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第0話その① 天の詐欺師

天才故の幸運 天才故の不幸

全て今を作る布石である



東京千代田区 1人の詐欺師が人生に幕を下ろす

後ろから包丁で一突きされその後放置された

犯人の動機は勿論詐欺師が作り上げた。

「はあ、こんなもんか」

愚痴をこぼす。まるで被害者の如く。否、被害者でもある。

「金が、金さえあれば、、、」

最後の言葉は心の中に放たれた。決して口には出せなかった。

目を閉じる。永遠の眠りへ向かう為に







善樹いずって頭良いよね。私善樹みたいな人好きだよ」

初めて女の子に告白されたのを思い出した。これを告白と言って良いのか分からないが。


「、ッて、、あれ、、、」

目を開く。死んだはずだが開く。

景色は、あまり良い物ではなかった。

「どうしてこんな山奥に。まあそんな事はいい。どうして生きてんだ。いや、転生なのかな、、、

てか、あ、あれ、手が小さいぞ。そもそも視点が低い。。。。。。まさか」

近くにあった川に体を反射させる。透き通って見えた反射体は縮んでいた。

「なんじゃこりゃ、これじゃコナン君だ、いやそこまでじゃないけど」

頭を整理をする

幼児化、そして転生?だろうことが起き、他には何か変化は無いかと探す。

普通の人ならば焦るであろうこの事態。彼、善樹は焦らない。彼の心は解放に満ちていた。


間藤善樹 22歳 4人兄妹の長男

幼少期は裕福でありあだ名はふごちゃんであった。子供ながら善樹は自分が恵まれていると理解しそれを誇りに思っていた。その事に鼻につく嫉妬者もいた

彼の人生の転換期 10歳の時に家庭は崩壊した。理由は倒産。母親はその事実を唐突に知らされ怒り狂い、勢いに任せて離婚してしまう。その後彼は末っ子と共に母親と共に家を出て行った。地獄はここから始まった。

父親は勿論金が無く養育費を払えず頼りは母親のみ。だが母親は父のことを金運び、働き蟻としか思っておらず金のありがたみを理解していなかった。そして金遣いが荒い。その様な者が子供を1人で養えるか。無理に決まってる。結果は育児放棄。当たり前だが善樹のトラウマである。彼は14歳にして違法労働を始めるが三人分の生活費を稼ごうとするが当然限界がくる

違法の中で悪事を犯す

そこからはまるでアウトロー系の創作物にありそうな経験をした。

薬物販売、闇金、闇バイト、詐欺、借金取り

学校は、というと不登校にはならなかった。

彼は金持ちであると同時に天才であった。天才、と一言で言っても種類がある。彼の場合は話術の天才。

嘘を真実に、真実を嘘と思わせる話術に長けていて彼は学校で自分の黒い話題を打ち消していた。

18歳に彼は話術に長けていることを自覚して詐欺師となる。グループには所属せずソロで活動した。

詐欺を始めてから丁度一年後くらいに母親が10億の借金を残して死亡。連帯保証人は善樹

母親を信じて地獄に落ちた。


20歳でターゲットを一般人から金持ちのみに定める

一般人は金を盗られたら警察に行くか泣き寝入り。だが金持ちは違く金を持っている。結果1億という指名手配が出された。

ある日突然彼の弟は告発をして身バレする。

そこから紆余曲折あり死に至る







「まあいっか。もう死んだんだし」

安堵にも聞こえる発言を最後にこの日は眠った。

目を瞑り過去を思い出す。思い出した後一つの事が分かった。この姿は10歳だ。

9歳と11ヶ月の時に出来たホクロがあり

10歳と10ヶ月の時に出来た火傷が無い

偶然なのか必然なのか、10歳は転換期である

神は事実上のやり直しを与えたのだろう、そう願ってしまう






「大丈夫?」

女の子の声が聞こえる。目を開けるとそこには地球では見たことも聞いたこともない部族服を着た10歳くらいの少女が居た。


「起きた!?良かった。ねえ、どこかおかしいところとかある?気軽に言っていいからね」

初対面にして距離が近い、というより優しい。善樹には眩し過ぎた。喜び方も異常であった

「、、、」

善樹は無言でいると少女から話し始める

「無言になるほど辛いの?」

「違う」

彼はやってしまった!!という顔をする。彼の流儀の一つ、

〝相手が安全かわからない限り無言に徹する〟を完全破約してしまった。この流儀は詐欺師時代に考えた。

もう騙す必要が無いから破ったのか、それはない。例え異世界であろうと隙を見せるのはデメリットでしかないと知っている。この異常行動はこの子が子供だからである、と結論付ける。



