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社会不適合者のための哲学  作者: 最内翔
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正義が作られる仕組み

 未だ正義が絶対的ではなく、人為的なものであると受け止めきれない君に、追い打ちをかけよう。

 正義が如何にして権力者によって下賜されるかを。


 そのためにはまず、立場を変えて権力者の目線になってみよう。

 いや、正確には権力を今まさに得ようとしている人の目線か。

 先程も言ったように権力者は力を得るために、より多くの力を束ねたいと考える。

 それはお金かもしれないし、労働力かもしれない。


 でも束ねて運用したいと思ってもそれは実は結構面倒なことだ。

 人間は個々人にそれぞれ好みや特性があり、適材適所を探しそれぞれの要望不満を聞くのは非常に労力がかかる。

 それが何千何万何億人といるとなると、正直イチイチ構ってられないってのが本音だ。

 じゃあどうなってくれれば有難いかというと、均一になってくれれば楽なんだ。

 形や分厚さがマチマチな石を敷き詰めるより、正方形のタイルを並べた方が楽だろ?

 機械の部品がマチマチだったらやってらんないのと同じで、社会の歯車に個性なんて管理が面倒なだけだ。


 ただ、人は間違った、道理に合わない事を強要されると不満が溜まる。

 だから正しさを矯正し、強制する。

 そうすれば部品たちは気付かず疑わず文句を言わず、均一化されていく。

 陰謀論だどうのって話じゃない。

 これらのことを分かっていて、尚且つやろうと思で場出来るのであれば、やらない理由が無いよね、という話だ。

 その手段が昔は宗教であったのだろうし、現代ではマスメディアだ。


 でも、それも別に僕たちだけが悪い訳じゃない。

 だってそうじゃないか。君達愚民たちは、何時だって分かり易い"正解"を求める。

「生きる意味は何か」「どうすれば楽な暮らしが出来るのか」「何を信じて良いのか」

 疑うことは労力を使うことだ。日々の糧を得るのに必死な君たちにはあらゆる事柄を疑って生きるのは辛いことだろう。もし疑い出してしまったら働けず、食っていけなくなってしまうかもしれないねぇ。だから頭の良い人達が答えをあげているんだ。


「人と争ったり人に迷惑をかけるな」

「働いて自分の食い扶持を常に確保しろ」

「迷ったら皆と同じにしたら取り合えず間違いが無い」


 受け入れやすいだろう?

 もしそれが僕たちにとって多少都合が良い物でも、それくらい答えをあげた代金みたいなもんさ。



 心当たりはないかな?

「5日8時間は最低働いて、企業に正社員として雇われることが"立派な社会人"」

「30くらいには家庭と一軒家を持ち税金を年金を保険金を払うのが"一人前"」

「"政治と宗教と野球"の話題は口論になるから基本口に出さなず、人に迷惑をかけないよう自分で解決するのが"大人"」

 そしてそう在ることに疲れた、或いは疑問を持ってしまって働けず、食っていけなくなった経験に。

 そしてそうやって一旦疑いを持った途端"立派な社会人""一人前""大人"達が狂信的に見えて空恐ろしく見えて、でも社会に、国家に肯定されているその"みんな"が正義だという価値観が自分にもあって、でも疑いを拭いきれなくて、途方に暮れた経験が。


 だからこそ今一度言おう。

 その価値観は、常識は、正義は、権力者が自分たちにとって都合の良い考えを"答え"だといって与えられたものだということを。

 本来人によってプラスに感じる、欲しいものというのは千差万別なのに、その正義をあたかも一つであると言っている欺瞞に気付くだろうか。

 そして更に気付くだろうか。

 この正義を語ることによって今まで書いた、そしてこれから書く私の論も肯定され、同時に否定されていることに。

 この「社会不適合者の哲学」は間違いなく私にとっての真実であり正義であると同時に、君にとっての絶対の真実や正義たり得ないのだ。


 今までの常識が間違っていて、ここに書いてあることが正しい。

 そう思っているうちは、君はまだ安易な答えを口を開けて待っている衆愚の一人でしかない。

 疑え。そして自分にとっての真実を、常識を、正義を探し出せ。


 話はそれからなのだ。

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