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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

土地持ちの南の家

作者: 八崎節子
掲載日:2014/07/04

 南の家はたくさんの土地を持っていた


 ある日戦で人の心は荒れ


「そうだ 愉快な芝居で 人々を喜ばせよう」


 主はそんな事を考えた


 元より主は芝居好きのお人よし


 持ってた土地を困ってる人にぽんとやり


 芝居の為なら 山の一つも投げ捨てる


 人々は感謝の言葉だけ残し去り 芝居を見て手を打ちやはり去り


 とうとう南の家の土地は 住んでる小さな家だけとなった


 家の中にあるのも 主が眠る布団だけ


 妻はとうに子を連れ出ていたが


 夫が病に倒れたと知り一人戻って来た


 身から水と肉が落ちていく姿を睨み下ろして言うに


「何だ 己が身を売るのは惜しんだか」


 すると夫は かっと目を見開き


「そうか その手があったのか!」


 そう叫んで こときれた


 南の家は誰もいなくなり 布団は捨てられ


 妻は夫の遺志汲み 焼いた骨を家に飾り


「芝居 骸骨」


 門にそれだけ掲げて姿を消した


 人はしばらく家の前を通っては


「ああ あんないいカモはなかった」


「せっかくの土地を芝居になんぞ 馬鹿のする所業」


 そう言っては嘲笑う


 やがて戦火がこの町にも来て


 南の家も 笑った人々も すべて焼き尽くした




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― 新着の感想 ―
[良い点] ううう、なんというひとたちなんだろう。
2019/09/23 17:31 退会済み
管理
[良い点] かなりの短文ながらも、伝えたいことを凝縮して、サラッと書かれたのがすごいと思いました。 最後の一文がまた何とも言い難い、締めくくりなところも良い意味で妙な読後感でした。 [一言] 人生の全…
[一言] 哀れ、怒り、寂しさ、呆れ……。 最後の一行を読み終えた後、様々な感情が交錯して何とも言えない気持ちになりました。 しいて一言で表せば「無常」でしょうか。 たった500字ですが、脳内いっぱい…
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