少しの間を空けて突如自己紹介をする

「私の名前はユノ。この森でまったり住んでるの」

「そんなこと聞いてないが」

「君は?」

「言わない」

「言わないなら無視すれば良いじゃん」

痛いところを突いてくる

「善樹だ。もう良いか。俺は別に気分悪くないからどっか行きな」

「、、、この森私の物なんだけど」

「分かった。なら出て行く」


間髪開けず立ち上がり去ろうとするが引き止められる

「もう遅い。お金払って」

「金は無い」

「なら私の家で住み込みで働いて」

「、、、お前本当にこの森の持ち主か?」

「そうだよ」

善樹は昔から嘘をつく者を見抜く力に秀でていた。そして魂胆までも。だがこの力は極限まで集中した時にしか使えない。つまり普段の嘘は見抜けない。何故この力を得たのか、それは多種多様な状況と人間に遭遇したのと才能の賜物

そして此度見抜きの牙は彼女に向けられる

「嘘、だよな」

「、、、うん」

潔く認める。そんな彼女だが何故か悲しんだ表情をする。

「なんで嘘をついた奴が悲しむんだよ。」

ユノは言葉を出そうとするが出てこない

「え、えっと、、ねえ、家来てくれない?可愛い恐竜いるよ」

冗談に聞こえた。けど冷静に考えたらいても不思議ではない。なんせ異世界だ。自分からしたらなんでもあり、かもしれない。

善樹は着いて行く。興味があるからではなく恐竜のいる世界なら単独行動は危険だと察した。


2人は家まで歩いて向かう。ユノは話を振るが悉く善樹はあっけない返事しかせずユノは痺れを切らしたのか

「このまま歩いてると五時間はかかるから走るけど、良い?」

「俺は良いが、そっちは体力あるのか?」

「私山育ちだから体力あるよ」

刹那、彼女は風と化す。一瞬で100mは進んだであろう。

「もしかして俺も、、、!?」

異世界へ来て初めて感情を露わにする。この世界の住人のスペックはこれがオーソドックス。そして自分は若くなっている。つまり自分はこの世界の住人に生まれ変わり超人的な肉体を手に入れた可能性がある。

自分も超人になれるかもしれない可能性、興奮するには十分過ぎる。早速走ってみる。

        記録 速さ50m7.5秒 

高校の頃は9秒台であったのでおそらくプラシーボ効果だろう

「は、早くなってる、のか?」

「遅いよ!!」

瞬きの間に目の前に立っていた。先程までは米粒くらいに見える所にいたはずなのに、まるで瞬歩だ

「ど、どうして俺はこんな遅いんだよ。」

「ねえねえ善樹って本当に人?」

煽りでも侮辱でもなく単純な疑問。これを女子に言われれば大抵の男子は傷付く。善樹は例外。彼はそんなことよりもどうしたら早く走れるのか考えている。

「人だ。質問には答えた。次はこっちの番だ。どうやったら早く走れる?」

「無理だよ。君は詐欺〝ペテン〟だから。」

「ぺ、ペテン?」

「え、そんなことも知らないの?常識の常識だよ」

少女は大いに引く。

「教えてくれ。頼む」

「別に良いけど。えっと、この世には二種類の存在に分かれてて、詐欺師と探偵って言うんだけど、性別みたいな感じかな。」

「そう、なのか」

「それで詐欺師は嘘を付くと強くなって探偵は元が強くて推理が出来る、みたいな。因みに意味がある嘘ほど強くなるとか。私は探偵だから分かんない」

男の顔色が変わる。まるで獲物を見つけた虎である

「えっと、つまり、俺は詐欺師なんだな」

「そうだね。」


元詐欺師は微笑む。彼女にはそう見えた

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