表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/61

第1話 10年目のループ

 中島隼人は、四月七日のループに囚われていた。

 彼が異変に気付いたのは、ちょうど十回目のループの時だった。


 変わらないテレビ番組。

 進まない日付。

 リセットされるテレビゲーム。

 同じ時間に出される同じ食事。

 機械的に繰り返される四月七日を何度も味わい、隼人はようやく異変を認識した。


 隼人は引きこもりの高校生である。

 一日の大半をベッドで過ごし、自室の漫画やゲームで時間を潰す。

 精神的な煩わしさからネット環境を完全に断っているため、当初はループに気付けなかった。


 十一回目のループを迎えた隼人は、しかし何も行動しなかった。

 四月八日が訪れない事実より、平穏な日常を壊す方が遥かに恐ろしかったのである。


 狭く薄暗い自室だけが彼のすべてだった。

 それをただ守りたいのだ。

 外の世界……ましてや超常的なループなど知りたくもないというのが本音だった。


 だから隼人は目を逸らして耳を塞ぎ、引きこもりの生活を繰り返した。

 四月七日から進まない世界を彼なりに受け入れた。


 ――そうして十年分の月日が流れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
面白い!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