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n回目の青い春  作者: 結城 からく


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第97話 シンプルな勝負

 亜子は呆れ切っていた。

 一方、隼人は確固たる口調で断言する。


「進むと決めたから進む。初志貫徹だ。それ以上の理由はない。だから邪魔しないでくれ」


「……そればっかりじゃん」


「鬱陶しいなら通してくれ。一日だけでもいいから」


 執拗に要求を繰り返す隼人に、亜子は困り果てる。

 何度目になるか分からないため息を吐いて、彼女はじっと睨みつけた。


「こっちも迷惑してるんだけど?」


「自業自得だろ。お前達が妨害しないなら、僕らだって何もしない」


「そうだそうだー。意地になってないで、亜子ちゃんこそ諦めたらどうなの」


 彩が頬を膨らませて言う。

 頭を押さえた亜子はますます険しい表情になった。


「あー……ちょっと待ってて。一分もかからないから」


 亜子は仲間達を手招きして相談を始めた。

 小声なので隼人と彩のいる場所からでは聞こえなかった。

 彩は相談の光景を見て首を傾げる。


「何だろうね」


「分からない……だけど、僕達が得をする展開だと思う?」


「根拠は?」


「殺し合いじゃないパターンなんて初めてだ。それだけで期待する価値はあるよ」


「確かに!」


 相談はすぐに終わった。

 仲間達は深刻な面持ちで横並びとなり、手を背中側で組んで待機する。

 亜子は髪を掻き上げて隼人達の前までやってきた。

 彼女はどこか清々しい様子で笑う。


「お待たせ。話がまとまったよ」


「それで答えは?」


 問われた亜子は隼人をまっすぐに指差す。


「――殴り合いの喧嘩をしようよ。それでわたしに勝ったら卒業させてあげる」


「何それ。不良マンガでも読んだの?」


 彩が煽るも、亜子の瞳は揺るがない。

 彼女は身に着けていたナイフや銃火器を捨てながら言う。


「もう埒が明かないからさ。白黒はっきり付けようじゃん」


「……分かった。約束は必ず守れよ」


「もちろん」


 亜子はゆっくりを拳を構える。

 隼人は武器の入った鞄を地面に置き、指を鳴らして歩み寄る。

 手足を軽く動かし、精神を研ぎ澄ませていく。


 両者は一メートルの距離で対峙した。

 睨み合う中、隼人は淡々と尋ねる。


「ルールは?」


「武器は無し。相手が降参するか、殺せば勝ちってことで」


「物騒だな」


「わたし達にはちょうどいいでしょ。じゃっ、スタート」


 気軽な合図と共に、亜子は勢いよく殴りかかった。

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