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n回目の青い春  作者: 結城 からく


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第73話 告白

 突然の告白に彩は困惑する。

 彼女は少し不安げな面持ちで確認した。


「えっと、誰……? ごめん、話したことあったっけ」


「俺は木戸英仁。同じクラスになったことはないけど、ずっと彩さんのことが好きだったんだ」


 英仁は堂々と名乗り、改めて想いを伝えた。

 彼の主張はどんどん熱を帯びて強まっていく。


「ループに陥った俺は、ずっと彩さんを待っていた。こうして俺に会いに来てくれるなんて感動したよ! これはきっと運命なんだ!」


「いや、違――」


「ああ、恋人になれて嬉しいよ! 本当に夢みたいだ……虚無のループを耐えた甲斐があった!」


 英仁は歓喜し、両手を上げて叫ぶ。

 対する彩は冷静だった。


「あのさ……」


「ん? 何かな」


「あたし、君とは付き合わないよ?」


「えっ……」


 英仁は呆然とする。

 彼は露骨に狼狽えながら彩に訊く。


「き、聞き間違えたかな。俺とは付き合わないって……」


「そう言ったよ」


「理解できない……なぜ断るんだ!?」


「面識もないのに、いきなり告白されても困るだけじゃん。勝手に話を進められるのも好きじゃないんだ」


「そ、そうか……ふふっ、なるほどな……わかったぞ」


 英仁は不気味に笑い、おもむろに背中に手を回す。

 彼が抜き放ったのは大型のサバイバルナイフだった。

 英仁はそれを彩の腹部に突き刺す。

 彩は顔を歪めて崩れ落ちた。


「痛っ……」


「君はまだ、俺の魅力を理解できていないだけなんだ。一旦死んで頭を冷やしてくれ。時間なんて無限にある。いずれ俺の魅力に気付くだろう」


 英仁は自信に満ちた様子で語る。

 そこに隼人が叫びながら突進した。

 彼は隠し持っていた果物ナイフを投げつける。


 英仁は飛んできた草ものナイフを腕で防ぐ。

 袖に切れ目が入ったものの、傷は負っていなかった。

 英仁は目を見開いて激昂する。


「邪魔をするなッ!」


 返答代わりに叩きつけられたのは椅子だった。

 頭部への直撃を受けた英仁は倒れる。

 隼人は何度も椅子を振り下ろしてとどめを刺しにかかる。


 ところが、隼人は激痛を覚えて椅子を手放す。

 彼の太腿をサバイバルナイフが抉っていた。


「ぐっ……」


「ふざ……けるなよ。調子に、乗りやがって……!」


 血塗れの英仁がナイフを引き抜く。

 隼人は身体を支え切れずに転倒した。

 その背中を英仁が容赦なく刺す。


「そ、そうか……お前が彩さんを脅迫して、自分の物にしようとしたのか! だから彩さんは告白を断るしかなかったんだっ!」」


「ち……がう……たち……ばなさんは……」


「俺が……俺が、彩さんを救い出さないと……」


「や、やめ……」


「黙れ! 気色の悪いストーカーが!」


 英仁は隼人を滅多刺しにする。

 隼人にはもはや抵抗する力が残されていなかった。

 激痛と悪寒が混ざり合って脳を支配し、それらの感覚も次第に薄まっていく。


「なっ、何をしてるんだ!?」


 担任の尾崎の怒鳴り声が聞こえた時、隼人の意識は途切れた。

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