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獣人メイちゃん、ストーカーを目指します!  作者: 小林晴幸
7さい:アカペラ第1初級学校の春
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4-4.オリエンテーリングの前日に

ご指摘が合ったので、オリエンテーション→オリエンテーリングに表記を変更します。



 私達の学級は、24人学級。

 男の子は13人、女の子は11人。

 その内の12人が人間で、獣人は7人、魔人は5人。

 下は7歳、上は14歳。平均年齢は8歳です。

 そして担任の、若くて優しいミルフィー先生。


 得てして若く、頼りない先生は子供に舐められる物ですが…

 今のところ先生に逆らうものはいないというか、初日から半泣きにさせてしまった負い目から暫くは誰も逆らえそうにありません。



 あの入学式から、既に1週間。

 学校で過ごす1日1日の流れがようやく覚えられてきたところで、先生からの通達があったのが昨日のこと。


「皆さん、明日は皆さんに学校のことをよく知ってもらう為のオリエンテーリングがあります。だから明日は動きやすい服装で来て下さいね」


 オリエンテーリングとな。

 ちなみに初級学校には制服もなければ、体操服もありません。

 ただ正式な場所に出て行く時のみ、学校指定のケープと帽子を身に付けるのが精々かな。

 なので動きやすい服装と言われれば、ガチで動きやすさ重視を求められます。

 でもオリエンテーリングって何やるんだろ?


「入学から1週間経ちましたが、皆さんはまだ教室周辺しかよくわからないと思います。明日は学校把握も込めての親睦会みたいなものを行いますよ」


 そう言って、先生は5人の班を4つ、4人の班を1つ作る様に言いましたが…


 揉めました。


 入学から1週間も経つと、流石にお友達も出来ます。

 ある程度のグループだってできちゃいます。

 私も仲の良い女の子のお友達が出来ました。今の人生初かもしれない。


「マナちゃん、ソラちゃん、一緒に班つくろ!」

「うん、メイちゃん…っ」

「それじゃ、あと1人か2人入れないといけないね…って、もう決まったようね」


 ソラちゃんが目を向ける先には、ぴんと耳を立てて自己主張してくるミーヤちゃんとペーちゃんがいます。

 これは…誘ってほしいのかな?


   ミヒャエルとスペードは起き上がってこちらを見ている。

   どうやら仲間になりたいようだ。

   仲間にしますか?


    はい  ←

    いいえ

 

「おーい、ミーヤ君、スペード君、一緒に班組も…――」

「「黙れ」」


 …声をかけようとしたウィリーが、一瞬で切り捨てられました。ばっさりと。

 まさか断られるとは思っていなかったのか、しゅんと肩を下げています。

 う、罪悪感が…っ

 

 ミーヤちゃんとペーちゃんは、打ちのめしたウィリーに見向きもしない。

 ちょっとそれはどうだろう?

 見かねて口を差し挟もうとした、時。


「メ~イっちゃん♪ 私も仲間に入れてもらって良い?」

「「!!?」」

「あ、クレアちゃん!」

「はぁい、クレアですよ~♪」


 私達の前に乱入してきたのは、クラスメイトのクレアちゃん。

 ――クレア・ウィンドレーン(10)

 ミーヤちゃんの伯父さん夫婦…前にお世話になったソフィアさんの娘さんに当たる人間の女の子。

 年上でお姉さんみたいな彼女には、ミーヤちゃんも気を遣います。

 つまり、強く出られない。

 そんな彼女が誘いをかけてきた訳ですが。

 ミーヤちゃん達の方から、祈るような視線を感じます。

 だけど私は笑顔で応じました。


「うん、勿論良いよ!」

「「!?」」

「まあ、良かった~。それじゃあ明日はよろしくね❤」

「うん、こちらこそ! 明日は色々教えてね、クレアちゃん」

「ええ!」

「「……………」」


 こうして、あっさりと班の4人目が決定☆

 幼馴染み達の縋るような眼差しは無視です、無視。

 だって2人を入れるより、クレアちゃんの方がずっと良いもん。


 私の新しい女の子のお友達。

 正直言って、私は手に入れたばかりのお友達を簡単に手放す羽目にならないよう、ちょっと必死でした。

 ちょっと今までの交友範囲、狭すぎたと思うんだよね。

 女の子の友達どころか、知り合いが1人もいない状況は流石に悲しい。

 だから、私は敢えて幼馴染の2人に無情な現実を突き付けましょう! 


「それじゃあ残りの1人、ウィリー入る?」

「「えっ」」

「え、良いの…?」

「うん! 自分の感情優先でお友達を(ないがしろ)になんてしないよ、メイは(・・・)!」

「わあ、超揶揄(やゆ)ってるね! メイちゃん」


 どうやら秘かに班の定員最後の1席を狙っていたらしい、猫少年と狼少年。

 互いを睨みあって、どちらが先に声を上げるか牽制し合っていたようだけど。

 私がウィリーを選ぶという展開の前に、2人の耳がへにょりと垂れます。

 ちょっと、罪悪感………だけどさっきのウィリーの方が可哀想だったし。

 うん、いつも一緒なんだから、このくらい良いよね!!


