なんで私を選ばない
「そうだ、我は結婚するぞ!!!」
私の上司、魔王様は唐突に宣言した。
まーーーた始まったよ。このアホは。
次は何言い出すかと思ったら、結婚だって?
「我は姫と結婚しようと思う。そうして次の王となり、世界を支配するのじゃ!どうじゃ!?魔軍司令官バルトスよ!」
「はぁ...魔王様が結婚...ですか。」
なるほど、どうやらこの魔王様は敵国のお姫様と結婚し、正式に王位を継承して、世界を支配しようとしているらしい。
私、魔軍司令官バルトスは、魔王軍を統括しつつ、
魔王様のこのような気まぐれにお付き合いするのが仕事である。
ちなみに女だ。
魔王軍の中では絶世の美女である自信がある。
......なぜ魔王様は私を選ばない。
え、なに?姫様ってそんなに可愛いんですか???
まぁ、そんなことは今はどうでも良いわけだが。
さて、このバカ...ではなく魔王様、本気か冗談か...いや多分本気だろうな。
魔力だけは最強なので、下手に回答して怒らせれば消されてしまう。今回はどうやって返答しようか...。
「......失礼ですが、結婚にはいくつかのステップを踏む必要がございます。それに、王室では自由結婚が認められているかどうかすら怪しい...。魔王様、結婚するにあたり、何か計画などはございますか?」
「もちろん、ない!!」
ねーーのかよ!!
いや、どうせそんな事だろーと思ったけど!!
「どすれば良いと思う?バルトス」
可愛ぃ...じゃない、あっっぶねぇ!
たまにこういうギャップ萌え的なところあるんだよな。
どうすれば良いと思う?じゃねーーよ!
自分の結婚くらい自分で考えろクソが!!!
てか私を選べ!!
......じゃない、そんなことはどうでも良い!!!
落ち着け私。私は魔軍司令官バルトス。
魔王様の参謀として、常に適切な行動を心掛けるのだ。
「......なるほど、かしこまりました。私の方で少し考えてみましょう。」
色々と悶々とする気持ちがあるが、とりあえず私は1番無難な答えを選んだ。
「うむ、任せたぞ!バルトスよ!!お前はいつも頼りになるな!」
褒められた!嬉しいぃぃぃいい!!
......じゃない!なんで私が他人の結婚計画考えなきゃいけないわけ!!?
......まぁでもこれも仕事か。
よりによってこんな面倒な仕事が...うぅ。
えぇいっ!でもこれも魔王様...ではなく魔王軍のため!
やってやる!やってやろうじゃないのよ!!
...こうして私の『魔王様のプロポーズ計画』は始まった。
マジでクソイライラすんな。