで頑張ってきたんだもん。

 『ゲーム』の中でも、「自分だけしかいない天界で、この千年……私はもうひとりだけでいることに疲れてしまったのです」……って感じのこと言ってたし。

 

 それに『ゲーム』のシナリオ通りに話を進めたら……どのみち、セムレイヤ様は………………


「セムレイヤ様、それってつまり……未来を知っちゃったのに、自分にとって不本意な未来だって知っちゃってるのに、『シナリオ』通りに進める覚悟があるってこと……?」

「元よりこの身はただ『生き残った』というだけのものですからね……。我が子の為なら惜しくはありません」

「……あれぇメイちゃんの周りの大人って親馬鹿しかいない?」

「私にはもう何も残されていない。この上は我が子の身が生きる甲斐のようなもの。実際にこの千年、あの子の行方を捜すに血道を上げることこそが生きる意味だったように思えます」

「お、重い……! 重いよ、セムレイヤ様!」

「何しろ千年の年季が籠っていますからね。重くなるのも致し方ありません」

「言われてみればその通りなんだけどねー……?」

「それに、」


 何となく納得がいかない気持ちで首をくりっと傾げていた私に、セムレイヤ様が竜の顔を少し緩めた雰囲気で、言いました。


「私には同格の存在であるノア様を完全に滅ぼしきることはできません。ですが貴女の夢の通りに未来が進めば……ノア様も終わりを迎えることができるのでしょう?」

「わーお。セムレイヤ様、どんだけ前から覗き見てたのー?」


 私は確かに、『ゲーム』のあれこれを夢の中で回想してましたけど、ね?

 それでも断片的に、ばらばらに見ていることの方がずっと多い。

 全編通して最後までの話を把握するとなったら、結構な時間を観察していてもわかるかどうか……

 でもセムレイヤ様。

 本当にもう、完璧に『シナリオ』の流れ掴んでるよね……?


「逆にいえば、メイファリナの知る流れを逸脱した時……自分の計画通りに事が進まないと知った時、ノア様がどのような手段に出るかが懸念材料といえるでしょう。そちらの方が不安です。ある程度安全にノア様を滅することのできる筋道が立っているのであれば、我が身を犠牲にしようと人間達の文明社会を守る為には其方を選んだ方が無難です」

「……ノア様が完全復活しちゃったら、確実に世界丸ごと滅ぼしちゃうもんね」


 元々地上の人々を滅ぼして、世界まるごとやり直しするなんて言いだして神々の戦争を招いたような方です。

 後顧の憂いを断つためには、確かに1度滅殺されるまで筋道のついたシナリオに従った方が良い……のかな、本当に。


 シナリオ通りに進んだら、セムレイヤ様も死んじゃうんですけど。


「そこで、ですね。メイファリナ」

「ひゃ、ひゃい……!」

「私は別に死んでも構いはしないのですが……そうなると、神がいなくなってしまうでしょう?」

「ええと、うん、そうだね」

「誰も世界を管理する者がいなければ、不完全なこの世界は容易く滅んでしまいます。よって、神がいなくなるということは好ましくありません」

「うん。セムレイヤ様が最後の頼みの綱だね!」


 一応はリューク様も『神族』という分類に入るんだけどね!

 でもいくら主人公(チート)でも、いきなり神様として世界を管理運営……なんて出来る様には思えない。

 そんなに神様業が簡単だったら、セムレイヤ様も苦労しないよね!


「そこでシナリオ通りに進めつつ、話の筋は変えずに幾らかの小細工を弄してノア様の裏をかこうと思います。そのお手伝いを貴女にはお願いできないでしょうか」

「め、めぅっ? ええぇっ!? なんかいきなり無茶ぶりにも程があるおおごと頼まれちゃったよ!? め、メイちゃんただの子羊(獣人)なのに!」

「私がメイファリナにお借りしたいのは知恵や知識に関してのこと。誰も直接ノア様を滅するので武力を貸して下さいとはいいませんから」

「そんなこと言われてたらまず間違いなくメイちゃん泣くよ!?」

「私の狙いはシナリオの裏をかき、死ぬ運命にあるものを『死んだ』ことにしておいて生き延びさせるというもの。それをする為にはシナリオを細部まで熟知し、深く理解している貴女の記憶と発想が頼りなのです。『シナリオ』に描かれた未来を最も理解しているのは、間違いなくメイファリナ……貴女なのですから」

「め、めえぇぇぇ……!?」

「大丈夫です、メイファリナ。貴女は知恵を貸して下さるだけで良い」

「それって本当に大丈夫って言って良いのかなぁ!?」


 メイちゃんは、わたわた、わたわた。

 無意味にこう、体が焦りに釣られて動いちゃって、手足をぱたぱた。

 木の上だけどわたわたしても落ちないのは、やっぱり夢だからだよね。

 ……これが現実だったらとっくに木から落下していた自信があるよ!