「め、メイちゃん…俺らのこと、いらないのか!?」

「ううん、ペーちゃん、そんなことないよ! ただ利害を優先しただけで!」

「そっちの方がひでぇ!」


 きゃんきゃん喚く幼馴染は置いといて、私は他の班員に目を向けました。


「マナちゃんもソラちゃんも、これで良い?」

「う、うん…私はいいよ」

「私も構わないけど、あいつ等うるさいわよね」

「うふふ…みーちゃんったら元気ねぇ」


 のっほほ~んとした、この雰囲気!

 ああ、やっぱり女の子のお友達って良いなぁ!

 

 私と同じ7歳の2人…マナちゃんと、ソラちゃん。

 ソラちゃんは入学式の時にも話しかけてきた子です。

 ちょっと気が強いけど、おしゃれで可愛い子なの。

 マナちゃんはそんなソラちゃんの幼馴染で、ちょっとソラちゃんの背中に隠れ気味だけどそこが小動物みたいで可愛い!

 豹の獣人だけど、とっても内気で怖がり屋さんです。

 そんな彼女は、どうやらミーヤちゃんやペーちゃんがちょっと苦手みたい。

 …うん、あの2人、8歳にしては我も気も強いもんね。

 マナちゃんもちょっと『苦手』で嫌いではないみたいですが…選択肢として他のカードが提示されたら、そっちを選ぶくらいには私もマナちゃんに遠慮します。

 だってまだ会ったばかりだし、このお友達を逃がしたくありませんから!


「なので今回は涙を呑んで脱落してね、2人とも」

「酷い!! 俺もメイちゃんと同じ班が良い…!」

「――まあ、待ちなよスペード」

「ミヒャルト、お前はメイちゃんと別れ別れになっても良いって言うのか!?」

「………たった1日オリエンテーリングの班が分かれるだけで、ペーちゃんはちょっと大げさすぎないかな」

「そんなこと全然ないぞ、メイちゃん!」

「…だから待ちなって、スペード。確かに班が分かれるのは寂しいけど……別に、複数の班が一緒に行動しちゃ駄目だなんて言われてないよ」

「あ」


 あいたー…気づいちゃったよ。

 まあ、ミーヤちゃんはすぐに気づくと思ったけどね…。


「よし、それじゃあ早速班員を捕獲しよう」

「なるべく融通の利く、従順な奴が良いよな」

「2人とも物騒だね!?」


 そうして2人は、手近な場所でメンバーを無理やりゲット☆

 仲間にしたのはペーちゃんの前の席に座るドミ君と、その隣の席のカルタ君。

 ドミ君は魔人で、入学式の日にミーヤちゃんとロクシアーヌ…ロキシーちゃんの喧嘩を仲裁した子です。

 その勇気と誠実さを認められ、本人以外の満場一致でクラスの級長に選ばれた子でもあります。つまり、うちのクラスの長!

 カルタ君は人間の男の子で、クラス最年長の14歳。

 10歳になる前に入学する子が多い中で14歳は結構目立ちます。

 だけど萎縮したり、クラスメイトを敬遠することもなく、優しく穏やかなみんなのお兄さんポジション。

 ………ミーヤちゃん達、見事に人の好さそうな仲間を捕獲しましたね。

 このままミーヤちゃんとペーちゃんに操縦されまくる班が出来上がるのか。

 ちょっと戦慄したんですけど、そうは問屋が卸さなかったみたいです。

 班員が4人になった時点で、また新たな1人がやって来ました。


「やあ、僕も君達のチームに入れてくれないかな? 僕もあぶれてしまってね」


 臆することなく堂々と言い放たれた言葉は、作ったような…若干の気障さを内包しています。見ればそこには、どことなくミーヤちゃんのママを彷彿とするような、男の子。

 金髪の魔人、ルイ君が爽やかな笑顔で佇んでいます。


「だ…――」

「もちろん、良いよ」

「………」

「勝手に決めちゃったけど、みんなも良い?」

「…ドミ君が言うんなら、仕方ないね」


 多分、ミーヤちゃんは開口一番に断ろうとしたんだろうな。

 だけどそれより一歩早く、ドミ君が良いと受け入れてしまいました。

 そうなると、班行動という協調性優先の状況だけにミーヤちゃんが単独で否やは言い難いようです。

 それになんだかんだ言って、ドミ君はクラスで一目置かれています。

 空気の読めるミーヤちゃんは、流石にその辺を考慮したようです。

 結局、彼らの班はルイ君を交えた5人班で結成されました。


 ミーヤちゃんとルイ君は、ルイ君の一方的な敵視によって折り合いが悪い感じ。

 そんな彼らと、明日は1日中一緒…。

 もしも喧嘩が起ったりとかしたら、確実にマナちゃんが怯えて、ソラちゃんがマナちゃんを庇ってブチ切れるでしょう。

 それで私達、大丈夫なのかなぁ?






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