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第7話 元カノと部活は不調街道まっしぐら その1


 目下最大の懸念事項は部活である。


 と宣言したいところだったが、もう一つ大変な事実があった。




 それは。




 隣に住んでいる千春とかいうクズのことである。


 なぜかは知らないがちとせと両親がいないときに限って突然うちに訪ねてくるのだ。


 そして毎回、




「もうこんなことしないから、よりを戻してくれない?邦彦ほどひどい奴は見たことないのよ」




 これである。


 反省のはの字もない。


 一体全体、これのどこを信じろというのだろうか?


 今日でもう3回目である。




「あのさ、こっちはもう定期演奏会とか迫ってきてて忙しいの。今日だって決して休んでいい日じゃないの。朝から行かなきゃいけないの。正直言ってお前とはもう二度と話したくないし顔も合わせたくないって言ったよね?二度とくんじゃねぇよ」




 あまりのしつこさに最後のほうで口が悪くなったが、それをとがめる人間はいない。


 さっさと吐き捨てると家を飛び出すようにして出発する。


 指導者が遅刻するという目も当てられない事態を避けるべく、先に駅へ向かったちとせを追いかけるようにして全力ダッシュ。


 


 上総一ノ宮駅までくると、改札の前にいるちとせと、すでに入線している電車が見えた。


 外房線、京葉線直通の東京行き。


 俺に気づいたちとせと二人で無言で改札を通り抜け、ホームへ猛ダッシュすると半ば駆け込むようにして乗車。


 すぐ後ろで扉が閉まる。


 はあ、はあと息を整えて口を開く。




「ふぅ、なんとか間に合ったな」


「まったく、間に合った、じゃないでしょ。なんでこんなぎりぎりまで時間かかったの?まさか本でも読んでたの?」


「違うな。ただ面倒ごとに巻き込まれてただけだ」


「そう。まあこれ京葉線直通だし、乗り換えなくて済むからいいけどね、私と一緒に出てれば一本前に乗れてたのよ?」




 なんかいきなり変なこと言いだしたのでそこを正す。




「ちょっと待って、乗り換えは必須だけど?」


「なんで?これ京葉線でしょ?」


「きょうは一日部活だけど、成績会議で授業がないからだからだぞ。つまり今日は平日なんだ」


「それとなんか関係あるの?」


「わからないなら放送聞いてごらん」




 とそこでちょうど放送がスタートした。




『この電車は、京葉線直通、通勤快速、東京行きです。停車駅は、茂原、大網、土気、誉田、鎌取、蘇我、新木場、八丁堀、終点、東京です。この電車には、優先席があります。優先席を必要と――』




「あれ?稲毛海岸は?」


「快速じゃないから通過だ。蘇我の次は新木場なのさ。遅刻したいなら蘇我で降りなくてもいいけど」


「じゃあ降りる。きっと蘇我始発だから座れるもんね?」


「たった2駅に座るのか」


「いいじゃん別に。満員電車で立つ方がやだし」




 同じ京葉線なのに乗り換えなくてはならないというなんとも皮肉な結果ではあるが、まあ仕方ない。


 とにかく今はのんびり列車に揺られているのだった。



 政信達が乗っているのは2022年のダイヤ改正で消滅した上総一ノ宮始発の通勤快速です。


 今は勝浦発が一本と内房線からの便のみになってしまいました。


 いつか乗ってみたいですね(特に夜の下りは新木場から蘇我まで大爆走するので楽しそう)

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