 そんな大慌てで、大焦りで、混乱中のメイちゃん。

 神様は慈愛の籠ったにっこりという笑顔で、優しくメイちゃんを見つめていたんだけど……

 やがて唐突に、こう仰いました。


「シナリオに干渉しようと思ったら、やはり現状を正確に認識している必要がありますよね。リアルタイムで」

「え?」

「物事の焦点は『主人公』……つまりは我が子にあります。つまりシナリオの段階を把握する為には、リュークの状況をこまめに確認しておくことが必定でしょう。勿論、シナリオの枠を逸脱しない範囲で……ですが。


――今の私であれば、あの子の様子をリアルタイムで把握することが可能ですよ」


 協力するからには、情報の共有も重要ですよね、と。

 セムレイヤ様がそう続けて言った言葉は、あんまり私の頭まで入ってこなかったんだけど。

 でもでもメイちゃん的に衝撃的なお言葉を聞いた瞬間、私の体は咄嗟に動いていました。


 枝の上で仁王立ち。

 そのまま勢いよく、セムレイヤ様に頭を下げちゃったのは……前世の民族性に引きずられたのかな?

 自分でもよくよく理解しないまま、私は思わず叫んでいました。


「よろしくお願いします!!」


 私とセムレイヤ様の協力関係が成立した瞬間でした。

 メイちゃんは前世で得た『ゲーム』の知識をセムレイヤ様に提供する。

 そうしたらセムレイヤ様が勝手に頑張る。

 セムレイヤ様はメイちゃんに『今のリューク様(リアルタイム)』の情報を流す。

 そうしたらメイちゃんが勝手に大喜びする。

 わあ、なんて素敵な協力関係……!

 

 メイちゃん、監視衛星(かみさま)なお友達ゲットしちゃった!






「そうだ、セムレイヤ様。ひとつご質問ー!」

「なんですか、メイファリナ」


 固い握手と共に協力関係の成立を見ました。

 まあセムレイヤ様の右前のおみ足を掴んでよいよいとやった感じで、ちょっと握手っぽくはなかったかもしれませんけれど。

 その後は今後の情報伝達手段やら、定期報告の頻度やらを話し合いながら、『ゲーム』で見た『かっこいい主人公(リュークさま)』鑑賞会を神様と並んで拝見していたんだけど。

 そんな最中で、ちょっとメイちゃん思い出しちゃったんだよね。

 神様とゆっくりお話しできる機会なんてあまりなさそう(普通は皆無)なので、この機にちょっと聞いてみちゃおうっと。


「あのね、メイ、『救術』っていうのに興味あるんだけどー……」

「今のメイファリナにはまだ使えませんよ」

「本題に入る前に切られた!」


 うわぁ、ずばっと直球だよ! この神様!?

 夢も希望も持たせる隙すらありません。

 恨みがましい気持ちで頬を膨らませるメイちゃんに、神様は……えっと、苦笑したのかな? 爬虫類の表情ってよくわかんないや。


「そうですね、まずは貴女達が『救術』と呼ぶモノの仕組みをお話ししましょう」


 なんだかんだでこの神様って親切だよね。

 うん、親切。

 メイちゃんみたいな子供を無碍にしない大人は信頼に値します。


「『救術』とは、神への信仰心を認められた者のみが使える救いの術……というのが、一般的な認識でしょう」

「ああ、うん。なんかパパがそんな感じのこと言ってたような気がするー……?」


 正直に言いましょう。

 うろ覚えです。

 パパ、ごめん……。


「そもそも神というモノは、常日頃から日常的に祈りを捧げられている存在です。地上の民草から呼びかけられない日などありません」

「うん、神様だもんね! セムレイヤ様、地上の信仰独占だね☆」

「今は私しか神がおりませんからね」


 セムレイヤ様が教えてくれた『救術』の仕組みは、こうでした。

 特定の神様に信仰心を厚く持つと、地上の民が十把一絡げに見える神様から個人として見てもらいやすくなるんだって。

 そうなると、神様にとって見やすいから自然と注目してもらえるよね。

 祈りって方法で神様に意識を向ける人間と、注目って形で意識を傾けた神様の間で、あたかも目と目が合ったかのように経路が結ばれる……とかなんとか。

 えーと、意識が向き合うことで、何かが繋がるんだね、うん?

