第9話 復讐という名の地獄落とし 後編 その1
今回から復讐編に戻ります。
応接室のソファは高級感あってふかふかである。
そんなことを考えながら、ちとせの隣に腰を下ろした。
前には俺と千春の担任と学年主任、それにちとせと邦彦の担任が座っていた。
応接室の中の空気は非常に重くなっていた。
しんとした空気の中、学年主任が口を開く。
「さて、君たちは昨日何したか分かっているな。」
やたら重い空気のわりに話し方が妙に軽いので冗談混じりで返すことにする。
「人に罪をなすりつけるようなクソガキを二人ほど退治しただけですが」
「別にそれはいいんだがな、やり方があれなんだよ」
「あれとはなんですか?」
「学校中に広まってるんだよ。それが良いって言うなら良いけど」
「むしろあれくらいやってやんなきゃ気がすみませんよ」
「なら特に咎めはしない。とりあえず、君たちには彼らの処分を伝えておこうと思うんだ。千春さんは自宅謹慎1週間、邦彦君に関しては当分の間自宅謹慎とさせてもらった。何か質問はあるか?」
「いえ、特にありません。強いて言うなら、自宅謹慎程度で彼らが反省するとは思えませんが」
「ちとせさんは?」
「特になにもないです」
「ならばこれで話は終わりだ。教室に戻ってもらって構わない。朝から時間を使わせてしまって悪いね」
そう言われたので、大人しく退散し教室へ向かう。
もうすぐ教室というとき、いままで黙っていたちとせが急に俺の袖を掴み、引き止めた。
「ちとせ、何かあったのか?」
「姉の様子が妙におかしい」
「は?」
「スマホずっといじってにやにやしてた。多分なんか企んでやがる」
マジですか、これじゃやばいじゃん。
もし反撃してきたら反省してないどころの騒ぎじゃねえぞ、これ。
「とりあえず、昼休みまで放置、昼休みに確認と相談でどう?」
「そうするしかないよね。じゃあ政信、昼休みは屋上に来てよ」
「屋上ね。授業が終わったらすぐに向かう」
会話を終わらせて教室に入ると、途端に沢山の生徒に囲まれた。
「昨日のはどうしたの?」
「千春さんが浮気したってホント?」
「政信くん、冤罪をなすりつけられたんでしょ?」
「政信が怒鳴ったってリアルの話?」
エトセトラエトセトラ。
鳥の雛のように次々に質問をぶつけてくるあまり、全部聞き分けるのが不可能だ。
とにかくクラスメイトたちをまずは落ち着かせる。
「お前ら落ち着け。そんな一斉に話されても聞き取れん。一人ずつ喋ってくれ」
「はいはい、じゃあ俺からね。千春ちゃんが浮気してたの?」
「それはだな――」
以後話し続けること15分。
ようやく質問が終わり、クラスメイトから解放された。
正直面倒ではあったが、これで千春達のクズっぷりを広めることができたから良しとしよう。
そこから10分もしないうちに先生が来て、HR内で千春の欠席(謹慎)を伝えたが、誰一人として驚く者はいなかった。
時間は過ぎて昼休み。
屋上に向かう途中でスマホを取り出し、スイッタ―を起動する。
4時間目に入った頃から通知がいっぱい来ていたためである。
起動してまもなく、予想通りの事が起こっているのを発見し、ほくそ笑む。
そうこうしているうちに屋上に付き、先にいたちとせの下へ。
「で、姉はなんか企んでた?」
「ばっちし。ほら見て、この1時間でこんだけアップし始めた」
そう言って見せたのは、千春のアカウントである。
昨日の午前中のうちに聞き出しておいた千春のアカウントに動きがあれば通知が来るようにしておいたのだ。
「なに、あのクソ姉ったら懲りずにまた喧嘩ふっかけてきたわけ?しかも世界規模で」
「そういうことですな。ちとせ、この生意気な女はどうしてくれようか?」
その質問に対するちとせの答えは至極当たり前(?)のものだった。
「簡単よ。今度こそぶっ潰す。それも世界規模でね」
ということで復讐の後編開始です。
SNS使って喧嘩したら全世界にバレるというのに喧嘩を売ってきた千春ちゃんでした。
追伸
復讐編が終わった後、二人に千春達に見せつけるためにデートのフリをする予定です(要するにイチャイチャデートですね)。
デート案を大募集中です(例:遊園地デート)。
案がある方はコメントに書いていただけると助かります。