月下姫華宵想酔
ゲッカヒメハナヨイノソウスイ
月の寒い宵に花揺らしの風は悠々と揺蕩い
瞼は揺ら揺ら現世常世を行き来する
私の思慕は夜空流るる星の如く
唯儚くと一瞬間の酔夢
嗚呼、私の恋は月から落ちた雫の戴冠
今宵共に月下樹の下
花絞りの酒に酔い濡れましょう
流転する現世の夢に胡蝶の鱗粉を
未だ開かぬ恋花に月の媚薬を
其々共に添えましょう
緩々と波に酔い酔い
目眩に酔い酔い
あら、此処は貴方の茵
欲快楽に目眩く回転灯籠
寒い月に照らされた蠢く蟲に御座います
蠢く煩悩はやがて羽を持って昇華して
この優しい薄闇を明滅を繰り返し
戯れましょう
戯れましょう
月の雫に花濡れに
常世の夢の温温と
幻の泉に泳ぎ行き
波に散り散り月の面影
瞼を捲り眼を抉り
空に翳して見る景色
遥か遠くの峰々の月光の輪郭に
黒く赤い血液の染色
血濡れた波紋を素足で蹴り上げ
月光紅く宙に遊ぶ
幼女の戯れ声は花散らしの風に遊ぶ
戯れましょう
戯れましょう
盃を傾け口端を伝う花酒を
貴方の舌先で
そっと追い駆け
私の花弁に触れ濡れて
瞼は揺ら揺ら常世と現世を行き来する
酔い続けては花は散るのみ
快恥交来の夢は永久
戯れましょう
戯れましょう
胡蝶は潰してその鱗粉を風に遊ばす
貴方の臓腑の温もりはやがて消失する
暫時の恋に身委ね残った瞼揺ら揺らと
月の引力満ち引きて
光の波間に蠢くは
潮の波間の蟹歩き
時折り誘われ呑み込まれ
身を委ねては潮の導き
戯れましょう
戯れましょう
月の寒い宵に花揺らしの風は悠々と揺蕩う
宵に酔い酔い良い宵に
私と貴方の回転舞曲
詩を書きました。
なんと言いますか、艶のある狂気的な雰囲気が伝われば良いのですが・・・