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n回目の青い春  作者: 結城 からく


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第91話 立ち止まる生徒達

 翌日以降も、隼人と彩は慎重に毎日を過ごす。

 とは言え基本的にやることは変わらず、自由登校のルールもあるため、頻繁に学校に通う必要もない。

 二人とも出席日数は足りており、目標をこなすことに注力できた。

 たまに登校した際は、進路指導の尾崎や佐伯の話を聞いて卒業後の仕事を吟味する。

 決して油断はできないものの、二人にとっては有意義な日々が続いた。


 一月二十日。

 彼らは岸間舞香と出会った。

 舞香は、余命僅かの母と暮らしていた。

 母の死を恐れてループを繰り返しており、誰にも邪魔されずに過ごすことだけが望みだった。

 彼女の決意を知った二人は、何もせず翌日へ進んだ。


 二月八日。

 野木毅は絶えず取り乱していた。

 受験のストレスで精神を摩耗した毅は、何も知らない人間を殺して鬱憤を晴らしていた。

 隼人達にも襲いかかったが、彼らの銃撃を受けてあっけなく死んだ。

 反撃に成功した隼人達は、目標をこなしてから自殺して翌日へと進んだ。


 二月十七日。

 江藤斗真は医者になるのが夢だった。

 あまりにも真面目で完璧主義の斗真は、人間を使って勉強を始めた。

 人体実験に解剖、あらゆる経験を積んだ彼は、いつしかその行為自体に愉悦を覚え、当初の夢など忘れていた。

 接触は危険と判断した隼人達は、斗真と関わることなく翌日へと進んだ。


 二月二十三日。

 漫画研究部には、数人の三年がいた。

 彼らはひたすら絵を描き続けては漫画を読み、時には創作に関する意見交換を行った。

 いずれも部員も漫画家になるのが夢らしく、この日に留まって練習してた。

 隼人と彩はそこに参加したものの、素人だったので上手くいかなかった。

 それでも彼らの描く作品を満喫してから翌日へと進んだ。


 二月二十七日。

 古賀祐樹と里中寧々はカップルだった。

 十年分のループでも愛は衰えず、永遠を誓い合っていた。

 彼らには卒業するつもりが一切なく、隼人達は仕方がないので勝手に翌日へと進んだ。


 様々な生徒に出会っても、隼人と彩は"明日"に進むことをやめない。

 何を目にしても意志は揺らがず、彼らから学び、想いを知り、引き継いで歩む。


 卒業が迫るほどに迷いや悩みは消えた。

 たとえ殺されてループしても止まることはなかった。

 どうすれば明日を迎えられるか、二人は誰よりも理解していたのだった。


 ――そしてとうとう卒業式の日がやってきた。

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