第54話 テッドの修行。
「まずは身体の修復と魂の補填をしよう」
「そんな事を今の地球の神はやれるの?」
目の前でキヨロスと地球の神様が話を進める。
「今の私には無理だ」
「じゃあ僕だ、でも僕はやり方なんて知らないよ?半神半人でも出来るの?」
「身体の治療はアーティファクトで、命の補填はその擬似アーティファクトで行う」
そう言って地球の神はキヨロスの胸元を指差す。
「え?「神の力」?」
キヨロスは胸元から手のひら大の水晶玉を出す。
「ああそうだ。
千歳の中で膨らみすぎた神の力を収めた器。
これ以上にないテッドの命になる。
そして僥倖なのはキヨロス、お前の身体も通してあると言うことだ。
千歳はあくまで私の世界の子。
アーティファクトに触れて神化をした存在だが今ひとつ命の作りが違う。
だがキヨロスはガーデンの命。
テッドの命とは親和性の高さがある」
「良かった。
じゃあコレをテッドにあげれば良いんだね」
「テッドよ、「神の力」を胸の傷に入れるのだ」
テッドは言われた通り受け取った神の力を胸に入れた。
入れるまでは異物感があったのだが入ると溶けて一体化した感覚になる。
そしてスカスカに感じた身体の内側、中身が埋まって行くのがわかった。
その後、キヨロスが回復の力を使いあっという間に傷が塞がっていく。
「成功だ。
では次に行こう」
「そうだね」
2人は何の話をしているのかテッドにはわからない。
「テッド、超神と戦う時の問題は?」
「俺の攻撃では傷を付けられてもその先に行かない事だ」
「そうだね。でも超神よりも今の問題は?」
「わからない」
「本当に?」
「わからない」
何度聞かれてもテッドには問題がわからなかった。
超神以上の問題なんてあるのか?
テッドの頭の中はそればかりだった。
「はぁ…、教えてやるよ。
君は黒い僕に負けた事だ!
黒い僕はさっきの話が本当なら必ず超神を倒しに向かう。
だがあの僕の力ではサードガーデンは滅ぶ。
そうしない為に君が強くなって僕も止めて超神も倒すんだ!」
その声に合わせて光の剣が12本襲いかかってきた。
テッドはそれをかわしてキヨロスを睨む。
「僕は今から君の師匠だ!さあ剣を出せ!」
「そう言う事なら…【エレメントソード・ファイア】!」
テッドが唱えると炎の剣が1本空中に生まれる。
「まずそこだ!想像力が足りない!出す前に脳内でイメージしろ、テッドの限界はどこだ?一度に出せる数を増やせ!一気に最大数を出せ!」
「くっ…、無茶を言う」
「なら教えてやる!
ツネノリ…僕が教えたその剣の使い手は、今は使用限界さえ取り除けば同時に48本まで安定して出せて使いこなせる。
限界がある時でも半分だ。そこまでは出せないでどうする?」
テッドは48本と言う本数に驚いていた。24本でも今の自分には無理な数だ。
「やってみろ!」
「【エレメントソード・ファイア】!」
テッドは最大本数を意識したが出せたのは6本だった。
「まあ最初はそんなもんか…、次だ。
僕の光の剣と戦うんだ。本数は同じにしてあげるよ。
少なくとも5分は耐えてみなよ。
行け!光の剣よ!【アーティファクト】!」
「くそっ!」
テッドも光の剣に狙いを定めて剣を飛ばすが、まず剣を出した自分も入れて7人居る感覚が意味不明で頭が混乱をする。
キヨロスもツネノリにこの剣を教えた時に混乱する様を目の前で見てきたので問題点は知っている。
なので容赦なくそこをつき、わざと目を回すような動きをする。
結局1分も保たずに剣は全てへし折られてしまい、その衝撃にテッドが耐え切れずに倒れ込む。
「最初はこんなものだね。どこまで鍛えれば良いの?10年?」
「見ていて新たな問題点が見えた、やれても1週間だ」
地球の神様が見た問題点とは何なのか、倒れ込むテッドはそれを知らなかった。