 セムレイヤ様のお言葉が難しかったので、この辺から何かよくわからなくなってきました。

 とにかく、何かが繋がる……え、繋がっちゃうの?

 メイちゃんの頭の中は、?が乱舞してるよ……。


「その経路を、地上の民は『加護』と呼んでいるようです」

「セムレイヤ様、もっとわかりやすく! メイちゃんにも理解できるように例え話でお願いします!」


 お願いした結果、図式で説明してくださいました。

 セムレイヤ様、本当に親切ー……。


『救術』のしくみ

 1.神様に信仰を捧げる

 2.信仰心が高まると、神様に認識してもらいやすくなる

 3.互いの意識が丁度向き合うと、精神的な繋がり(経路)が生じる

 4.経路を通じて、神様から微弱な力が流れ込むようになる

 5.流れ込んだ力を元に発動する術→『救術』


「重要なことは、神の側が民の信仰心を認識すること。そして捧げられた信仰が清らかであり、穢れ無いものであることです。信仰の純度が下がれば経路は細くなり、信仰を失えば経路も失われる。繋がりを構成しているのは神の関心と民の信仰心の両方なのですから」

「へー……じゃあ、悪徳神官は一発でわかるね!」

「そうですね。繋がりを構成している片側は地上の民本人なので、信仰を捧げる者の度量を超えた力は注ぎ込まないようになっていますし、心が穢れていればいるほど、神の力には耐えきれないものです」

「心が清らかだったら強い力が使えるの?」

「信仰の強さが力への耐性を上げ、負担を軽減するようになっています。ヒトの体で限界はありますが、信仰が真であればより強い力や術を使用できるでしょうね」

「おぉ~!」

「……負担を軽減されても人間には無理のある力なので、著しく体力を消耗するでしょうけれど」

「……筋トレしないと使い勝手悪そうだね」

「信仰に厚い神の僕ほど、修行と称して筋力トレーニングに励んでいるようですよ? 筋力が低くても、体力さえあれば何とかなるのですが」

「ぼ、ボディビルダーっぽい神官とかいそうだね……」


 さて、『救術』の仕組みは大体わかりました。

 ちなみに治癒や治療、防御系の術しかないのは攻撃に繋がる破壊の力は大きすぎるので、使った途端に使用者の肉体ごと滅びそうなので神様の側で規制しているそうです。うわ、怖っ!

 今は信仰を捧げる対象がセムレイヤ様しかいないので全員使える術系統は同じモノだけど、千年以上前は信仰を捧げる神様によって特色があって、バリエーション豊かだったんだって。

 その頃の『救術』もちょっと見てみたかったな。


 ……それで、です。

 そこまではわかったよ。

 わかったんだけど……


「それでなんでメイには使えないのか、そこが全然わかんないんだけど」


 なんでメイちゃんには使えないんですかー!?

 むぅっと眉を寄せて頬を膨らませる私に、セムレイヤ様はあっさりと言い放ってくれました。


「メイファリナ、貴女が最も信仰を捧げている神は私ではないでしょう」

「ふぇっ!?」

「そもそも『ゲーム』の流れで未来を知っている貴女が、滅ぶ定めにある私に祈りを捧げるとも思えませんが……考えてご覧なさい。メイファリナ、貴女が最も信仰する神……『神族』は、誰ですか?」

「OH……」


 そこまで言われて、やっとわかったよ……。

 いや別に元々信仰に厚いタイプじゃないから、全然発想しなかったけど。

 うん、全然思い至ってなかったけど。

 セムレイヤ様が、と~ってもなまぬるい目でメイちゃんを見るの……。


 信仰っていうとちょっとわかりにくいけど。

 『崇拝』って言いかえたら、明らかだよね。


「…………メイちゃんが一番信仰してる神様、『ゲーム主人公(リュークさま)』だ……」


 なんてこったい。


 セムレイヤ様の目が、更になまぬるくなったよ!

 リューク様はまだ幼いし未熟だし、神様として目覚めてないし。

 ……というか神様の子供だって自覚すらないし。

 そんなリューク様が、自分に捧げられた『信仰心』を認識するはずないよね……。神族として覚醒していないので、信仰心や祈りを察知する能力すらまだ眠ったままらしいし。

 そもそも神として目覚めても、知識がなければ『信仰心』をそれと認識しない可能性があるそうな。


 そりゃ、無理だ……。

 それ、それってさ……

 それで存在を認識してもらえって。

 意識を向かい合わせろって……。


「どう考えても、直接会う必要がありますね」

「それストーカーとしての諸々が根底から覆っちゃうよね!?」

「そもそも直接会ったとしても、あの子が神として目覚めない内は力の窓口としての役割も果たせないでしょう」

 

 メイちゃんが『救術』を使える最低条件は、リューク様が神族として覚醒した上で、リューク様に私の存在を認識してもらうことなんだってさー……あはははは。

 ……メイちゃんの目標(ストーカー)的に、無理があり過ぎだよ!


「終わった……メイ、一生『救術』使えないかも」

「可能性はゼロではありませんが……低い、でしょうね。流石に私も、私に信仰を向けていない相手に経路を繋げることは出来ません」

「どうしても無理?」

「……使用するメイファリナに信仰がなければ、負担の軽減も力への耐性も備わらないでしょう。弱い術を1つ使っただけで自滅しますよ」

「OH……」


 ばいばい、『救術』。

 無理っぽいので、すっぱり諦めました……。






メイちゃんはストーカー仲間を手に入れた!


セムレイヤ様

「正確には存在を認識する以上に『想われている』自覚が神側に必要なのですが……言ってもどうにもなりませんし、黙っておきましょうか」

メイちゃん

「め? セムレイヤ様、どうしたの?」

セムレイヤ様

「いいえ、なんでもありません」





書いていて何か違う気がしたので没にした今回ネタ↓


「別に死んでも時間をかければ復活できるのですが……」

「え、そうなの!? メイちゃん、初耳!」

「ですが下級神でも1度消滅してしまえば復活に万年かかることを考えれば……最上級ランクに位置する私が亡くなった場合、復活に何年かかるのでしょうね?」

「…………復活する頃には人間って種族が滅んでいても不思議じゃないよー……?」

「だからこそ、それを見越してノア様を1度滅ぼしてしまおうと考えたのですが。ヒトを滅ぼすことをこそ目的にしているのであれば、無茶をして滅ぼそうとされるよりも自然に滅んだ後の世に復活していただいた方が平和的解決といえるでしょう?」

「……うん、神様たちの感覚ってメイちゃんにはわからないかな!」



「例え話、ですか。えぇと、それでは天界を大きな力の塊と考えましょう」

「うん、大きな力……えっと、例え話?」

「では言い換えます。天界を……そうですね、メイファリナにわかりやすく例えて『発電所』と考えましょう」

「一気にわかりやすくなったけどまさかの発電所!?」

「そして神々は発電所から供給されるエネルギーを自在に操ることのできる存在。『救術』の原理において果たす役割は発電所への取次口……そうですね、コンセントです」

「わかりやすいけど! わかりやすいけど……!! それで良いの!? ねえ、セムレイヤ様!」

 まさか、まさかだよその例え……!

 え、この神様ホントに私の夢をいつから観察してたの!

 コンセントとか発電所とか、情報源って明らかに私だよね!?

 でも夢の中でそれっぽいモノが出てきたのってゲームの起動画面を思い出した時くらいなんだけどね!?

「普通の地上の民にはコンセントを認識できても接触することができず、そしてコンセントから電力供給を受ける為の受け皿がありません。えぇと、流石に電圧がどうのはよくわからないのですが……」

「ねえ、セムレイヤ様……例えようとして逆に混乱してない? ねえ?」

「理解できていない部分はすっぱりと切り捨てて、引き続き例えます」

「潔い! 潔いけど、理解できていない内容で例えちゃうの!?」

「人々はコンセントに願いを捧げ、祈りを込めてコードを伸ばしますが……彼らのコードにはプラグが付いていないのです」

「致命的! それは物凄く致命的で根本的な問題だよね!?」

「そうですね、コンセントからしてもプラグの付いていないコードは問題外なのですが……信仰心の厚いコードには、いつの間にかプラグが生えます」

「ねえ、セムレイヤ様。セムレイヤ様の理解力って凄く優れてるんだろうけれど……さっきから例えが斬新過ぎて、メイちゃんの頭がパンクしそうだよ?」

「ええと、プラグが生えて初めてコンセントも存在を認識します。あ、あのコードはプラグが生えてるなぁと」

「うん、プラグが生えてたら、後はドッキングするだけだね……」


 …………書いている途中で正気に戻ったので、即座に削りました。


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